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1-3 嘘で始まり終わる世界③

これで「嘘で始まり終わる世界」は終わりです

次からは乱咲が本性をあらわにするくらい活動していきます。

「さーて邪魔者(ヤマタケ)もいなくなったしデートでもしようぜユイ」

「シンドウさんの切り替えの早さは異常ですよ。勝負の最中ですよね。」


 そうヤマタケを空間魔術内に放り投げ、村の散策を開始したのである。俺達のこの村での目的は別にある。忘れてたわけじゃないからな。


「心配ですよ私はヤマタケ君が廃人になってしまわないか。それと食べ物や水どうするんですか?私達無一文ですよね。」


 そういえば殺されてから何も食べてないな。そろそろ食事にしたい。俺は懐から財布を取り出す。まぁ1か月は困らないんじゃないかな。そしてユイよ、勝負の本質は気づいてるだろうが、お前の考えるような結果にはならんぞ。


「おそらく日本円計算で5万円はあるから問題ないぞ。まずは勝負に必要となる物から買うか。」

「なんでシンドウさんこちらのお金持ってるんですか?あのクズの財布ですかね。」


 まずいなユイはストレスが溜まりすぎているのか。毒を吐くのがデフォルト化してきているな。かわいさが半減してしまう。これは由々しき問題だ。


「違うぞ、人をひったくりみたいに言うのはやめろ。持ってたアイフォンを高値で売りつけたんだよ。充電器もないし電波も入らん。こちらの世界では不要だろうと思ってな。」


 だから何回も言うが俺は残虐非道..以下略


「ごめんなさいシンドウさん、そんな子悪党みたいな真似しませんよね。やるとしたらもっと相手に深い精神的な傷をつけて骨の髄までしゃぶりつくすのがシンドウさんでしたね。どんな風に脅してアイフォン売ったんですか?...イタイイタイやめてぐりぐりしないで~世界的な財産にもなりうる私の脳が機能しなくなります。」


 頭をぐりぐりしながら反省させようとしたら今度は自画自賛とはやるなユイ。誰だよ純情だったユイをこんな風にしてしまったのは。地球をのことを知りすぎたせいだな。俺は怒ったぞ地球!。


 じゃれてる間に売店に着いた。こんな会話をしながらも人目のつかないコースを通ってきた。


「買い物は俺がする。ユイは地球での俺の姿を思い出しながら話しかけてくれ」


 俺はここに来て初めて使うことにした異能力を。正直記憶を取り戻した今となっては別の能力も魅力的だったんだがな。


「シンドウさん!」


 俺の姿が28歳の姿に変わる。

 これで売店にいっても怪しまれないだろう。


「まさかこんな形で使うと思いませんでしたよ。折角の異能力ですよ!オッサンに戻るのが初回の使い方って!!...いや2度目か。」


 そう2度目だ。ユイ女神バージョンの時、暴かれた能力が付与された時点で発動した。本来の記憶であるこちらの世界が本当であり地球での記憶が嘘なのである。記憶改竄が解けることは賭けでもあったが成功してよかった。記憶を取り戻し神藤結の偽の嘘の記憶改ざんを嘘を暴く能力で解除した。

 流石にあいつらはここまでを看破はできなかったようだ。


「いやいやこんな姿にならんでも別の方法もあるにはあるが、これが一番楽だか..」

「シンドウさんの28歳の姿..フフこれはこれで改めてみると素敵なオジサマって感じ..ひゃい!」


 妄言だらだらの所をチョップでユイが変な属性に目覚める前に思考をシャットアウトさせてやる。ひゃいってなんかM気質も付いていそうで怖くなる。


「入るぞ、おとなしくしてろよ。」

「言うこと聞かない子供を相手してるみたいに言わないでくださいよ!」


 店内に入ると昔の家屋を思わせる畳式で落ち着く空間が広がっている。

 少し大きなスーパーはあったのだが、よそ者がいくと目立つだろうと思い避けた。

 自然が豊かに残るなか点々と村は存在する。この世界の人類種は地球の50分の1というのが12年前の姿だ。使用できる土地面積が圧倒的に少ないため無駄なく使うため数千人単位の村が多い。


「いらっしゃい~。見ない顔ね。別の村の人?」


 やはり婆さんか、ほんとに爺婆しか居ねぇな。


「はい私はこの村のジロキチの孫のロウチと申します。以後お見知りいただければ幸いです。」

 俺は営業スマイルで話かけながらパーソナルスペースを意識しぐいぐいと入っていく。

 パーソナルスペースは簡単に言うと、人が誰でも持つこの人であれば大丈夫と思う人だけ入れるスペースのこと。家族であれば背後に立たれようがそんなに気にしないが、赤の他人だとそうじゃない。そういうことだ。


「ジロキチさんとこのロウチ君かい!話はよく聞くよ!都会で頑張って働きワシにお土産を送ってくれると自慢げに話すのよ~ジロちゃんは。耳にタコができそうだったわ。」

「いや~お恥ずかしいところお見せしてしまっているようですね。もうじいちゃんってば!」


 完全にパーソナルスペースに入りこみ会話を噛み合わせる。あの爺さんは顔が広そうというのが印象的であった。


「いつ帰ってきたんだい!ジロちゃんにはあったのかい?」

「じいちゃんにはさっき会ってきました。いや嬉しそうにしてくれまして、祝杯じゃと言いながら隣の村まで上手い銘酒があるそうで駆けていってしまいました。下手気に1か月は滞在する言ってしまったのがまずかったですね。となりの村に買いにいったのなら1週間は帰ってこれないんじゃないか?ハハァ」

「あの人考えず手が出るとか、本能の赴くまま動くそんなタイプだから気にしなくてもいいわよ。ロウチ君は今日はどこか泊まるとこ決めたりしてる?」

「はい、そこはしっかりしてるのか、このメモのかいてあるじいちゃん行き付けの居酒屋の店に行けと、話は通してあるとのことで問題ないです。」

「そうかい、んじゃ滞在期間は短いかもしれないけど楽しんでいってね。」


 こういう店のおばちゃんはどこの世界に言ってもおしゃべりだから。疲れることこの上ない。

 ったく身分を確定させるためとはいえ無駄話なぞ本当に無駄だ。時間を有効に使えないと大損である。特に若い時のみできる無茶は勝手でもやれが俺の座右の銘と捉えてくれてもいい。 



 「はい。ついついおばちゃんのお話が面白くって忘れるところだった。日用品としてタオルと食糧とお水を1週間分ほど欲しいのですがいいですかね?」

 「ジロちゃんの孫とは思えないほどよくできたお孫さんね~ジロちゃんにツケとくから持って行って。おまけにこれ飴あげるわね。そこの娘さんはロウチ君の娘さんかな?美人でうらやましいわ~」

 「うわ~ユイすごくうれしい。おばちゃんありがとね。大事に..大事に食べるね。」

 「....ブフっ...。(痛い...痛いよユイちゃん)」


 やばいユイのHPがごっそり持っていかれている!目のハイライトが消えていきレ〇プ目にでもなろうとしてる。これがおばちゃんの真の強さか!やばい笑いをかみ殺すのが辛い。そしてユイよ足を踏むのはやめてくれ。


「ではありがとうございます。じいちゃんには帰ってきたら伝えておきます。」


 そして店を去る俺達、そして人目がないとこに移動する。


「あのお婆さんはなにを言ってたのかしらね~私がシンドウさんの娘だなんて。屈辱やら憤怒やらいろんな感情がうごめいているわ。どうしたらいいと思う?」


 あらら..ユイさん額に青筋が浮かんでいらっしゃる。これで営業モードは終わりだ。


「飴でもなめて元気だせよ。..痛い足を踏むのはやめろ。」

「はぁ~まぁいいわ。これで勝負に関しての問題は解決ね、詐欺師さん。」


 まだ怒っているだろ間違いなく。


「少なくともお金は払う気はあったんだが...断るほうが怪しまれそうだったからな。後からこっそり封筒に入れてポストに入れておくさ。」

「それもだけどロウチって誰でしか!って感じでしたよ。捕まえる前に聞き出したんですよね?全く抜かりがないというか、やはり狡猾よね。どこまで計算していることやら。」


 こうして勝負の第一段階はクリアした。

 疲れたから。冗談のつもりだったんだが、ユイとデートでもして気を紛らわせようかな。


「ユイ調子はどうだ?」


 俺は買い物袋を持ちながら、少し気分が悪そうなユイに尋ねた。こればっかりは必然的こうなることが分かっていたため。気をつかわなければならない。


「酷い状態よ...結末はおそらく最悪のパターンよりマシってところですよ。」


 空間魔術を使用し続けること自体ならユイは一か月でも余裕のはずなんだが、使用している以上中の様子がリアルタイムで分かるらしい。


「俺の人を観る目が落ちてしまっているのかもしれんな。12年はあまりに長すぎたな。」


 ユイはあの神域でも記憶改竄が行われていたとはいえ力はそのままであったため、あまりブランクがないかもしれんが、俺に限ってはすべて封じられていたため全く使えなかった。


「じゃあもう観えてはいないんですか?魔の流れが。シンドウさんの場合は気というやつでしたか。」


 俺が封じられたものの一つである観る力だ。この力が他を圧倒するほどに秀でていたため俺は仲間を部下を配下を従えて挑戦したのだ。だが敗れた。その代償は大きかったようだ。


「手に入れた暴かれた力で戻せないんですよね。シンドウさんの観る力は?」


 こればっかりはどうにもならん。この力は俺自身のことを俺以上に知っている又は持っている必要がある。要は俺と同等の能力を持っている人間が暴かねば戻らないらしい。


「お前は女神の時、すごいテンションで馬鹿騒ぎしていたが、これはユイが思ってたような能力じゃないんだぞ。相手が俺を空中を自在に飛べる人間だと思い込んでいたとしても、飛べる能力が身に着くわけではないんだよ。流石に俺も学園にいたころに真面目に他の能力値上げやっとけばと後悔してるよ。」


 俺は基本一点集中型なんだ、ひたすら極めようとするだけなので必然的に弱点が多い。よくあるだろ数学の点数はやたら高くても他が低いそんな生徒だった。


「シンドウさん、さっきかららしくないじゃないですか?傲慢不遜の俺TUEEE丸だしのナルシストなシンドウさんはどこにいったんですか?」


 俺の見られ方ってそんな感じなのか?恐れをしらんとか、容赦がないとかそういう風に言われることは度々あるが...確かに俺らしくないとは思っている。だが現状を打破するピースがどうしても足りないのだ。マカベが持っている以上どうしようもないのだが。


「ユイ言っていいことと悪いことがあるぞ俺はナルシストではない!なぜなら俺が自分のことを好きになれることなどあると思うか?」


 こんな嘘にまみれた陰惨な過去を受け入れることなど到底できない。不幸を呼び寄せるとかそんなレベルではない。失いたくないものほど世の中ふとした瞬間奪われるものだ。俺は昔から防ぐことなぞできん。


「ユイ改めて言う。俺の気分は今超絶に悪いからデートでもして慰めてくれ。」


 ユイもそうだと思うが、今ノンストップでことを動かし続けているのだ。かつて神にでも抗う意志で挑み続けた結果もたらしたのは敗北であり死体の山を築くだけだった。代償は既に払われたと思い込ませているとあっても残された猶予がないことは分かっている。これから起きることも最後の思い出となるのだから。


「シンドウさんは素直じゃないですね。どうせ私の心配をしてくれているのでしょう。いらないと言っても聞かないのでしょうから甘えさせていただきますね。」


 ったく。こちらがプライドを捨ててでもそう言わせないようにしたのに、器用貧乏はつらいもんなんだぞ。本人は気づいていないようだが本来のユイとしての直感が告げているのだろうか?


「んじゃまずは。ショッピングにでも行くか。さっきの買い物から2時間経過したな、もういいだろ。」

「なんかこの2時間で変化でも起こしたの?」


 この小さな変わり映えのない村でいつもとは違った日常が起きたらどうなると思う。伝染するもんだよ世間話で俺達の噂がな。年寄りは話好きだからな。


「デートを盛り上げてくれるさくらが満載だってことさ。」


 ◇


 通りを歩いて5分。

 ショッピング通りに行くと期待通りの結果となった。


「あなたがロウチさんかい?ジロちゃんの孫だとか。」

「はい。ロウチです。ここには綺麗な服がたくさんありますね娘に試着させてみてもよろしいでしょうか?」

「まぁまぁ可愛い娘さんだことぜひとも試着していって頂戴。」


 娘という単語が出た瞬間またユイが不機嫌そうな顔をしたが仕方なかろう。

 服装もこれから必要となるだろうからな。ユイにはいつでも可愛い姿でいて欲しいもんだ。


 ◇


 1時間ほどは試着を楽しんだ。

 個人的にはなぜかおいてあった日本にしかこの文化がないのではと思っていたネコミミとメイド服があり。試着を頼んだんだが断られた。


「シンドウさんの趣味、趣向が地球で悪い影響を受けたことがわかってしまいました。」

「いやいや、あれはどの世界であろうと男を魅了する服だって!ユイが来てる姿想像するだけでそそるものがあるんだよ。」


女性も可愛い服装をしたいと思うことは当然あると思ったがユイは違うタイプだったらしいな。っく見たかったなネコミミメイド姿....。


 ◇


 二店目は喫茶店だ。

 しかもねこだらけの喫茶店


 わりと動物好きな自分としては癒される。なによりユイと戯れているネコを観るのはさらに癒される。

 人口は少ないながら独特な店を開いてるもんだな。

 人間考えることは似るもんだということだな。


「私は動物なんて飼ったことないのですが。シンドウさんはありますか?」

「動物はネコだけ飼っていたことがある。他種族を飼っていたのは。また別のくくりでいいはずだよな。」


 いろんなの飼っていたといえば飼っていたが愛でる目的じゃなかったからな。昔の記憶を思い出しそうになったが遠い過去過ぎて忘れた。


「でも動物を飼ったことがないというがユイの家では飼うことはできないんだっけか?」

「うーん飼うことができないわけではない....はず。いやおかしいわね飼えない理由があった気がするのだけど昔の記憶がもう曖昧で思い出せないかな。こんなに可愛いのに飼わないなんて勿体ない!」


 2時間ほどティータイムを過ごした。


 ◇


 日が暮れてきて夜が近づいてくる。

 村から少し離れた草原で寝ころびながら星を見上げる


「星座は異なるが、星がきれいに見えるというのは変わらないんだな。」

「そうですね。傍目からしか地球を観察はできていませんでしたが、夜空に浮かぶ星たちは綺麗です。」


 そんな他愛無い雑談を2時間ほど繰り返し。

 終わりの時は来てしまう。あの赤い輝きによって。


「乱咲待たせたわね。そして電報にあった通り例の人口ヒューマノイドを持ってきたよ!」


 突然の来訪者は愛華 紅姫(まなか べにひめ)あだ名は マカベだ。


「マカベさんどうしてここに!シンドウさんが呼んだんですか?」


 そうだ呼んだ。既に場所は伝えてあったんだ。後はこちらの世界に来たことを合図すればよかったんだ。

 なぜそれをユイに伝えなかったのか。それは..


「ユイ、君とはここでお別れだから。マカベのことは言う必要がなかったんだよ。俺の嘘を決して許さなくていい。」


「ど、どうしてお別れなんですか!私達は仲間でしょうシンドウさん!」

 そうユイは仲間だ。それは変わらない。


「お前はユイではないんだよ。嘘はやめろ、俺には通用しない。」


 嘘であって欲しかったよ。本当に今回だけは。


 こちらの世界に来たとき俺の思い過ごしかと何度も疑った。ユイの気が全くべつの者と入れ替わっていると、だからこそ何度も探りをいれた。記憶は確かにユイのものだ、だが記憶改竄より食い違いが生じていることに本人が気づいていない。


 俺の観る目は失われていないんだよ、言えるわけがない!確かにユイではないさ、だが俺の計画のためには本当のユイである必要がある。偽物ではなく俺がこの世で最も愛した神藤結でなければ計画の意味すらなくなってしまう。


「そんな嘘ですよ、確かに私は神藤結のはず。亜神種(あいつら)に捕まり守護役に祭られた。」


「お前はあの亜神種(げどう)どもに、一回は魂を食われかけたんだよ。俺は自分の身を犠牲にしてでもお前の魂だけはマカベに託した。正直死にもの狂いだったから託せたかどうかも半身半疑だったがな。」


 んじゃこいつはなんなんだよって話になるよな。あいつら人の魂を記憶をなんだと思っていやがるんだか、そしてあの戦いを敗北と悟った自分の出た行動は、あいつらの考えすら生ぬるいさらにどす黒いものであったことを思い出してしまった。


「ようは優秀な神藤結の魂をコピーし利用されたのがお前だ。..そしてそうなることを予測した上でこの状況を描いたのは俺だ!正直お前に殺されるんだったら俺は喜んで死んでやるよ!寂しくないよういつまでもそばにいてやるよ」


 そんなことを言っても結果は変わらないことは、俺もユイも分かっている。本当に自分のクズさに嫌気がさす。


「シンドウさん..いや乱咲さん、そんな泣きそうな顔しながら言われても説得力皆無ですよ。いつもの傲岸不遜の俺TUEEEでいてくださいよ。はぁ私まで地球に悪影響与えられてしまってますね。」


 すまない。これは乱咲擾が生まれて3番目に償いきれない、犯してしまった大罪だろう。


「あぁ~だから急にデートしようなんてわがまま言ったんですね。本当に心配性であり、実は優しいんですよね。そういうとこ無駄に気を遣われているようで本物も偽物も等しく、乱咲さんの嫌いなとこですよ。」


 そうだよな。仲間なんだから遠慮はなしだよって初めに言ってくれたのもユイ、君だったな。

 絶対これだけはなにがあっても忘れないよ。


「では乱咲さん暴いちゃってくださいよ私の正体を、確信はありませんが元の魂はこの身に宿ると思います。そういう設計をしたんでしょ。技術者であり最速の異名をもつマカベさん」


「そんなとこまで知られちゃってるんだ、ユイの記憶を持ってるのは本当なんだね。技術者として保障するよ。」


 そんなかつての友人同士のような会話を繰り広げる。俺にとってはかけがえのない、いつもと同じ風景のはずなのに、やはり許すことができない。


「俺が言うのもなんだけど、そんなあっさり納得しないでくれよ。お前は消滅するんだぞ、死ぬんだぞ。もっと俺に恨みごととかあるだろ。俺にとっては、俺が傷つかないように必死で取り繕う姿が一番耐え難いんだぞ。十字架背負わせるな地獄に引きづり落とすくらいでやれよ」


 みっともないことこの上ない、どうして黙って見送ってやることができないのだろう。俺が招いた結末なのになぜ俺が駄々をこねているのだ。


「はぁ~人が折角やせ我慢しているのに乱咲さんは最低ですね。本当にクズですね。..それでも乱咲さん。あなたのことが好きですよ。世界で最も愛してます。乱咲さんは私のことどう思ってますか?」


 そんなの決まっている


「...あっ俺別にユイのこと恋愛対象として1パーセントも見てないから勘違いするなよ....俺が最も愛したのはお前ではなく本物のユイだ。敵うわけねーだろ永久に二番止まりだよ。」


「残念です。最後くらい一番って言ってくれてもいいじゃないですか。もう許しませんから!..」


 いきなりであった。いや今のは俺が悪い正直逃げる気がこれっぽちも起きなかった。はぁまた俺は嘘を言ったのかもしれない。口づけしにきやがって、テンプレかよ。でもこれを断れるやつなんていないだろ。


 口づけが終わると

「お前はユイではない偽物だ。だからお別れだ。敵は必ず取ってやる。乱咲擾の名にかけて」


 ユイは微笑みを浮かべながら

「乱咲さんらしいですね..では...」


 ユイの体から何かが気化したかのように抜けていく。


 あいつの全ての始まりと終わりを俺は描き心に刻んだ。あいつがいたことは俺が覚えてるし決して忘れない。嘘になんてしない。俺はこの世界を救う、いや間違ったこの世界を滅ぼすため計画を進める。






嘘で始まり終わる世界をお読みいただきありがとうございます。

スペラ@小説家になろう

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