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7-2 嘘は咎人に在り方を示す②

シンドウの初戦は始まる

「第二区画か....おそらくだが開発させる用途があるんだろうな。」


 俺達の前には、監獄らしくあらゆる拷問器具が置かれ囚人共がそれを受けている。だが拷問器具と言っても死に直結するような物ではなく、肉体的、精神的に蝕む物だけだ。


「お前らが第一区画の監守を破った者達だな。お前達であれば富裕でも構わなそうだが選んだ以上貧困のルールに従って貰う。」


 なるほどなおおよそ検討がついた。ハズしたな~。ケンジ的には当たりかもしれんがな。


「この貧困マップは3日に一度囚人はこちらの指定したルールの元バトルをして貰う。相手に勝てばチップを一枚頂戴し、負ければチップを贈呈する。もしチップがなかった場合ここで拷問を3日受け続けて貰う。10枚集めた場合はそれと引き換えに富裕マップに移動する。以上だ。何か聞きたいことはあるか?」


 敗者は負け続ければ死ぬまで拷問を受け続けるわけか、怖いシステムだなぁーおい。


「2点ある。バトルでは賭けるチップを増やすことは可能ですか?チップがどういう物か知りませんが、バトル以外で奪われることはありますか?」


「ここの囚人同士で賭けるチップを増やすことはできない。バトル以外で奪われることもある。だが不当に奪われることはないことは約束する」


 まだ隠されたルールがあるということだな。先ほど話していたルールでは、俺が質問したことに矛盾が発生している。だが答えは嘘をついていない。


「基本は自達で調べろってことでいいのか?それとも今質問すれば何でも答えてくれるのか?」


「答えられる範囲に限りがある。自分達で調べるというのは妥当な考えだな。」


「んじゃ最後にしておく。俺達今日第二区画に来たばかりだ。衣住食はどうすればいい?住む場所は上の階に用意されたものがあるがそこに戻ればいいのか?」


 なぜ聞くかと言うと。エレベータで下に下がったらもう受け取ったカードで上に戻れなかったからだ。


「上に戻る必要はない。こちらでまた用意した。荷物も既に運ばせてある。ここでも刑務作業ができるから金を稼ぎ食べる分には食堂で購入できる。衣服も同じだ好きにするがいい。以上だ。では案内を寄越してやる。では励むがいい。」


 監守は去っていく。また一波乱起きる可能性があるな。


「ケンジはどう見るこの第二区画のルール。」


「フェアにできているだろうが貧困と富裕の差がどれだけ影響を与えるかが問題だな。」


 ケンジも想定はしているか。第二区画の作りが2つに分けられてるなら当然起こる格差、そしてそれに伴うルールが存在する。


「しかしだこれは実に俺向きだろうな。そう思わんかシンドウ。」


「そうだな。まだルールを確認してないが間違いなくケンジの方が先にクリアしそうだな。」


 ◇

 意見交換をしていると案内が来て部屋に案内された。


「だからさここは監獄だよな!なんでこんなに設備がしっかりしてんだよ!」


 キッチン、トイレ、風呂にエアコンがあり部屋がもう一つある。二段ベッドもより質が上がってる!

 これは1DKってやつか!俺は地球で1K暮らししてたのでちょっと感動が...。


「俺が上で、シンドウは下な。今日はもう寝るから。散歩がてら軽くあの監守に喧嘩売ってくるわ。」


「おう、おやすみ。監守には手をだすな!寝ろやぁぁ!次はツッコまんからな絶対に!」


 動くのは明日からとし寝ることにした。案内の人に初戦はどちらも明日だと言われたので休むこととしよう。


 ◇

 翌日となる。

 バトルは午前10時と言われている。


「さて初戦かどんなルールか分からんが油断はできんな、気を引き締めていかなければな!だから起きろぉやぁぁ!ケンジィィィイ!」


 現在午前9時。ケンジは寝相が凄く悪い。上を選んだわりにはベッドから落ちている。しかも結構離れた位置まで移動している。


 仕方ないので冷や水をぶっかけてやる。


「..うわぁ..なんだなんだ。..はぁ~もう朝かゆっくり寝かせろよなシンドウ。」


「昨日夜8時くらいには寝ただろうが!寝すぎなんだよぉ!」


 次からの対戦は午後に行えるように提案しておこう。


「準備しろ。お望みバトルだぞ。」

「..ヒヒィ..。あぁ楽しみだぜ。どんな奴がくるかよぉ。」


 俺達はそれぞれ指定されたフィールドに向かう。


 ◇

 シンドウ側


「ここか...?15㎡くらいの深いプールか。」


 これは水中戦を行うことになるんだろうな。


「あなたが私の対戦相手のシンドウさんなんですかね。第一区画の監守を破ったと聞いたからどんな方かと思ったら高校生なのかしら?」


 対戦相手と思われる女性囚人が現れる。周りには他の囚人がいるのでルーキーである俺を見に来たのかな。


「いえ監守は連れのケンジが破ったので、倒したのは俺じゃないかな。だからお姉さんお手柔らかにお願いしますね。」


「顔もいいし、いい男ね君は。もちろん優しくしてあげるわ。負けたら私の物になりなさいよたっぷり可愛がってあげるから。」


 いや~アラサー一歩手前のスタイルのいい綺麗なお姉さんかと思いきや肉食系なのかな。怖い怖い。

 魅力的な提案だが俺にはユイがいるからな誘惑は通用せんよ。


「魅力的な提案ですね。俺もお姉さんみたいな綺麗な人にだったら抱かれたいな。でもまだ俺にはそういうの早いかな。」


「ふふ..連れない子なのかしらね。そろそろ開始時間ね。」


 アナウンス「ただいまより 千秋 VS シンドウ のバトルのご説明を行います。お二人には今からレギュレータ(呼吸器)と水着を用意します。装着し水中戦を行って貰います。ギブアップ又は戦闘不能で勝敗がつきます。以上です。」


 監守が来て案内される。装着して会場に戻ると盛り上がっていた。


「皆私の応援よろしくね~。」

「「「うぉぉぉおお!!!」」」


 男どもがビキニ姿の千秋さんを見て興奮している。なんでビキニなんだ。そして思った以上に監獄感ないなここ。貧困マップでもチップさえあればそんなに苦難はないのか。


「来たわね。シンドウ君でいいかしらね。場は温めておいたわ戦いましょ!」


 ウインクをするな。個人的には嫌いな人ではない。ビキニ姿の綺麗なお姉さんを嫌える男子がいるものか。なんで俺よりも着替えるの早いのだろうというツッコミをしたいところだがレギュレータを既に口に付けているのでお辞儀し先にプールに入った。


 水中の所定の位置に着くと足に重りつけられた。浮き上がらないようにするためか。空気の残量的には20分というところか。千秋さんも所定の位置に付き重りが付けられる。


 アナウンス「ではバトル開始です!初めてください!」


 アナウンスと共に千秋さんは泳ぎこちらに向かってくる。重りは5kgというところだろうが早いな。

 そして手が光っている。これは少々苦戦するかもな。


「...ぶを...ぼわ(錬成魔術で鉄の棒を生成とか勘弁しろや)」


 俺は小さめのトンファーを二つ生成し応対する。

 力もなかなか強い。第2区画はエリア戦経験者が集まっているとみるべきだな。

 ちなみに装着物には魔術加工がされており魔術で外すことができなかった。裸にひん剥いてやりたかったが残念...やばいなんか殺気を感じた。ユイにはバレてないはず...だよな。怖いな~


 続いて千秋さんは槍を生成し突っ込んで来る。やばいな最初は本当に優しく気絶でもさせに来ていたのかもしれんが容赦する必要がないと判断したのかな。


「....!?」


 俺は突っ込んできた槍を白刃取りし方向を変える。そして...


「「「うおぉぉぉおお!!!」」」


 男どもが叫ぶ。プールはカメラで撮影され会場のディスプレイで中継されている。俺は自分の手で千秋さんビキニトップスを外した。くっ後ろから外したため見えなかった。


「....。」


 千秋さんが胸を右腕で隠し怒りながらこちらを睨みつけてくる。

 いやすまないと思っている。だがこれがテンプレートというものだろう。いやならスク水でも着ればよいのだ。....ごめん正直レギュレータを取り呼吸できなくすることはできた。でもやりたかったんです!自首しに行くか...ここ監獄だっけかそういえば。


 ◇

 戦いは続いたが、レギュレータを外し勝利した。


「シンドウ君はいけない子ね。そして監守を倒してはいなくとも倒せる実力はあったんでしょ?」


 少し怒りながらも完敗したためか友好的に話かけてくる。


「どうでしょう?戦ってないのでなんとも。お姉さんも強かったですよ。水中での泳ぎがマーメイドの如く綺麗でした。」


 俺は営業スマイルで答える。俺は何も誰にでも喧嘩腰なわけではない。ここでの情報も欲しいので友好は深めておきたい。


「お世辞は結構よ。意地悪な子ねシンドウ君は。喰らえ!」


 抱きしめられた。豊満なふくらみが何とも言えない。


「「「クソガキが許さねぇぇえ!!」」」


 やばいここの男どもとの友好は破滅したようだ。


 ケンジはどうだろうな....。



 初戦を勝ちチップを一枚貰いケンジの方へ向かった。


「「「うぉぉおおおおお!!!!」」」


 近づいただけでもかなり盛り上がってる。そしてまだ終わっていなかったようだ。


「すみません。ケンジの連れです。どんな勝負してるんですかあれ。」


 俺は観戦者の1人に話しかける。


「ほう。あのあんちゃんの連れかい!すごいねぇホントに、勝負はお互いに一つの手錠を手首にはめて逃げれないようにし、お互い一発ずつ殴り合うのさ!このマップ随一のタフさを誇る原田にもう100発以上は殴り合ってるよ。」


 うえぇ~そんな勝負したくねぇ~。俺あのお姉さんで良かった。そしてどちらも初戦は手練れと当てられてるなこりゃ。調子に乗せないためだな。


 原田「てめぇ!不死身かこのやろう...ぐふぉ!」

 ケンジ「黙って戦えやおらぁぁ!もっともっとやろうぜ!なぁーおい!..がぁぁ。」


 うわ本当にひたすら殴り合ってる。楽しむために手を抜いてやがるなケンジのやつ。


「「「うぉぉおおおおお!!!!」」」


 観客五月蠅いし別の場所を見てくるか。


 ◇


 2時間後

 決着がついたようなので見に行くと。


 ケンジは原田を踏みつけ咆哮を上げていた。さすがに少しあざができているな、まぁ時間経てばすぐ直るんだろうが。


 ◇


 1時間後

 お互い部屋に戻り初戦を勝ち抜いたことの乾杯をする


「まぁ勝つだろうとは思ったが、勝ちは勝ちだ!乾杯!」

「乾杯!いや~最高に楽しかったぜ!早く次の戦いがしてぇええ!」


 ケンジは戦い終わっても興奮が収まらない様子だった。ああいう戦い大好きだからなこいつ、ここの囚人には悪いが付き合って貰おう。


「そうだな。戦うこと自体は久しぶりだった気がする。ケンジからみて相手はエリア戦経験者だったか?」


「経験者だなあれは。だがエリア1掃討に加わったってところだろ。まだまだお前のいうステータスが壁を越えていないようだがな。」


 やはりか。エリア戦を生き残り経験値を得てもステータスが上がるには上がるが壁がある。例えばで言うとレベル1からレベル2に自動的上がるわけではない。何かをキッカケに壁は越えられる。人それぞれのためこれは確証はないのだ。ちなみに匙 冬馬はここの囚人をレベル1だと捉えればレベル3に到達していると言っても過言じゃない。


「富裕マップは壁を越えた者か勝ち続けた者のみが入れるってところかな。だからあの監守は俺達なら富裕マップからでもと言っていたのだろう。」


「おそらくそうなんだろうな。でも3日に1度では一か月は掛かるな。面倒なこった、シンドウ考えがあんだろなんとかしてくれ。」


「ケンジは今日のようにギリギリの勝負を装うように楽しんで勝ってくれればいいさ。釣れれば最短で半月で終わるよ。さらに短くするには状況次第だが9日というところか」


 せめて3枚か5枚獲得すれば可能性としてはあるだろうな。


「...なるほどな。俺は後からでも構わん早くしてくれればいいさ。んじゃ俺はトレーニングルームに行く。」


 この施設は自己研鑽ようにトレーニングルームが用意されていた。図書館もだ。人として更生を促すのが監獄の姿だからこれでいいのかもしれんが、環境が良すぎないかなこれ?


 ◇


 俺は試合を見学がてら散策していると揉め事が起こってる雰囲気のある場所を見つけた。


「私は今チップ4枚だけよ!私に勝負を挑まなくても他に持ってる人がいるでしょ!」


「嘘をついてもばれるぞ?お前今日新人と当たるって聞いたぞ。それで6枚のはずだ!なら勝負できんだろがよ。俺はお前みたいないい女と勝負したくて待っててやったんだぜ。6枚掛け勝負しようぜ!怖いなら5枚でもいいぞ。」


 ストーカー目的じゃないぞ。俺は千秋さんに発信器を付けておいた。おそらくだが新人と手練れが戦うのが通例となっているなら何かしら行動が起きると読んでいた。


「やめてよもう!エリア戦でのことは謝っているじゃない!私は本当に4枚なのよ。新人の子に負けちゃったから....。」


「おいおい嘘だろ!あの千秋さんがルーキーに負けたんかよ!傑作だな。...っけつまらなくなったもんだな。チップを陳家に一枚づつなんて本当に面倒だな貧困マップはよぉ。」


 千秋さんが悔いを抱く濃青の色を漂わせている。正直全くあんたらの人間関係に興味はないが餌として使わせて貰おう。


「お!そこにいるのは千秋さんじゃないですか!先ほどはお世話になりました。」


 俺は千秋さんに話しかけてお辞儀をする。


「おい!今俺が話かけてるんだ失せろガキ!」

「千秋さんこの人誰ですか?ストーカーですかね。いるんですよねモテない人って自分に自信がなくて怒鳴ることしかできない。そういうタイプが」

「あぁ!てめぇ舐めてんのか!見たところ貧困のやつだろ。富裕で見たことがねぇ。」


 富裕と貧困は行き来できるのか、それとも富裕だけは行動を許されているのかだろうな。


「はい私は貧困マップの人ですよ。千秋さんとは抱き合ったこともある貧困の仲の人ですので他の男に言い寄られるところ観るのは例え富裕の人でも見過ごせませんね。」


「おい千秋どういうことだ。お前年下好きだったのかよ!あぁ!」


 俺は千秋さんには悪いが口を塞ぎながら抱きしめ、こっそり耳打ちする。


「話を合わせろ。あんたを富裕マップに連れていってやる。」


「おい!千秋に怒鳴るのはやめろ!これだからモテないやつは~。この前はビキニ姿で俺をハグしてくれる特別なプレイまでしてくれたぞ。その時はお互い激しすぎて息も絶え絶えだったな。最後は俺にビキニトップスまで外させてくれたよ。いい時間だったな~」


「...くぅ..貴様!..ただで済むと思うなよ。チップは何枚持っていやがる」


 わーい。いや~餌という名の千秋さんに食いつき釣れたな~


「今は1枚、仲間の了承を得てもう1枚かな。千秋に頼むのは忍びないからな~それ合わせてなんとか6枚かな。さすがに申し訳ないから頼めない。断られても仕方ない。仮に失ったとしても俺が責任を持ち12日分拷問でも構わない。千秋さんどうしましょう?」


「....いいわよダーリンのためですからね。いくらでも貸してあげるわ。」


 いい子だ。乗ってくれる可能性は低いと思っていたが、恨みの感情が勝ったらしい。わざとほっぺにキスまでくれた。


「ハニーありがと。モテない男さん?6枚は出せるが勝負するかい?俺は千秋さんの魅力に負けて千秋さんの物になりかけたくらいだけど、こうして今ではこういう仲になれたよ。」


 俺はさらに抱きしめるようにする。お互いの顔が近くなりキスができそうな位置まで引き寄せる。


「よせぇ!くそ生意気なガキが調子に乗りやがって。後悔することになるぜ。千秋よりも弱いゴミが俺に勝てるわけないのによぉ!勝負してやるよ!」


 名も知らん富裕の男は何かの端末を作動させ勝負のサインを出している。それとやはり千秋さんの口癖か何かだったのか物扱いは。


 さーてレベル2がどれほどのもんか肩慣らししてやる。

 後こんなことしてもしユイにばれたら殺され兼ねないな。




シンドウさんうらやまけしからんですな。

シンドウさんは浮気性の疑惑が。

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