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6-2 嘘の決断は邂逅を迎える②

体育祭に向けて作戦です!

 7月1日新たな課題が言い渡された。


 課題:知と体のジレンマ


 7月の上旬から中旬まで体育祭を行う。

 7月の中旬から下旬まで知力テストを行う。


 ルール

 本課題においては相手に危害を加える行為は許されない。


 テストにおいて不正行為は許されない。


 体と知で獲得したポイントが全体20%以外の者はペナルティーを課す。


 体と知で獲得ポイントが全体1%以外の者は退学とする。


 以上



「やばいこれは詰んだかもしれん。このパターンくるかよ。」


「シンドウさんユイさん入れば勉強できるんだからいいんじゃないんですか?僕は勉強しないとまずいと思いました。」


 お前はこの学校に入る条件を知らんのだ。そして俺たちは特別編成クラスなんだよ。


「この学校の一般生徒の知の面での合格は偏差値70オーバーと言われる。そして体の面では全国大会の優勝レベルが推薦で入る場合に偏差値60オーバーを必要とする。こんなこと教えてもなと思って言ってなかったがこんなに早く課題としてくるとは。」


 体の面で得点が取れるだろうと思うだろう。だがそんなに甘くない。


「そして特別編成クラスに配属される条件はさらに精神力が求められる。ようは心技体をを全て兼ね備えるわけだ。しかも勉強なんてする余裕は特別編成クラスのリーダーにはほぼないぞ。」


「組織メンバーの体育祭の種目登録を考えるとかですか?でもそれくらいで時間がなくなることはないのでは?」


 クラスのリーダーが参加種目決めるだけならそうだろうが、今回はペナルティーがある。


「それだと、ペナルティーを喰らいまくる結果となるぞ。体育祭の出るメンバーは体としてポイントを得られるからな。」


「...なるほど。下位20パーセントにならせないため出場メンバーを決めると、そしてそれには組織メンバーの点数を知らなければいけない。体育祭の具体的な日程は決まっていませんが、始まる前に把握しないといけないわけですね。知で優秀な人には体で優秀な人に知を教えさせ、体で優秀な人には知で優秀な人に体を教えさせる。みたいなことですか?」


 大分冷静に考えられるようになって来たな。それを行わないと足元を救われる結果となるだろう。このリーダーは配下全員をカバーできる力はないんだと。普通は勉強できないやつに教えるのは楽だが、元々できている人間に壁を壊させるのは難しい。それを短期間でやれというのだ、体育祭もあるのに。


「そうだ。どうするヤマタケ、十中八九お前は体と知を両方学ばないと最悪退学するだろうな。」


「それは幹部に厄介事を任せてもいいってことですか?僕が学ばなければ退学するというなら、それしか方法ないと思いますが。」



 選択肢として残されてるのはそのくらいだからな。指揮官として全てをこなすことは無理だ。部下、配下にやらせて動かす。俺はそうやってきた。


「好きにしろよ。リーダーはお前だ。やれというならやってやるよ。」


「仲間に手伝って貰ったとしてもおそらく僕は手が回らなくなると思います。...シンドウさん僕の組織を支えて下さい。」


「承知した。絶対の保証はできんが下位20%にならんようにしてみるさ。んじゃ行動するかね。頑張ってくれよ〜」


 俺はそう言葉を残し去っていく。


 ◇


「さーてどこから始めるべきか、ユイ手伝い宜しくな。」

「仕方ないですね。リーダーが初めて幹部に向けて命令したのなら受けるしかないですね。」


 いつもにこやかで本当に癒されるな。全て放棄し愛の逃避行したい。


「まずはデータ解析だな。やはり組織数が増えたため膨大だな。久しぶりだよデータ解析して戦略を立てるなんて。」


「部下、配下をどれだけ取ってもシンドウさんは把握することは時間を惜しみませんでしたからね。そういう一人一人をしっかり観ることは素敵ですよ。」


「...全く、ユイは俺を過大評価しすぎだって言うのに。俺はユイのことだけ知って生きるだけでも充分なくらいだと言うのに。」


 俺達は作業を続けながら雑談を繰り返す。

 こういう時間は大切だし、俺はかけがえのないものだと思ってる。


「私はそれじゃ満足できませんよ。やはり皆いるなかで祝杯されながらシンドウさんのそばにずっといたいです。私の望み叶えてくれますか?」


 雑談くらいだと言うのに、随分と難題を注文してくるなぁ〜本当に


「過去にも言っただろ、ユイが望むなら俺は絶対叶えてやると。やはり雑談はなしだ!俺も余裕があるわけではないからな!」


「分かりましたよ。シンドウさんは照れ屋ですね〜。いつまでも応援しています。」


 1日かけて作戦を練り上げ

 次の日に配下に伝えて回り、行動させる。


 ◇


 そして5日後、課題は開始された。


 2日後に体育祭が開催されメンバー表を受け取った。


「学校がでかいだけあって種目が多いな。これをさらに踏まえメンバー構成を行うのか。はぁ〜ユイまた頼むな。」


「分かりました。シンドウさん雑談付き合って下さいね。」


 ユイはからかうというかマジで返してくるからな、とてもじゃないが精神が持ちません!襲わないようどれほど自制しているだろうか分かっているのかな、この子は全く。


「いくらでもしてやんよ!さぁもう一踏ん張りだ!」


 こうして体育祭までの日々は過ぎていく。



 体育祭は宣言通り迎えた。


 第1競技目:簡易版トライアスロン(30km)

 第2競技目:持久走(50km)

 第3競技目:鉄球投げ入れ(500球)

 第4競技目:魔術による魔力砲弾連発(30発分の威力測定)

 第5競技目:魔術による自己強化受け身(30発分の受け身耐久力を測定)

 第6競技目:方側目隠し二人三脚(1km)

 第7競技目:障害物競走

 第8競技目:組体操

 第9競技目:特例として総合武術トーナメント

 第10競技目:特例として各リーダーによる徒競走(参加の義務なし)


 特例はこの競技に限り危害を加えることを許す。障害レベルA以上の場合のみ失格


 スポーツマンシップに則り行うように


 以上。


 これを先日、報告を受けた。完全に計りに来てやがる!というのが感想だ。

 これは第1競技が終わったら第2競技に移るわけではない。前半戦として第5種目までは30分おきにスタートする

 。後半戦は終わり次第である。

 体が優秀なメンバーが最初から最後まで出続けることが不可能なのである。

 この課題内でのポイントは第1〜5種目までそれぞれ最高200ポイントずつ貰える。第6〜8種目は最大50ポイント。第9種目は最大100ポイント 第10種目は最大50ポイントである。


 知力テストのポイントはまだ明かされていない。


「まさか組織内の成績だけでなくステータスまで調べることになるとは。」


 その女子のも調べないといけないのでそこは役得ではあったのだが、ユイに冷たい目で見られたのは泣きそうになった。先に男子のステータスを調べ凄まじく性格なデータが取れていることが実証されたため受入られたのだ。しょうがないじゃないか!


「私はもう怒っていませんよ。そのシンドウさんに触られる異性は私だけにして欲しいなとは思っちゃいますけど。」


 もじもじしながら言うのはやめてくれ!ポーカーフェイスができなくなるくらいにやけてしまいそうになるわ!


「いや〜いつ見てもお熱いですな〜お2人さんは!」

「本当羨ましい限りやな〜シンドウさんもなかなかイケてる人やし、まいってしまうな〜」


 いきなり双子?似てるやつが現れた。


「いきなりなんだ?誰だよお前ら俺とユイの邪魔すんな。早く第1競技行け。」


「そんなぁ〜覚えて下さいよ〜摩耶ですよ。」

「連れないお人ですな〜麻耶ですよ。第1競技行けってことは知ってるってことじゃないですか!いけず!」


 なんとなく場の空気が緩くなるんだよな。麻耶と摩耶がいると。そして過去のこと過ぎて忘れてしまうわ。


「シンドウさん、彼女たちはトライアスロンでしたね。筋力バランスがいいと言ってましたっけ?」


「この双子は恐ろしく全体的な遅筋と下半身の筋力の質がいいんだよ。これは生まれついた資質だな、俺はこいつらを部下にしたいと考えているよ。」


 遅筋とは長時間維持する筋肉、そして足腰の筋力バランスが遅筋と噛合いすぎている。おそらく良い師匠でもいたのではないかな。


「まぁ今のままだと姉の摩耶は配下止まりになるかもしれんがな。妹は結構周りが観えるタイプらしいからな。姉の方はな~」


「なんでや!姉が妹に負けて黙ってられるかい!たとえシンドウさん相手でもその喧嘩買ってやりますよ!」


 そういう所なんだがな。妹とセットで力が乗算されるタイプだ。ヤマタケとミッシーとは逆だろう。


「ちょっと失礼。右太ももとお腹触るぞ、訴えたければ訴えていいからな。」

「ひゃいっ!ちょっといきなり何するんですか。破廉恥ですよ!」


 五月蠅いやつだ。確かにやわらくしなやかだ。ユイほどではなくとも触り心地が良い..。


「摩耶。昨日俺が作った部活でまたケンジに戦い挑んだだろ。そして睡眠不足だな、今日が楽しみであまり眠れなかったのか?ガキかよ。お前師匠か誰かに毎日ヨガでもやれって言われてるんじゃないか?体幹がお前の方がいいらしいからな。」


「...本当にシンドウさんはただもんやないな。師匠もさらに高みを目指すためと考察し考え抜いた方法としてヨガを提案してくれた。それも入学前だから経った4か月のことですよ。」


「いやその師匠は相当手練れだと思うぞ。謙遜するようなものいいはしなくていい。ユイ癒してやってくれ。この二人には1,2フィニッシュして貰うからな。」

「わかりました。でも先ほどの行為は許しませんからね。」


 ....はい反省します。正直JKの生足を触るのは犯罪ですね。


「また高いハードル要求されてしまったな~お姉ちゃん。私が1位でいいよね?お姉ちゃんなんだから妹に譲るもんだよね。」

「何をいってるかな~例え妹であっても1位は譲る気はないわよ。勝負ね!」


 お互い良い闘志だ。お互い高め合ってきたのだろう。


 ◇

 第1種目が始まった。


「さて次はヤマタケ行ってこい。持久走なら何の技術もいらんとは言わんが他競技に比べればお前は勝ちやすいはずだ。というか絶対勝て!退学したくなければな。そして午後の競技にも間に合うようにしろ。」


「50kmですよ!と言いたいとこですがわかりました。必ず戻ってきます。」


 いい返事だ。正直言おう。おそらくトップ3以内には入るはずだ。ステータスが他を圧倒してるんだから。


 ◇

 第2種目が始まった。


「鉄球投げだな。重さ10kgとかアホすぎんだろ。なぁー田中。だが優勝できなかったら殺す。勝てよ。参加メンバーはお前の指示に従うように言ってあるし技術のタフさもある。指揮がしっかりしてればまず負けん。」


「ひィ!その先日は申し訳ないことしたって。俺はヤマタケに勝って貰うためなら死ぬ気でやる覚悟決めてるさ。任せろよ勝つ。」


 もう何も失う物がない。死を恐れない特攻隊のような勇ましさと色が出てる。なんかコイツキャラ変わったな。


 ◇

 第3種目が始まった。


「第4、5種目だがいいのかな~もう反則になり兼ねないけどいいか。ユイ手加減して目立たんように速攻で勝ってきてくれ。どちらも一番最初にしてあるから間に合う。第6種目は絶対俺と出るんだからな。」


「わかりました。ではほどほどにやってきますね。シンドウさんと二人三脚楽しみです。」


 ユイは人間というくくりでは魔力量は間違いなくトップだと俺は思っている。ユイ以上のやつなぞ見たことがない。


 ◇

 第4種目が始まりもうすぐ第5種目が始まる。


 先ほど魔力砲弾の方でどよめきが起こり

 今度は受け身の方でどよめきが起こっている。


「無理な話か、目立たないというのは。」


「やはりシンドウさんのお仲間は強者揃いのようですね。流石に今回は手も足もでないので障害物競争まで観戦していますよ。」


 俺は匙が戻ってきていたので少し雑談がてら話かけた。こいつは持久走に参加していたはずなのにもう居るということは走りきったか。50kmあるはずなのに1時間半くらいしか経ってないぞ時速33kmか人間じゃねーな。


 ◇

 第6種目が始まった!


 こちらも第一走者にした。俺待つの嫌いだから。


「ィェェェアアアア!この時がきた!合法的にユイと密着できる時が来たぞ!俺この戦いが終わったらこの命捧げてもいい気分だ!」

「そのシンドウさん恥ずかしいですよ。その私だったらいつでもシンドウさんに抱きつきたいくらいのこと思ってるんですよ。ってい」


 ユイに抱きしめられた。..胸の感触がある。やばい全身の穴という穴から血が噴き出しそう。


「ユイ。俺さ今目隠しされててさ、その凄くこの状況に興奮してるよ。俺今だったら許されていいよね。目が塞がってるからさ!その不可抗力だよね!」

「シンドウさん。私そんな恥ずかしいですよ。その優しくしてくれなきゃいやですよ。」


 第1走者達および他組織「「「「いいかげんにしろやぁ!」」」」

 司会者「競技が始められないので早く位置についてください!」

 ヤマタケ組織「「「流石我らがシンドウ兄貴!ユイの姉さん!一生ついていきます!」」」


 俺が皆のステータスからアドバイスし、ユイが怪我する度に治していたため。もの凄く慕われる結果となった。


「ユイ位置に着こうか。俺この戦いでトップ取ったらずっと言いたいことがあったんだ聞いてくれるか。」

「はい!喜んで。私凄く今幸せですよ。」


 司会者「...よーい!スタート」

 第一走者達「「「絶対1位取らせるかよ!」」」


 あららこれ以上の時間稼ぎはできんか。


「んじゃやるか。俺に合わせて貰ういいな。」

「私も目隠ししててもできることですよ。息を吸って吐くのと同じですよ。」

「照れるわ!流石に!その俺も同じ気持ちだよ」


 司会者「いい加減スタートしてよ!あなたたちはそれでいいの!」


 五月蠅い司会者だな~邪魔しやがって。


「行くぞ!」「はい」


 俺達は駆ける。俺が先導して。だって俺の観る目があればこの目隠しに魔術封印があろうと関係なく外の様子は丸分かりだ。


 司会者「..早!..もうなんなんですか!」


 俺達は難なくトップを飾った。


「応援ありがとう皆!声援に迎えられて祝福とかもう披露宴だよなユイ!」

「もう恥ずかしいですよ。嬉しいですけど」


 他の選手たちが続々とゴールしていく。


「ユイに言いたいことあったんだったな。俺今リア充として第一走者達を見下ろせて最高の気分だ。ありがとう俺にプレゼントしてくれて。」

「そんなことないですよ。この人達の力ではこのくらいが限界かもしれませんが一生懸命頑張ってましたよ!その言い方はいけませんよ!..何を笑ってるんですかシンドウさん?」


 第一走者達が血の涙でも流すんじゃないかというほど悔しがってる。やばい面白すぎる。やはりユイ毒吐きは最高だ。


 むごい第6種目は皆の心に刻まれるのだった。


シンドウさんは

最高の笑顔を本日浮かべるのだった。

それは最近雑務に負われた腹いせではない。ないはずだ!

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