表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/58

6-1 嘘の決断は邂逅を迎える①

カリヒトの戦いは。

 カリヒトとの戦いより3日目の夕方

 イベントの終了を告げられた。


---------------------------------------------------------------------

 集計結果


 ヤマタケ 50(取引10人分)+15(取引3人分)+70(自白7人分)でポイント135 +10人

 サトウ 50(取引10人分)+200(自白20人)でポイント250

 白石 ポイント100 (自白10人)

 桜歌 ポイント0 -10人+10人

 シロネ ポイント50 -10人+10人+(取引10人分)

 周子 ポイント-100 -10人

 ウコン ポイント-100 -10人

 高美 ポイント-100 -10人

 カリヒト ポイント-70 -7人

 --------------------------------------------------------------------


 現在のヤマタケの保有ポイント 7005


 結果が気になったため現在4日目の朝

 俺は職員室にてこの結果をアカネから受け取る。

 イベント中は質問でなければ聞けなかったため、ヤマタケに頼んでいた。


「白石か。サトウは奪わなかったのか。奪えなかったのか気になるところだな。」

「シンドウさん驚くところはそこではないと私は思っているわ。退学者20人どうやったら可能なのか。申し訳ないが私は詳細をこの学園の校長から伺ってはいない。課題の詳細は校長と一部の先生しか分からないようになっています。」


 アカネはどちらかというとこちらの勢力に偏ってしまいかねないため、公平を期すアカシのことだから権限を与えなかったのだろう。


「退学者に関しては確かに驚くべき点だ。だがそう簡単にできるわけではない。このイベントが配下の増減に関わるからこそ抜け道が存在していたのだろう。」


 この場所は弱肉強食だ。敗れた者は去るのみ、これだけは俺が決めたことだ。


「生徒が減れば卒業への道が厳しくなりますよね?サトウさんはどういうつもりなのか。1人で今回のように大量得点が可能と考えていると見るべきでしょうが、それは学校全体を敵に回すことになりますよ。」


 匙の考えか、確かにやつなら1人クリアを可能としてしまうかもしれない。

 だが退学にまでさせる程、仲間とつるみたくないとは折り紙つきボッチ至上主義なのか。


「敵に回したらそれはサトウの責任だし、解決もサトウがすることだ。俺が動くことはないな。俺の敵となったら返り内にするだけだ。それよりアカネはコミュ障直ってきたか?」


「..その私こういう仕事場だと仕事関係のことで思考が働くので話せるのですが、やはり関係ない雑談だと何を話せばよいのか分からず先生方とあまり会話できなくて...。」


 ミッシーに聞いた通りなんだな。あいつ元気にしてっかな~俺の愚痴でも言ってるだろうな。


「まだ学校なら生徒と話すこともあんだろ、徐々に慣らしてくならちょうどいい環境だろ。頑張ってくれよアカネ先生。」


「年上をからかうんじゃあ..いえシンドウさんの方が..なんでもありません。用事が済んだのなら教室に戻りなさい。」

「はいよ」


 危うく言うところだったなアカネのやつ。今回は俺が悪いんで責められないな。いい先生になってくれてると俺は思っているぜ。


 ◇


 特別編成クラスに着くと、怪我は治ったのかカリヒトが居た。しかもシロネもいる。匙は本を読んでいる。


「ようおはようさん!おや今日は負け犬と割と頑張ってたシロネコがいるじゃないか!慰めて貰いに猫にすり寄りに来たのか?」


 俺は2人いることを確認し、朝の挨拶をする。ヤマタケとユイは組織の結束に動いて貰っている。


「あんたホントいい性格してるわね。割とね〜。私結構頑張ったんだけどね。まぁ結果としてそう言わざる終えないからいいんだけど。」


「...俺は挨拶しに来たわけじゃない。シンドウお前に用があるツラ貸せ。」


 カリヒトは以前の覇気が嘘のようになくなってしまっている。まぁあれだけ盛大に敗れればそうか。


「私その件で気になってわざわざ来たんだよ?カリヒト教えてくれないんだもん。先生に聞いても本人の了承を得た場合のみ許可が許されてるって言うしら。」


「シロネ、お前に話すことはない去れ。お前が去らないなら俺がシンドウを連れて行くだけだ。」


 俺の意思は無視かい。まぁ誠意は見せて貰ったから文句を言う気はない。


「分かった。カリヒトがそう言うならついていこう。シロネ知りたければポイントを惜しまないことだな。」


「2人ともケチだ!まぁそうなるよね〜。今のやりとりだけで充分だよ。お邪魔してごめんね〜」


 ◇


 俺達は教室を後にし学校裏まで来た。


「シンドウ。俺が配下にお前んとこに自白させたのは分かっているな。」


「いきなり7人も来る理由なんてそれ以外ありえんからな。分かっているさ。」


 先日カリヒトの配下が来て自白して来た。念のためアカネに端末で確認しながら了承したが問題なく済んだ。


「俺は自主退学をする。俺の配下をお前んとこにやるから了承してくれ。頼む。」


 やはりそうくるか。こいつなりのけじめってやつなんだろう。方法は非道を貫く戦い方だったが、見誤ることがなければ卒業はできていた可能性はある。でなけれびここまで生き延びてはいない。


「それは構わん。お前がそれでいいなら。これ以上はどうにもならんからな。惨めに足掻いて学園生活を送るよりも地獄行きを選ぶ。それでいいんだな。」


「...あぁそうだ。そんなの俺にとっては地獄とそう変わらんさ。だからせめて配下は道連れにするわけにはいかんからな拾ってやってくれ。」


 この男が頭を下げるとはな、先日の戦いで会ったばかりだかりだから意外に思うが、あれも相手を挑発する意味があったのだろう。俺がよくやる手だから文句は言えん。


「俺なカリヒト、お前に無駄あがきでも残り、ポイントを取る餌にしたかったんだがな、この学校は特別編成クラスしかリーダーになれんことを最近知った、転入生は情報何もくれんから辛いこった。」


 おそらく入学式の時から入れば、この学校のシステムは教えて貰えていたのだろう。遅く入ったものに優しくするような場所ではない。


「お前は俺よりはるかに非道ではないかと思わせられるな。相手が気づかないようにそれをやるんだろ。たちが悪いぜ。任せていいのか結論をくれ。でなければ他を当たる。」


 俺を頼るのは負けた相手だからか、それとも他のやつに負けないと思ってるのか、まぁ仕方ない。


「引き受けた。俺はカリヒト、お前に敬意を示す。お前のこの学校での戦いは決して無駄ではない。配下のことは任せろ。卒業させてやる。」


「..ったく。負けたら許さんからな。その胸に刻んどけ!」


 カリヒトは踵を返して去っていく。

 あいつも特別編成クラスに入る器を持っていたんだな。



 カリヒトが宣言通り自主退学してから、カリヒトの組織と一部の一般生徒達は連日その話で持ちきりであったが、1週間も経つと認知され大人しくなった。


 空き教室にて次回の課題を予測し、連携を取れるようにレクチャーを頼まれた。こいつもがむしゃらにやるのではダメだということが痛いほどわかったらしい。


「シンドウさんは怒るかもしれませんが、僕はカリヒトさんもできうることなら卒業させてあげたかったです。2年間挑み続けてこのポイントを稼いだのを奪ったことを負い目に感じてしまいます。」


「甘いな。と言いたいところだが言い分は分かってんよ。カリヒトが卒業できる可能性も低くはあったが0じゃない。だがこの大敗北は容易に飲み込むことはできないんだよ。ヤマタケはそれを忘れずに配下を卒業させてやるのが報いというものだ。」


 人は敗北から学ぶというが、それは失敗が許される範囲の話だ、重要な場面で失敗し配下の不満と不安を募らせたカリヒトの挽回は困難な状態となった。これを挽回する力はカリヒトにはない。学んだ先になにもなければ意味がない。


「そうですよね。雑談から入ってすみません。次回の課題なんですが、いきなり大量のポイントが入ってしまい正直どうすればと言う所です。田中さんを卒業させたい気持ちはあったのですが、僕は今年どうしても卒業したいという欲は今そんなに強くありません。」


 そんなに強くか、先輩に託されてしまってはいたが田中のしてきたことを思えば卒業は絶対今年中にする!という勢いにはならんだろうな。


「田中は仲間としてこれからもやっていくが、今年卒業できるかは田中強いては三年次の頑張り次第というところだろ。死ぬ気でやってるならお前もそれに応えたいと考えてるんだろうなお前は。」


「自分もこんなに他の人間のため頑張ることはしないと思ってたんですが、皆と戦い、学園生活を送る中でリーダーとして導きたいというよりは、皆で卒業したいという欲が出てきてしまったようです。身体能力は上でも知力では大分差があるので何言ってんだと僕自身思ってしまいますが。」


 はっきりとそう判断し、こうやって努力すること自体にかなり俺は価値があると思っているが。確かに今はまだ負けてるがな。


「ヤマタケが思う知力ってそもそもなんだ?おそらくお前は俺が相当頭いいやつみたいに言ってるが、観察眼とでもいえばいいのか。それが長けてるだけで知力が高いなぞ思ったことはないぞ。納得はせんだろうが。」


「そんなことないですよ。学校のテストなんかやったら点数取れないんでしょ?シンドウさんそういう地道な努力とかしないでしょ。」


 あれれ?バレてるだと...なぜだ!

 俺がこの高みにくるのにどれほど努力を..努力はしたよ!本当だから!


「...お前な、そんなことはないぜ。ユイが教えてくれれば学年順位2位くらい取れるっての!」


「あれほど人頼りにするのはと言っておいてそれって...でも2位取れるかもしれないということは自頭はやはりいいんですね。」


 やばいなヤマタケの知力が上がってる!そう悪い意味でだ!誰がこんな子に育てたんだか!


「さて本題だ。次回の課題への対策だな。正直言おうかなり現在有利に進められると俺は思っている。」


「話の方向変えましたね。いや僕が最初に雑談から入ったので文句は言えませんね。有利に進められるというのは組織数とポイント数からということですか?」


 これくらいは考えるまでもなく分かっているようだな。今じゃ組織数162人ポイント7005だ。策略は山ほど思いつく。ヤマタケも少なからず使い方を考えてるだろう。


「そうだな。組織数はデメリットより、メリットの方が間違いなく多い。ポイントも少ないと下手に見られるが、多ければ相手に隙をつかれ難くなる。」


 どうしても、隣の芝は青く見えるというやつだ。自分の組織に不満があれば敵は見逃さない。だからボスとして統治しなければならないのだ。


「なるほど。課題によってはこちらの組織力をアピールできる。相手を崩すことも可能ということですね。それも欠けてるとこではあるんですが。」

 

 アピールという線はいい考えだ。確かにヤマタケには足りないところではあるかもしれないが、今後次第ではいくらでも補える。一つとして今回は強さをしめせたんだ。そういう証明を増やしていけばいい。


「はぁ〜確かに欠けてるな。ヤマタケがもう少し知恵が働き、もう少しカリスマ性があり、凄まじいイケメンでもあれば楽だったんだがな〜。人を傷つたくないヘタレなのに戦うことしか能がない。それでもステータスは高い。欠けてるとこ多すぎてどこから補うべきかね〜」


「..確かに僕は欠けてるとこだらけですが、そこまで言いますか!これでも僕この学校で少しはモテイベントあるくらいにはイケメンらしいですよ!」


 ほう〜俺はこっそりケータイを取り出し、音は出ないようにする。


「おいおい冗談はやめてくれよ。ヤマタケがモテるだと。まさか以前新しく入ったあの女の子に激しくしたって言ったのもそうなのかよ。」


「いや、あれは彼女からいきなり僕を押し倒してきたので仕方なく取っ組みあいになってしまい、その動けないよう抑えつけざるおえなかったといいますか。」


「ほう〜じゃなんだ。以前連れてきたあの双子ちゃんなのかな〜。今まで負けたことがないのに、力づくで抑えこんでギブアップさせる。そんな屈服プレイを楽しんでいたと。」


「誤解ですよ!その2人の連携に翻弄されまくってたんですが、不可抗力といいますか3人とも態勢を崩しまして...その抑え込めちゃったといいますか。」


 いや〜どんな風に抑えこんだのか気になりますな〜


「じゃなんだよ。それ以外にあるんだろ。言ってみろよ。ハッタリか?やっぱりハッタリなのかよぉ〜」


「その以前、戦い合った中の人で2人ほど強さに惹かれたとかで告白を受けたんですよ。その余裕が今ないのでいつか必ず返事をすると。」


「罪におけねーなヤマタケさんよぉ〜キープかよ。2人の内将来有望な方を選ぼうなんてよぉ〜ひゅ〜カッコイイ〜」


「あぁ〜もうやはりちゃかすんだから!その僕も悪いとは思ってるんですよ。そして考えをまとめない内にその前戦った文さん。フリースローのことです。救ったのは僕ではないのですが、英雄が現れてくれたって嬉しそうに言ってくれまして告白されました。正直1番好きかもしれません。僕はどうするべきなのでしょうか。」


「クククッやばい超面白い。聞いてたかよ。どう思うよ。このお兄ちゃんのこと」

「正直言って今すぐそちらに行き、その脳天をぶち割ってあげたいな、お兄ちゃん。兄を最も想う詩歌ですよ〜お久しぶりですね。」


「....えっ、...シンドウさん!...嘘でしょ...クッ..本当にあなたは人間なんですか!嘘と言えやぁぁ!お前の血の色は何色だゴラァァァ!」


 あ〜ヤマタケがキレた。いや惚気なんて聞いてやる気なんてさらさらないって決まってんじゃん。リア充よ盛大に爆ぜろ。


「お兄ちゃんはもうあたしのことなんて忘れてるんだよね。そうよね。私はこんなに頑張って、お兄ちゃんに会いたいと思って頑張ってるけど、お兄ちゃんはそうじゃないんだよね。ごめんね、もう切るね。ばいばいお...」


「待ってくれ!詩歌!忘れるわけないじゃないか!その妹の愛に応えてやることはできないが、いつまでも一緒にいるよ!絶対だから。そのさっき言った子達には想いには応えられないって言うよ!」


 俺からケータイを毟りとって語りかける。このシスコンが、どんだけ慌ててるんだよ。


「でもお兄ちゃんは文さんのこと1番好きなんでしょ?いいよ妹である私のために幸せを奪うことなんてできないよ。お別れだねお兄ちゃん。」


「詩歌待ってくれ!そのさっきのはこの学校での話だ。1番は詩歌に決まってるだろ!俺は世界一お前を想ってるよ。だからお別れなんて言わないでくれずっとそばにいてくれよ。」


「本当なの?嬉しいなありがとうお兄ちゃん。私も世界で一番好きだよ。私頑張るね。だからお兄ちゃんも頑張って、そして早く会いに来てよ。そのやっぱり淋しいよ。お兄ちゃんの胸の中に飛び込みたいな!じゃあ忙しいから切るね。ちゅっ。...プ...プツ」


 電話は切れた。やはりミッシーは最高だな。俺マジであいつを部下として使いたい。もう使い道がありすぎて困るわ。


「...シンドウさん。あんたは許せないが、これは僕が悪かったので飲み込みます。恋愛なぞ不要。俺は一刻も早く卒業しなければいけないようですね。」


 ヤマタケの闘志が赤く赤く燃え上がる。やばい色が若干青も混ざってる。これは命すら惜しくない夜叉となったケンジ以来始めて見るかもしれない。ケンジのは完全にドス黒い燃え上がる青だったが。


ヤマタケは覚悟をさらに固まる。

やばいこの子、大物になる予感しかしない!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ