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4-4 嘘は蠱毒より選ばれし者に告げる④

ヤマタケの仲間は集う!

 安藤との戦いの後2日が経過した。

 イベント終了まで後1週間半

 ケンジやアカネが赴任するのは来月からになるということなので後3週間だ。

 前任の担当教師からの引継や研修を受けているらしい。絶対アカネさんと二人にさせるため仕組んだんだろうなアカシは。


「シンドウさん、とうとう一勝しましたよ。その配下に加えることはできませんでしたが。」


「...はぁ~。俺はお前に戦うことの喜びを与えに来たんじゃないんだがな..。嬉しそうな顔しやがってよぉ。まぁいい勝たんと事が始まらんからな。引き続き戦い続けろ未所属の連中を片っ端からな。俺が言うのもなんだが恐怖心はないのか?」


 ヤマタケがやっていることは自爆行為だ。自分も死ぬから相手も道ずれにする行為である。この学校のシステム上障害レベルBまでしか許されていないため死ぬことはない。そしてこちらにはユイがいる以上回復はすぐできる。


 三日前にここの職員にヤマタケが障害を負ったら自分達のところに連れてくるように伝えてある。ユイが回復させる以上通常の回復手段に比べ回復速度は異常に早い。戦わされてるやつからみれば自爆覚悟で突っ込み続けるんだから相当怖いだろうな。そしてお前は戦うことに対しての恐怖意識が薄いことだけは褒めているよ。底から這いあがってきた後がないやつってのは死にもの狂いでやるもんだな。


「わかりました。...ゴブリン共と戦わされた時に比べればマシですよ。」


 俺はユイを見る。本から目を離し笑顔で手をあげた。うん今日も可愛いなユイは。おそらく障害レベルAを負わされ続けながら戦っていたのであろうな。ユイは俺よりもスパルタなのではなかろうか。


 ◇


 その後

 三日後には3人目に勝ち。

 四日後には6人目に勝ち。


 5日目にして


「シンドウさん。配下に一人加わってくれました!こちらは武本です。」


武本 剛(たけもと つよし)だ。あんたが噂のシンドウか、ヤマタケにずっとこんなことさせ続けている。正直誰とも組む気はなかったんだがな。あまりにしつこいんで折れてやるよ。」


 1人目の配下か。全学年合わせ900人はいる40〜50は未所属がいると考えるとペースは上げて欲しいところだな。残り6日か


 ちなみに

 10人目を倒した報告を受けたので戦績は出ている。戦いの中で人は成長するもんだ。


 ◇


 6日目13人目を倒すも成果なし。

 7日目17人目を倒すも成果なし。


 8日目にして2人現れた。


「シンドウさん!こちらは麻耶さんと摩耶さんです。双子の姉妹らしく、興味が出てきたから乗ってくれるとのことで。」


「よろしゅうなシンドウさん!私は麻耶(まや)で」

「はいはーい!ウチは摩耶(みや)と言います。よろしゅうな!」


 なんかギャルっぽいのが来やがったな〜


「ヤマタケはんにウチらの初めてを奪われてしまったからな〜責任取って貰わないとな!」


「ヤマタケよ血気盛んなお年頃なのは分かるが双子ちゃんを同時にプレイとはやるな。」


 俺はヤマタケの評価を改めなければやらないかもしれん。まさか戦うだけに飽き足らずことに及んでしまうとは。


「違います!違いますよ!このお二人方は前の学校では2人での戦闘において負けたことがなかったそうで、僕が初めて勝ったということなんです!」


 双子ちゃんにからかわれながら弁解している。

 まさかヤマタケはモテるのか⁉︎そんなわけないやな。うんうん。


 9日目22人目を倒すも成果なし

 流石に俺達含めて6人では話にならんな。

 俺は事前に考えていた対策を実行することにした。本来はヤマタケが気づくべきなんだけどな。


 ◇


 10日目


 26人の配下希望者が訪れた。


「シンドウさん!そんな方法で集められるんだったら僕がしてきたこと意味があったんですか!」


「意味はあったよ。気づいてないなら周りからどう見られていたか考えてみろ。」


 俺はただ宣伝しただけだ。ヤマタケの配下に加わると部活の入る権利を与えると。来月から赴任する剣山狼郎が顧問を務め、副顧問として赤神貴音が務める部活にな。でもこの宣伝に信憑性はない。だがヤマタケがひたすら勝負に挑み着々と強さを増していく姿とヤマタケの人間性をみたやつなら嘘はついていないと思ってもおかしくない。


「それに人集めはお前に任せた任務だったつもりだが集められなかった。納得がいかんなら結果を出してから言え!」


「...取り乱してすみません。ありがとうございました。」


 32人か、ボスが敗北した時点で連帯責任で全員退学なんてことはないように組んだから、課題によっては増員は可能か。


「ヤマタケ、明日までに組織名、何を目標としているのかを考えて発表しろ。目的意識を一致させることは何よりも優先させるべきことだということは覚えておいた方がいい。」


「わかりました。考えて置きます。目標というのは卒業を意味するんですかね?僕まだこの学校のシステムよく知らないんですが。」


 あれだけ時間があったのだから調べろといいたいとこだが、ずっと戦ってたからな。ちなみに権力を行使し理由が許される範囲なら基本自由なのだ。だから戦いを申込むのは休み時間でなくともできる。くそ迷惑だっただろうがな。


「そうだな。ゴールは確かにそこだ。だがなそんな漠然としていてはダメだ。俺はこの学校のシステムを蠱毒だと言ったことがあるはずだ。なら自ずと何をしないといけないか分かるだろう。」


「より強い者が上に立つ。ようは親玉達を捻じ伏せるってことですね。わかりました。考えて置きます。」


「おう頑張れ。今度は期待を裏切らないようにな。」


 俺はヤマタケにエールを送りながら、今後どうなるだろうかと少しわくわくしながら明日を見据える。



 配下を増員するイベント期間が終了し次の日の朝礼がなされた


 新たな課題が言い渡された。


 課題名:フラッグ回収。


 各リーダーは幹部2人に2個の特殊フラッグを渡す。幹部2人はさらに40個のフラッグをリーダーから受け取り配下に配る。争奪戦を行って貰う。開始は本日午後昼食後の13時。期間は2週間


 ルール

 リーダーは幹部以外のフラッグを誰が持っているのか把握してはいけない。把握している動きが見られた場合ペナルティが与えられる


 幹部は自分で定めたゲームを規定の位置で行い、1日に合計5時間以上滞在すること。時間は午前9時から午後19時までの10時間。幹部がゲームに負けた場合フラッグの譲渡をしなければならない。


 幹部が持つ特殊フラッグは5点、配下の持つフラッグは1点とする。自分の組織のフラッグは持ち点カウントをしない。


 殺傷レベルAの行為は禁止する。以後このルールはどの課題に対しても有効とする。


 質問がある場合リーダーは3点要求を許す。質問の内容によっては回答は得られない場合がある。


 以上


 これが新たな課題か、このゲームは俺が作ったものじゃない。おそらくアカシだろう。

 ゲーム難易度が普通だったら高くないはずだが、この学校ではかなりハイレベルな戦略戦となるだろうな。そして質問は3点。このゲームの報酬とペナルティーを聞きたいとこなんだがな。リーダーのヤマタケに任せるとしよう。


「シンドウさんフラッグ42個分を確保してきました。預けてもいいんですよね。」


「警戒するなよ、俺はお前のデメリットとなることはしていないはずだぜ。質問3点は何にするつもりか決めたのか?」


 この質問3回分のチャンスはかなり大きい。具体性が欠けるこの課題は質問の誘導をしている。本質的な物を隠すためだろうな。


「いいえまだですね。それはこれから僕の組織を集めてから決めようと思います。」


「自分で考えず皆で決めようってか、あまり良い考えではないと思うがな。」


 皆に選択権を与えることは、逆に与えられないやつも出てくるということだ。それは組織内で不満分子となりえる可能性すら出てくる。


「確かに僕は組織のリーダーなんてしたことがないので何がいいか、悪いかなんてわかりません。ですが仲間をないがしろにして得られる物は敗北以下だと思っています。この約2週間戦い続けて思ったことは仲間になってくれた人達に頼るべきということです。」


 良い目をするようになったなヤマタケは、非効率的だがそれも間違いではないのだろうな。


「生意気な口きくようになったじゃないか!なら結果を出して見せてみろよ。」


「はぁ~。シンドウさんは不器用な人ですよね。本当に...」


 いきなりよく分からんことを言い出したな。まぁいい。やる気になっているなら期待はしないが待っているとしよう。


 ◇


 昼食時間の12時となり


 ボスのヤマタケ、幹部の俺とユイ、配下29人が集う。正直全員は集まらんと思ったが、デメリットの方が大きいと分かっているのだろう。


「皆聞いてくれ!不本意な者もいるだろうが、僕がリーダーのヤマタケだ。そしてこれから始まる戦いに勝つために集まって貰った。全員来てくれたことに感謝する。」


 ヤマタケはお辞儀している。これもあまり組織のボスとしてはよろしくはないんだがな。


「この約2週間で矢面に立ちどうどうとリーダーが頭おかしく戦い続けていたところは見られていたと思う。こいつは馬鹿なんじゃないかと僕でもそう思う。だがどうしても僕には乗り越えたいと思った人がいる、勝ちたい、見返してやりたいと!だから本当にあの行動は私怨からくる暴走だ許して欲しい。」


 何を言ってんだこいつは?仮に今のが俺のことだとしても今ここで話すことではないだろう。


「何を言いたいんだと思ってるだろう。しかしこれも勝つためなんだ。僕は仲間を敗北させるなんて真似は絶対にさせるわけにはいかない!だからここで折れる、私怨も今だけは忘れる。理由がなんであれ僕は負けてもいいが、仲間は負けさせない!だからシンドウさんあなたも仲間なんだ。全力を持って僕に力を貸せ!」


 大衆がこちらを向く。ヤマタケやってくれるじゃないか。俺の計画もこれからの計画もすべて遠回りしたなこれは。予想外だよホント。仕返しというのなら大成功だろうよ。はぁ~仕方ない。これも間違いではないし今だけはこちらの方が面白いのかもしれないな。


「ったく。いきなりなんだよ。アドリブで士気でも上げろってか?これまた酷いリーダーがいたもんだ。大層なご高説たれて結局人頼りか情けねーな。おい!そこの雑魚ども。お前らじゃ到底できん方法で結果を出してきてやるよ。そこで待ってろ。」


 俺は未来を築く若者たちに告げる。仕方ない俺という先駆者が道を切り開いてやろう。




課題は言い渡されたさぁどうするシンドウ!

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