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4-3 嘘は蠱毒より選ばれし者に告げる③

安藤さん!あなた一体!

「おーい、安藤くーんゴメンね約束破ってさ〜。一撃で決める予定が二撃になっちゃって。ま〜まさか勝負する上で武器を使ったわけでもないのに反論はないかな。」


 俺は意識が回復した安藤に詫びてやる。一撃と言ったのもあえて安藤に一撃目に何かあると思わせ全力で防がせるためだ。アッパーを上手くいなしていればフェイントに引っかからない可能性があるからな。


「...もう一度聞く何者だ貴様は、勝負に関しては文句も何もない私の負けだ異論はない。必ずリベンジは果たしてみせるがな。」


 闘志は消えずが、やはりここまで勝ち抜いて来ただけあって胆力はありそうだな。


「俺達は新たな特別編成クラスの生徒だよ。心配しなくていい。この勝負は完全に個人的なものだリスクは何もない。」


「...新たな敵であることは変わらないということだな。また波乱を引き起こしそうなやつが入って来たな。」


 やはり匙は何か過去に引き起こしたのだろうな。


「そういえば安藤の下の名前を知らんな。新しいクラスメイトのことだしな聞いてやるよ。」


「...?何を言っている。私は特別編成クラスの人間ではないぞ。一般生徒だ。特別編成クラスのとある方に仕えている。」


 ...おかしい。こいつは嘘を言っていない。おそらくこいつは間違いなく一般生徒だ。あのクラスの人間だと言われたら納得しそうな戦闘力は持っていそうだがやはり足りない。匙が嘘をついてるのか?見抜けなかったのか俺が?


「そのとある方の影武者として動いたことはあるか?陽動ようにといったことだ。」


「本当はこういう内情を言うべきではないが、まぁいい。私はそんなことを器用に行えないな。」


 匙が騙されるくらい上手く安藤が動いてるってわけでもないようだな。匙何を狙ってやがるんだあいつは。


「新垣、風間の名前に聞き覚えはあるか?」


「どうしてその名前が出てくる。知ってはいるが教えることはできない。」


 これは完全に匙の手の平って感じだな。あいつの名前が合ってるのかすら怪しくなってきた。


「教えられないか、しょうがない勘弁してやるよ。悪かったな自己鍛錬の邪魔してしまってよ。俺達は退散するとしよう。」

 

「こんな危険人物を野放しにはしたくはない所だが力不足の私が言っても仕方がないことだ、だが主には報告はさせて貰う。」


 律儀なやつだな〜。まぁそういうことの積み重ねで得られることも多くある。これもまた間違ってはいない。


「好きにしろよ。ちなみに安藤のあの写真ばら撒かれたくなければお前のボスの敵の情報を吐け。さっきの2人分の名前が誰なのかは言わなくてもいいが敵の情報くらいは言って貰うぞ。」


「....そうだな。私が知り得ている分だが話そう。」


 ◇


 安藤から知り得た情報だが、現在のとこで5点


 ・各リーダーは名前を偽装している可能性が考えられてるため本名かの判断はつきづらいこと


 ・現在はこの学校のシステムより配下の増員を行なっているイベントが開催中である。


 ・戦闘行為は許されているが、殺傷レベルAを追わせた場合即退学となると。


 ・各リーダーの幹部クラスの名前を2人ずつほど。これはリーダーが立てた幹部をイベント開催に伴い2名出すらしく知ったらしい。リーダーと幹部は授業は免除され好きに行動ができる。


 ・安藤の名前は 安藤 正樹(あんどう まさき)というらしい。まぁこちらは本名を明かさなかったが、あちらが勝手に名乗った。



 こんなところか配下の増員イベントというのは、どこにも所属していない一般生徒を配下とできるシステムらしい。既に9割方は所属が決まっており。イベント期間中でも途中で所属替えは禁止となっている。来週末で終わりを告げるとのことだった。


「匙は1人でいいって言ってたが、最初出遅れてる分圧倒的に不利な状態ってことだけは分かるな。」


「そうですね。大人数を必要とされる課題が出された時点でアウトですからね。残りの1割を配下にするよう動きますか?」


 おそらく残り1割弱のやつらはよほどの問題児か特別編成クラスのやつらを出し抜こうとしているとかそんなもんだろ。ここの一般生徒というだけで選び抜かれて来た才子なのだから。


「そうだな、リーダーに辿りつければそんなことするつもりがなかったが、会うのは難しそうだな。」


 方法はあるのだがこの一件に関してはヤマタケを主軸として動かしたいと思っているため、あまり俺が目立つ真似はしたくない。安藤の時も出しゃばる気はなかったんだがヤマタケに得られる実りがなくなる恐れがあったからな。


「配下集めるか、俺らは確かに特別編成クラスのメンバーだがそれぞれを分けるメリットが今のところない。ヤマタケをリーダーにし俺らを幹部として登録することにする。いいなヤマタケ。これはチャンスだからな無駄にするなよ。」


「はぁ〜僕にはこんなことする理由はそもそもないんですが、エリートどもを倒せるかもしれないっていう機会は魅力的です。やらせて頂きます。」


 こいつにはそれなりにプライドがあるからな。やってくれることを祈る。潰れてしまったらその時は次の策があるが面倒なことはごめんだから頑張ってくれ。


「それじゃ。昼休みにそろそろなろうとしてるし校内をユイと散策しながらデートしてるから、ヤマタケ問題児集め頑張ってくれ。んじゃ」


 俺はユイを手を取り散策に出かける。


「シンドウさんは手伝ってくれないです...いえいりませんよ。集めてきますね。」


 ヤマタケは食堂方面に歩き出して行った。さぁ頑張れあまり期待できないが、これも必要なことだからな。



 俺とユイは今この学校の保健室に来ている


「ユイ!保健室だぞ!いや学校の保健室とか興奮するよな。かつてユイに何度激しくされたことか。」


「誤解を生むような発言は禁止ですよ。シンドウさん。...そのどうしてもというなら私は...」


 本当に自分を捧げてしまいかねんな。嬉しいが節操のない子にはなって欲しくはない!


「俺はそんなはしたない子に育てた覚えはないぞ!っとまぁ話していても仕方ないので、医療レベルを確認するぞ。」


 ユイは昔はその癒しの力で医療班に抜擢されていた。そして俺はことあるごとに問題を起こし生傷が絶えなかったため良くお世話になっていた。ユイが保健室にいるだけで天使が舞い降りて来たのかと思い、成仏したくなる勢いで来てたな。


 ◇


 10分程調べた。

 ちなみに保険の先生には、アカシのことを伝えると呆れたような表情で許可を出してくれた。


「どうだユイ、ユイがいなかった場合どれほどの怪我なら耐えられそうだ?癒しの魔術を使えるやつはいるだろうがもし大人数運び込まれたら限界があるからな

 」


「そうですね。この学校の殺傷レベルCなら大人数でもすぐに治せると思いますが、Bが来たら大人数は無理ですね。Aはもう諦めるしかないと思います。」

 

 殺傷レベルAは致命傷だ。ユイがいれば死なない限りは治せるが、大人数となったら無理だ。だから殺傷レベルAは禁止しているのだろう。


「医療品がどれほどあるかも調べてくれ。今後必要な時に何の薬があるかは把握しておきたい。」

「分かりました。」


 ◇


 20分後

 担任教師と思われる人がドアを開けて入ってくる。


「すみません!保険の高橋先生はいますか!殺傷レベルBの生徒がおりましたので連れてきました。手当をお願いします。」


 担任教師が背負っているのはこれまた派手にやられたもんだ。ボコボコにされたヤマタケであった。これは足の骨が折れてやがるな。


「保険の高橋先生は外していますがその生徒の治療は彼女が行います。これは生徒手帳です。俺達は特別編成クラスの者です。」


 俺はアカシに身分証として生徒手帳を貰っていた。生徒手帳を確認されると納得したかのようにヤマタケを引き渡してくれた。この学校にとって特別編成クラスメンバーは高い権力を持つように考案したのは俺だ。自主性を重んじるようにするためだ。


「ではその生徒を頼みます。」

「分かりました。回復させると保障しますので業務に戻ってください。」


 担当の教師は保健室を後にした。


「さーて、あれだけ威勢よく行ってこのざまかよ。お先真っ暗だなぁーおい!..ユイ治してやってくれ。」


 意識は朦朧としてるからな聞こえたかは分からん。だがこの有様だ。愚痴も言いたくなるもんだ。


 ◇


 3分程で全快した。流石俺のユイだこの癒しにかつて幾度となく救われたのだ。マジで天使に見えんぜ!


「ヤマタケよ~まさか安藤とやりあって俺強くなってる、安藤先輩より弱い相手なら倒せるとか考えてたのか?甘いんだよ!天才が努力して辿り着くのがこの場所だ。そう簡単に勝てるわけないだろ。だが身体能力は飛躍的に向上しているんだよ。この学校のボス達よりも上なはずだ。後は頭を使いやがれ!」


「確かに僕は安藤さんとの戦いで手応えがあったので、勝てる可能性があると思い挑みました。頭を使えと言ってましたが場数が違いすぎる。勝ち筋が考えても見えませんよ。」


 こいつは戦闘勘がやはりないか、ミッシーの方が余程こういうことに知恵が働くだろうに。


「誰もお前に安藤のような戦闘技術なんて期待しちゃいねーよ。ちなみに安藤と善戦したのは偶然だからな。あいつは守りが主体のスタイルだ。攻撃するより返し手でこそ輝くタイプだから逃げ回わられてたら本領を発揮できん。だからわざと隙を作ってたんだぞ、お前は攻撃して来ない可能性があると読んでな。もう一度言う!お前は舐められてんだよ!どうすれば舐められねーか考えやがれ!」


 あの戦いは考えてみると誤算だったかもしれん。安藤は俺にとっては相性が悪く、ヤマタケにとっては相性が良かった。俺は加減をあまりできなかった。アッパーを打った時その勢いは両手で受け止められ力を完全に逃がされた。そして俺の左腕を折に来ようとしていたな。そこまでするやつだったため加減を忘れ吹っ飛ばしてしまった。初戦としては相手が悪かった。


「考えれば僕に勝ち目があるということですよね、それも安藤さんのような戦闘技術がなくても..」


 ヤマタケにも勝ち目はある。だが複雑に考えてはだめだ。答えは至ってシンプルなものだ。


「しょうがないからヒントをやるよ。戦闘においては力を貸すことはしない。以上だ。後は考えやがれ俺みたいにな。行くぞユイ!次は職員室だ。学校公認のカップルにさせ俺のユイに悪い虫が寄らんようにせんとな。」


「シンドウさん昔、ユイには指一本触れさせないからな!って言ってたじゃないですか。私が危なくなっても必ず助けてくれるんでしょ?そんなことしなくてもいいんですよ。」


 やばい冗談くらいの軽い話題のはずが!マジでユイ可愛いすぎる。

 俺は両手で顔を隠しながら唸る


「人が必死で考えてる隣でなにやってるんですか。...はぁ~」


 ヤマタケは深く考えすぎないようにしやっと閃いた。

ヤマタケはシンドウの意図に気づけたのか!

スペラ@小説家になろう

でツイッター始めました

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