4-2 嘘は蠱毒より選ばれし者に告げる②
さぁルーキーはどんなやつなのか!
ご期待を
俺達、俺、ユイ、ヤマタケが見たクラスはクラスとして体をなしてはいなかった。そう思うしかなかった。
「初めまして転校生さんが3人来ることは伺っておりましたよ。僕はこのクラスの委員長を預かってます。匙 冬馬と言います。 」
「..⁈あぁよろしくな匙。お前1人なのか?」
クラスに入ったら誰もいないと最初は思ったが、観る目を使って1人は確認できた。なんだこいつはと思わざるおえん。
「そうですね。今日も出席は僕1人ですかね。残り7人いるはずなのですが、クラスに配属された日以外は揃ったことはないですね。」
「なんだと。ったく宜しくねぇーな。学校サボるとかとんだ不良高に来てしまったよ。」
「シンドウさんも前はよくサボっていましたよね。人のことは言えないと思いますよ?」
俺も過去学園にいた時は授業よくサボってたからな、でも受けたい物だけ受けてそれ以外は自己研鑽に使う。合理的で効率的だと思うんだがな。
「私はユイと言います。匙君今日から宜しくね。」
「ヤマタケと言います。宜しくお願いします。」
「はい宜しくお願いしますね。僕は通学を楽しんでいるのですが、他の方は別でやりたことがあるんですかね。殆ど来ないんですよ。なのでこうして学ぶことができること嬉しく思います。」
別でやりたいことね。アカシが言っていた時間を掛けろと言っていたのも、一筋縄ではいかない連中だということも含められているのかな。
「自己紹介といきたいところなんだけど単刀直入に聞く。匙はなんでこの特別編成クラスに入ったんだ?いや入りたかったんだ?」
俺が考案したシステムは勝手入るパターンと入りたくて入るパターンがある。勝手に入るのはスカウトという意味だ。入りたくて入る場合は蠱毒の中を這い上がったやつだけだ。
「シンドウさんは帝国機関のシステムからの出か推薦かどちらか答えて頂ければ、一部はお話しますよ。」
どちらかによって同意が得られるか得られれないか分かれるといった感じか。
「俺は推薦された方だ。赤神の爺さんに入れられたんだよ。お前もそうなんだろ。というか推薦組は俺達だけだろ。」
「どうしてそう思うんですか?僕が推薦であると。あなたはどこまで知ってるんですか?」
やはりこちらがどこまで情報を得られるかで素性明かすってことなんだろうな。
「システムから出たならば、来ないんだよ普通学校には、だから来てたやつなんて入れば能がない雑魚って意味で俺は教室に入ったんだ。なんせシステムはバトルロワイヤル形式で自分又は自分の配下の運命が決まるものだ。バスが始めに顔合わせだけ行い後はどの勢力が卒業後に生き残っているかだ。」
俺はこのシステムで、組織としての動きや協力の意味、こちらが課す内容によっては何を必要とするのかを団体行動より解決させるなど様々ある。それを丸ごと取り込み鍛えあげるといったことを続けている。アカシが俺のいない間に何か変えた可能性はあるが、変えたなら俺に報告するだろうから変わってないはずだ。
「よくご存知なんですね。分かりました。お応えします。僕が入った理由はここで卒業できればエリアでの戦いに加えて貰えるとの約束があったからです。エリアについてはご存知でしょう?戦う理由があるんですよ。それ以上は言えません。」
「分かった。エリアのことを知っているならいい、でも疑問がある。卒業したいなら1人では不可能だと俺は思うよ。俺は他のやつらの顔をみたことないんだが断言できる。仲間はいるのか?いるんだったらもう応えなくていい。」
この学校で課す内容は1人でこなせる物じゃないはずだ。推薦として入ったなら仲間がいないはずだ。
「それは安易に仲間の勧誘がしたいんですか?僕は誰とも仲間になる気はありませんよ。この教室にいる間は学友として親しくするくらいならいいかなってことです。勝てるかは分かりませんが負けるつもりはありませんよ。」
自信はあるようだな、何者だこいつは?観る目で見ているがこいつかなり強いぞ。観る目は相手の強さの判断が大体だが分かる。身体を調べれば観る目と合わせて地球で言うステータスが分かる。
「分かったよ。仲間に誘うことはしない。望まない限りはな、匙はこのクラスのやつの居場所突き止めていたりする?」
「3人知ってますよ。風間さん、新垣さん、安藤さんという方達なら。戦いにでも行くつもりなら教えますよ。潰しあって貰う分には歓迎なので。」
「話が早くて助かるわ、その中で1番弱いのから行きたいな、オススメどれなんだよ。」
初めから強いの行くのは楽しみがなくなるからな。順序よくやっていこう。
「威勢の割には弱音を吐くんですか?いえ楽しみは後から取っておくタイプなんですね。うーん悩みますが安藤さんかと思います。どちらかと言うと攻撃よりも防御を固めるタイプの相手ですね。」
なんかゲームの進行を手助けしてくれるキャラみたいなやつだな。3人知ってるって言ってたがあれは嘘だったな、ここまで相手を分析してるなら全員分知ってるんじゃないか?
「情報提供助かるぜ、安藤はどこにいるんだ?」
「柔術戦闘訓練部で自己鍛錬ですかね。今安藤は配下が普通のクラスで授業中なので1人です。行ってらっしゃい。」
本当に生徒なんだよなここの?アカシがスムーズに行くように寄越したんじゃないだろうか?
「あぁ行ってくるぜ、俺に会ったが運のつきだ、波乱に巻き込んでやる!真っ当な学校生活なんて送らせてなんてやらねぇよ!」
「シンドウさん程々にしないと可愛そうですよ?やるなら穏便に静かに屈服させる方が、後腐れがない方が良いと思いますが?」
「この2人と関わるとロクなことがない。安藤さんいないでいて欲しいな...はぁ〜」
◇
◇
俺達は柔術戦闘訓練部に来ている。
この学校はやたらと広かった。辿り着くのに20分は掛かった。アカシのやつどんだけ金持ってやがんだよ。
「安藤とはお前のことか?」
「....。」
凄まじい集中力と捉えればいいのか、座禅を組んでピクリとも動かん。おそらく声すらも聞こえない境地までいってやがる。おそらく攻撃でもすれば反射神経で避けるんだろうが。それじゃつまらんな
「おいユイ悪いんだがユイの下着とカメラを貸してくれ。」
「シンドウさん!..そんな要求なさらずとも、いつでもは無理ですが脱いでもいいですよ。その..そんなに私を見たいなら...。」
「...ユイの全てを見たいとは俺いつでも思ってる。だが今回は違うから。別のことで利用するから。」
ヤマタケは思う。またロクでもないことが起こるんだと。遠い目をしながら。
「分かりました。その恥ずかしいんですからね。責任は取ってくださいよ。」
「あぁ。ユイのことは俺が幸せにするから問題ない。助かるよ。」
ヤマタケは思う。セリフだけ聞くとカッコイイんだが残念でしかないと。
「よし!食らいやがれ!」
シンドウさんは至近距離から石を投げた。それに凄まじい速度で反応し石を捉える安藤さん。
そしてシンドウさんは魔術を使い石とパンツやブラジャーを入れ替えた。そして
「カシャっカシャっ。いいポーズだよ安藤く~ん。なんか透かしたイケメンがいるからさ~。こういうスキャンダルはいいネタになりそうだぜ!ひゃっふぉーい!」
シンドウさんは両手にパンツとブラを握りしめた安藤をカメラで撮る。そして安藤さんは青筋を浮かばせながら下着を投げ捨てる。
「あぁ~私の下着が~まだ昨日の着替えから洗ってないのに~!」
「おい!ユイなんてもん渡しやがんだ!こそ許さんぞ!安藤!俺のユイの生下着をよくも汚してくれながったな!ぶっ殺す!」
逆恨み!逆切れにも程がありすぎるよ!安藤さん何も悪くないからね。
「何者だ貴様。...いや関係ないな。配下に示しがつかなくなるのでな。恨むならお前の愚かな行動を...」
「すみませんっした!俺達もこんなことしたくなかったんすよ!俺達の親分であるこのヤマタケさんには逆らえなかったんすよ~。そうですよね。..そうだと言え」
この人ホント悪魔だろ人間のすることじゃねーよ!よくこんな非道思いつくな!
「..キィ...あ、あ-そうですよ僕が命令したことですよ。」
制約の力!あの村だけのはずじゃないのか!
「さすが親分!やっちゃってくださいよ!...戦え。」
嘘でしょ勝てるわけないじゃん!この前のユイさんとの任務も何度死にかけたことか!
「ほう。お前が最初の相手ということでいいんだな。俺の柔術は生易しくはないから覚悟しろ!」
早い!一瞬で間合いに入られた。捕まれる前に咄嗟に後ろに飛んだ。危ない危ない掴まれたら一貫の終わりだと僕は直感していた。
「やるな。初見で逃げられるとは思わなかったぞ。だが俺の柔術はまだこれからだ。」
さらに早く鋭く相手の姿勢を崩すべく翻弄させていく。それを紙一重でひたすらヤマタケは避け続ける。
ヤマタケのステータスは急上昇してやがんな。ククッユイめどんだけ戦わせたことやら。
以前ヤマタケに与えた任務であるゴブリン共から情報を聞き出すことと追い払うこと。これらを死なずにこなしたのなら戦闘力が上がっているのは当然である。ユイが回復させ続けているんだから、心が折れぬ限り永遠と戦える。これ以上効率的なことがあるだろうかよ!本人は相当摩耗するがな。
◇
10分後
戦闘に決着は着いた
「おいヤマタケ、何負けてやがる。ホント使えねーなお前はよぉ~。なんで攻撃しないんだよ舐めてんのかよ。」
安藤は疲弊しながらも仁王立ちしこちらを睨んでくる。
「シンドウさん見てたんでしょ。そんな隙ありませんでしたって。勘弁してくださいよ。」
はぁ~こいつホント分かってねぇ~な。俺がヒントはやったのによ。
「安藤来いよ相手してやる。遠慮せず全力で来い一撃終わるからな。」
「舐めた口を叩いてるのはお前のようだな。全力を尽くした者にかける言葉も耐え難いな貴様は!」
安藤は疲労など嘘のようにまた凄まじい速さで突っこんで来るように見える。悪いが俺にはスローとまでは言わんが遅いな。掴みに対して横に避け、左でアッパーを顔面に当てようと試みる。咄嗟に両手でアッパーを安藤は防ぐが遠くに吹っ飛ばされる。俺が2撃目として右ストレート少ししゃがみ安藤の腹にぶつけた。
「わかったかヤマタケ、攻撃しないと倒せんだろうが。」
「いやいやシンドウさんが強すぎるようにしか見えませんでしたよ。」
だめだこいつ戦闘センスが全くないな。気づくことがないのか。
「ヤマタケ、隙がないなら作るんだよ。馬鹿かお前はよぉ!避けてるだけで隙が生まれるようなやつがあのクラスにいるわけないだろ。フェイントを使え。それくらい誰だって思いつくだろうが!」
俺は初め石を投げ、下着にすり替えて見せた。下着を投げつけても安藤は掴んだりはしなかっただろう。
そういう何かフェイントを使って攻撃のチャンスを作れと気づかせるためにやったのに無駄になったじゃねーか。
「..そうですね。戦闘経験が少ないからと言い訳はしません。確かにフェイントを入れる機会はあったと思いました。...その安藤さん死んでませんよね?あんな吹っ飛び方する人間の姿初めて見ましたよ。」
「ユイの生下着掴んだんだから処刑確定だろ。殺す気でやったに決まってんだろ!」
「やめてくださいよシンドウさん!恥ずかしいので生々しい表現へ止めてください!殺すなら私がやりますから!」
ユイさんツッコムとこはそこなの!いや物騒だからやめてあげて!と内心叫んでいる。
「ユイさんお願いします。安藤さんを治してあげてください。このままだとホントに死にかねないよ!」
「まぁそうだな。登校初日で人殺し扱いは流石にいやだな。ユイ直してやってくれ。嫌そうな顔しない。..かわいい顔が台無しだからダメだぞ。」
「...はい!分かりました。仕方ないですね~シンドウさんは。」
「...はぁ~。このバカップルを僕はずっと見続けなければならないのか。..詩歌元気にしてるかな...」
ヤマタケは遠くを見つめながら口ずさむのだった。
安藤さんは気絶しているだけ、死んでないから!