3-4 嘘は婚約者に恋の色を報せる④
嘘は婚約者に恋の色を報せるをお楽しみいただき
ありがとうございます!結末はいかに
シンドウさんともう一度連絡を取り、そして約束の3日目となる。
「詩歌ちゃん。今日は誘ってくれてありがとう。嬉しかったわ。」
「こちらこそ忙しい中会いに来てくれてありがとうねお姉ちゃん。待たせてしまったのかな?ごめんなさい遅れてしまって。」
約束通り赤神さんは待ち合わせ場所に来ていた。私待ち合わせ時間の1時間も早くに来たはずなんだけどな。もうツッコまないからね!
「そんなこと気にしないでいいわよ。私がそうしたかったから。乱咲さんとは連絡が取れたということかしら?」
凄く嬉しそうに話してくれる。嫌だな~。でも話さないとね。
「はいお姉ちゃん。先日乱咲さんとお話ししました。乱咲さんは仲間として受け入れてもいいと話していましたが、ケンジさんが反対しているらしくダメのようです。」
「..そうですか。やっぱりケンジさんは私のこと思ってはくれてないのですね。ごめんなさい詩歌ちゃん話すの嫌だったわよね。でも仕方ないことだから大丈夫よ。」
私は少し腹が立った。なんでですか!赤神さんなんでそう簡単に諦めてしまうんですか。そんな悲しそうな顔をみたくはなかったよ。シンドウさんならどんな手を使ってでもこんな状況を解決できるのだろう。だが私はシンドウさんじゃない。だからあなたのようにはできない。けど必ず赤神さんの恋は私が救ってみせる。
「赤神さん!あなたはあの時、私に嘘を言いましたね。これは私の推測です。間違っているかもしれない。だけど嘘をつかれたまま私は引き下がるわけにはいきません!」
「何を言っているの詩歌ちゃん。私は嘘なんかついてないわ。私はケンジさんが好き。ケンジさんの傍にいたいから仲間にして欲しいの本当よ。」
確かにそれは本当だと思いますよ。あなたの愛は本物ですよ。だからこそ私は頑張ったのだから。
「違いますよ赤神さん。嘘というのはあなたの行動です。赤神さんケンジさんに告白なんてできてないですよね。おそらく話かけたり、食事に誘ったりとかそのくらいが限界で、結婚もケンジさんから言って貰えたんじゃないんですか!」
「..どうしてそう思うの。ケンジさんから聞いたの?」
「そんなこと聞くまでもないですよ。だって赤神さんはものすごいコミュ障なんですもん。おそらく仕事上の受け答えのような決まった会話はできても、アドリブが多い日常的会話にかなり苦手意識がありますよね。そんな人が告白しいては結婚をアタックしまくって勝ち取れたなんて到底考えられないんですよ!どうですか違いますか?」
シンドウさんが話していた裏がこのことかは分からない。でもだが私との会話の中で裏があると思われたのなら、あの時の会話に裏があるのではないかと考えるようになった。そしてこの違和感に思い至った。
「...凄いわね詩歌ちゃんは探偵さんなのかな?そうよ、私は告白なんてできていないわ。結婚もケンジさんからして貰った。でもそれは私を好きなんじゃなく私の祖父がケンジさんに頼んだことだったの。祖父は帝国機関の元総長でケンジさんの上司だった人よ。だから私がケンジさんを想ってることがばれちゃったのかしらね。話を付けてくれたのだと思うわ。」
やはり私の考えは合っていたようだ。しかし赤神さんの祖父がケンジさんの上司だったとは、確かに祖父の存在を調べて把握していた。だがケンジさんが謎につつまれすぎていて関係性があるのかが分からなかった。
「昨日話すことができなかったエピソードもこのことなのよ。祖父が何を想いしてくれたのか全貌はわからないから話すわけにはいかなかったわ。それでも君のことは一生守ると言ってくれたケンジさんの姿は本当に優しくて、私は完全に惚れてしまったのだと思う。」
「ならどうして引き下がるんですか!私はケンジさんと話はしていません。なので本当に仲間に戻りシンドウさんと共に行くのかもわかりません。ですが赤神さんはケンジさんは旅立つと思ってる。ならどんな方法を使ってでもケンジさんに付いていく方法を探したいんじゃないんですか!」
なんで諦めようとするんですか。私は赤神さんのこともケンジさんのこともよく知らない。だから他にも何か事情はあるのかもしれない。だけど一つ絶対言えることがある。
「私は愛した人の傍にはいつまでも一緒にいたいですよ!何か事情があるのかもしれないです。でもここで引き下がったら赤神さんは必ず後悔しますよ!私がなんだって協力しますよ。私が必ずお姉ちゃんを救って見せますよ!」
私はこんなに感情的になることが今まであっただろうか、いやなかったはずだ。私はお兄ちゃんが好き、だがそれが許されるものではないことなんて分かっている。だからこそ目の前にある許される本当の恋が否定されてしまうことに許せなくなっているのだと思う。
「...詩歌ちゃん。私だって諦めたくはないわ。この嘘だらけの結婚式だったとしても私はケンジさんと結婚したい。一緒ににいたいわ!お願いします。助けて詩歌ちゃん。私にはどうすればいいのかもう分からないの。」
「この妹である詩歌に任せなさい!ケンジさんになんとしてでも本当の恋を届けてみせますよ!」
こうして私はケンジさんへ思いを伝えるキューピッドとして行動する決意を決めた。
◇
◇
帝都到着から2週間と1日。
現在帝都南口付近の森林を少し越えた荒野に来ている。
シンドウさんと繰り返し連絡を取り合い。本日やっと!
「シンドウさんとケンジさんですよね。聞きたくないですが、何でそんなにボロボロなんですか?」
服は乱れ相当疲弊している様子が見て取れる。こちらは赤神さんと共に場所を指定されたため駆け付けた。赤神さんの気持ちを伝えたいとシンドウさんに話すと共にここへ来いと指示を受けた。
「そりゃ~一週間は戦い続けてよぉ、戦っている最中に怪しい連中をこの辺で見つけて仕方なく休戦し、跡をつけいていくと細氷とかいう謎の組織を見つけたんだよ。危ない組織だと思い二人で一週間かけ潰してきたわけだよ。おかげで資金面が少し潤ったさ。」
「いや~あれは楽しかったなシンドウ!お前が鈍ってなくて安心したぜ!次はいつ殺りあうか早く決めようぜ!」
「ふざけんな!命がいくつあっても足りんわ!というわけだ動きつづけてたから中々そちらには行けなかったんだよ」
..なんだろまたどこからツッコんでいいか分からない。おかしいな私はツッコミキャラじゃなかったはずなんだけどな。
「待ってください細氷は組織数が3万はいると言われる帝都でも5本の指に入る闇組織なんですよ!二人だけで潰してしまったんですか?」
..え..え~もういいよ。やめてよ私の常識が崩壊してしまいますよ。
「3万人?ケンジそのくらいだったか?もっと多かったような気がするが。」
「細氷は氷山の一角にすぎんからな、バッグの聖炎もいたぞ。シンドウお手柄だったぞ!懸賞額で言えば10億は下らないはずだぞ。ハッハッハ」
「ちょっと待ってください!聖炎は組織数10万は超える最悪の闇組織に2大巨頭の一つですよ。」
..だからもういいって、本題に入って欲しいよ~。お姉ちゃんに膝枕して貰いたい!あれシンドウさんみたいなこと考えているな私。
「聖炎の方は半壊くらいさ、全部ではなかったはずだ。手応えがあったやつは3人くらいしかいなかったからな。でだ。高音なんの用だ折角こうして昔の馴染みと楽しんでんだ邪魔してんじゃねーよ。いやそれとも交ざるか楽しーぜ。」
「..いえ、その戦いに来たのではなくてですね、そのあの..」
頑張って赤神お姉ちゃん!見た感じ想像をはるかに超えやばそう人にしか見えないのですが、私の予想が正しければお似合いのカップルになれるんじゃないかと思ってますよ。
「なんだぁ?言いたいことねぇならいくぞ。結婚式には行くから安心しろよ。」
そしてケンジさんは皆を置いてどこかへ行こうとする。う~やっぱり今の赤神さんにはハードルが高いか。仕方ない、シンドウさんを目で牽制しつつ私は話す。怖いな~シンドウさん庇ってくださいよ!
「ケンジさんって実はヘタレですよね?臆病というかチキンというか、人と一定以上は近づけない接点を持とうとしない。このコミュ障が!」
シンドウさんは爆笑している。腹を抱えて地面にうずくまるくらい。腹立つなこの人
赤神さんはあたふたしている
ケンジさんというと
「シンドウが言ってたチビだな、覚悟はできてんだろうな!..理由を話してみろよ。」
「ケンジさんについて調べられるだけ調べました。しかし全く情報が得られなかった。初めは相当器用に立ち回れる人なのかと思いました。だがそれであそこまで隠せるとは到底思えないんです。なら他になにがあるか、それは全く人との接点を持とうとしないということ。シンドウさん話を聞いた時は能力を隠すためだとも考えていました。」
そうシンドウさんはあいつは筋肉馬鹿だと言っていた、ユイさんやマカベさんの様子を思い出しても間違いはなかったはず。器用という選択値を捨てた。
「でもケンジさんは能力隠そうとはしていませんよね。結果を言えば、隠せているのかもしれませんけどね。ケンジさんの能力は未来予知なんじゃないんですか?この能力で身を隠し続けている。そしてシンドウさんが一週間も最強のケンジさんと戦えるのも観る力がケンジさんの未来予知と同等以上だから通用しないんです。」
私はあの村でシンドウさんみのこなしを観ていた。あれが本気とは思わないが中堅クラスと言っていた。普通一週間も生き残ってるわけがない。逃げ続けたのだろう。最初のように。
「結論を言うと、その能力を悪用しケンジさんは必要以上に人に近づかないようにしている。コミュ障をこじらせて馬鹿ということですよ!」
そうでもしないと有名な剣山 狼朗の情報が集められないわけがないのだ。未来予知で例えば報道記者の動きを先読みして逃げるとかね。こうでもしないと普通どこかでバレるもんだよ。例えば芸能人とか
「..ふッハハハッ!シンドウ!この子の名前はなんだ?渾名があるんだろ。こいつが新たな仲間なのか?」
「そうだよ。説明したじゃねーか!ミッシーだよ、まだ部下だけどな。まぁこれから仲間になりえるかもしれんと思えてきたよ。」
あれ?なんかケンジさんの雰囲気がかわった?
「ミッシーこいつはな、こいつが認めたやつ以外は全く興味を示さないだけなんだよ。それでもこいつはこいつなりの仁義ってやつがあるらしく。人が困っていれば、助けを求められたら見過ごせないやつでもある。ようはコミュ障というよりツンデレだな。戦わないと心を開かない戦闘狂なんだよ。」
「なんですかそれは!だからシンドウさんの仲間濃すぎるんですって!では私は認められたってことなんですかね?」
少し考えが変わった。この人変わってるけどいい人なのかも。
「シンドウ勝手に人をツンデレ扱いは止めろ。まぁお前が本当にあの乱咲なのか疑わしくてな姿変わってないからこそ不信に思うだろ。一週間戦い続け生き延びてたら流石に認めるしかないという。この妥当な考えがなぜわからん。」
「お前絶対今思いついただろそれ!完璧に目が戦いを心から楽しんでたぞ!これだからケンジは~」
やっぱり撤回。いい人かもしれないが、凄くやばいひとだ。
でもそれならケンジさんは赤神さんのこと認めてはいないということか。
「あのケンジさん!聞きたいのですけど、赤神さんを私達の味方にするのは反対というのは、赤神さんを認めていないからということですか?」
赤神さんは私を見ながら顔色を青くしている。
「認めてはいるぞ?でなければ今こうして話す時にこの場から出て行けと威圧くらいしているところだ。」
あれ?ではなんでダメなのだろう、巻き込みたくないとかではないとシンドウさんは言っていたはずだが。
「じゃあなんでなんですか!赤神さんは強さや優秀さでは全く問題ないと思うのですが?」
「確かにそうだが、まず第一に赤神って俺のこと嫌いなんじゃないのか?第二に赤神ってミッシーが言ってたコミュ障ってやつだろ。どうかんがえても俺達みたいなグループに溶け込めんだろ。最後におまけだが爺さんに孫の高音をどうか貰ってくれ、このままだと行き送れる道しか見えないのう。そしてお前になら任せられる。頼むってあの爺さんが土下座までしやがったからな。目に入れても痛くないってやつだな。そんな孫連れていけるか!」
あれれ?私はまた何か履き違えをしてしまったのだろうか?シンドウさんが爆笑で悶えてるよ...あ~ぶっ殺したい!!
「なんで嫌われてると思うんですか?」
私は冷静に心を落ち着けて聞いてみる。
「だってな~。話かけると。ものすごい形相して終いには逃げるし、話かけてきたと思えば、ものすごい形相でぶつぶつ何か話してるだけだ。何か文句でもあるのだろうかと思うし、気まづいから稽古で必死なことや山にでも行ってくるとでも言わんと解決せんだろ。」
私は盛大に勘違いしていたことに顔が真っ赤になる。そしてケンジさんは鈍感だし!なによりも
「お・姉・ちゃ・んどういうことかな~。まさか声を掛けることも食事に誘うこともままならないなんてことないよね?」
私は笑顔のまま、怒りをあらわにしている。シンドウさん笑ってますが、この状況になること分かってて放置しましたね!許せないィィィ!!!
「.ひィ!..その私なりに頑張ったのですよ。年下の子に情けない姿とか話せないじゃない..痛いわ足を踏むのはやめて!ごめんなさい嘘ついてごめんなさいぃ!」
「ケンジさん!赤神さんはケンジさんのこと好きなんですよ!恋愛という意味で!恋しているんですよ!察してあげてください!」
赤神さんが顔を真っ赤にしあたふたしている。もう知らない構ってやる余裕はない!
「そうなのか?年も離れてるしこんなオッサン欲しいやつなんていないもんかと思ってたがな。本当なのかミッシー?」
「ケンジ本当だぜ。俺の観る目で見ている限り桃色のオーラがこれ以上かってくらい溢れているよ。もう今すぐにでも抱きしめて欲しいくらいの熱いオーラだぜ。くく面白すぎる。やばいこれは傑作だ..腹が腹がよじれるぅ~クク。」
こうしてケンジの方の結婚式問題は解決した。まぁ予測できたので、昨日のうちにマカベには急がなくていいゆっくりこちらに向かってくれと連絡はしておいた。
いや~恋は人を盲目にするとは言うが。ミッシーが一番盲目になるとは俺も思わんかったよ。
次回は閑話休題を考えております
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