3-3 嘘は婚約者に恋の色を報せる③
詩歌と赤神さんのガールズトーク!恋を芽吹かせるのか!
赤神さんと話して約20分
私は分かったことがある。赤神さんって多分すごい苦労人体質なんだね。
ベンチに座りながら自分のことを卑下するように赤神さんは語る。
私はそれを隣に座り聞いているのだ
「詩歌ちゃん聞いてよ〜ケンジさんってばいつもいつも、今は稽古で忙しいからどっかいけ!とか遊びに誘っても、今日は天気がいいから山籠りしてくる1週間留守にするから!とかでさ!ちーとも私のこと相手にしてくれないのよ!そりゃ〜私はケンジさんとは年が離れてるから子供っぽく見えるかも知れないけどあんまりよ〜」
「そ、それはひどいですね...。でもでも22歳で帝国機関幹部ってとこが凄いんですよ!年が離れてるからと言って自信はなくさなくていいと思うよ。赤神お姉ちゃん!」
「う〜。詩歌ちゃん本当いい子ね。皆私のことなんか高飛車だとか、真面目な赤神さんはそんなことしないよとか勝手に決めつけて遊びに誘ってもくれないのよ!」
うわ~多分この人、お酒飲んだら泣き上戸になるタイプなんだろうな~。お酒飲んだことないから私は分からないんだけど。
「そうなんですか?私だったらいつでも一緒にいて仲良くショッピングとか遊園地行って騒いだり、カフェで何時間でも駄弁って会話を楽しんだりとかしたいと思うけどな。」
私は満面の笑みで答える。あれ赤神さんの目が何かを堪えるようにぴくぴくしてる。
「...ぐすん..私そんなこと言って貰えたの小学校以来よ。友達いないから。なぜか皆話しかけると、かしこまってしまうし、気楽にどうぞと言っても、滅相もありません!とか返してきちゃうし嫌になるわ。」
そりゃ~赤神さん美人な上、もう空気がピリピリするタイプって言えばいいのかな、自然と頭下げたくなるほどのプレッシャーが出てますもん!完璧に姉御!って感じなんですもん!
「じゃあ、そのケンジさんが好きなんですよね?好きなのもそういうかしこまったところがないところが大きいんですか?」
「..そうね。そういうとこも好きだけど。なにより憧れなんですよケンジさんは。ぶっきらぼうで粗暴なとこはあるんですが、仲間は見捨てないし、背負ってる覚悟というんですかね。一人で突っ走って全てしょい込む姿にかっこいいなって思っちゃったんですよ。だから支えてあげたいなと思い告白して、結婚まで結びつけました。その恥ずかしいので他言無用ですよ!」
赤神さんは人差し指を立て警告してくる。可愛いなこの人。やばい逆に抱きしめたい!怒るかな?
「私が調べた限りですけど、ケンジさんも帝国機関幹部なんですよね。そのケンジさんを好きになった、赤神さんがケンジさんに助けられたエピソードありますよね。聞きたいです。」
赤神さんが顔を赤くしそわそわしている。分かりやすいな~。
「どうして知ってるの詩歌ちゃん!そのどこまで知ってるのかな?」
「え?何も知りませんよ。やっぱりあるんですね...いひゃいいひゃいれす。」
ほっぺたを引っ張られた。ダメだよ!凄くからかいたくなる人なんですよ!これはもう逃がせまんよ!妹として!
「大人をからかういけない口は摘まんでしまいますよ。はあ~。詩歌ちゃんには悪いけど。ダメよ教えられないよ」
「え~いいじゃないですか~。言わなければケンジさんに聞いてしまいますよ。ケンジさんは乱咲さんのことマブダチと呼ぶくらいなので、私だったら聞き出せてしまうかもしれないですよ?」
「..流石、乱咲さんの仲間なのかしらね。小さな天使かと思いきや、小悪魔にもなるんですね。うーん。でもやっぱり話すわけにはいかないの。私だけの問題ではないのよ。」
これはダメそうですね。私シンドウさんより、赤神さんの方が好きですし、いいか。
「ごめんなさい。わがままを言って。乙女の秘密ってことにしておきます。本日はありがとうございまあいた。乱咲さんには別の機会に会って貰えないか頼んでおきますね。」
私だけ要求を聞いて貰うだけでは不公平ですからね。赤神さんの要求も聞かなくてわね。
「ありがとうね詩歌ちゃん。あのねもう一つ頼みがあるのだけどいいかしら?」
ん?なんでしょう。私は妹である。お姉ちゃんの頼みごとならなんだって応えちゃいますよ。その変わり目一杯に甘えさせて貰おう!
「私も乱咲さんのお仲間に加えて貰えないか頼んで貰っていいかしら?お仲間に加えて貰えるなら結婚式を取りやめても構わないから。」
???ん。どういうことだろう。何をいってるんですか?疑問の収集がつかなかった。
「結婚式を取りやめていいわけないじゃないですか!お姉ちゃん凄く嬉しそうに語ってたじゃないですか!」
さっきの会話に嘘があるとは到底思えない。シンドウさんならしかねないが、赤神さんは違うと思う。女の勘ってやつだけど。
「そうよね。確かに結婚式は私がこれでもかってくらいケンジさんにアタックしてようやく掴んだものよ。だけどねこの結婚を望んでいるのは私だけなの。ケンジさんは私のこと好きでもなんでもないと思うのよ。おそらくだけど結婚したとしても、乱咲さんと共に旅立つと思うわ。だから付いていきたいの。」
愛は人を盲目にさせるという。これがいい例だと詩歌は思った。今の地位までいくのに、今の力を手にするのにどれほど努力したのだろう。それは計りしれないと。だが断言できるこれも間違っていないのだろうと、そう思い返答する。
「私は全力を持って赤神さんの応援をすることに決めました。だから待っていてください!」
こんなことを言うつもりは本当はなかった。だがあまりにこの人の気持ちは強い。本物だ。だからこそ否定はできないよ。こんなの。
「ありがとう詩歌ちゃん。お願いします。」
詩歌は覚悟を決めシンドウさんに頼むことにする。そもそも赤神さんなら仲間にするのに問題があるのか?と思うほどであった。
◇
◇
帝都に着いてから一週間が経った。
7日目の午後7時。
シンドウさんからの約束の連絡は来た。
「私が帝都で調べたことと赤神お姉ちゃんについて調べたことはこのくらいですかね。赤神さんを味方にすること検討頼めませんか?」
ケータイ越しにシンドウさんに頼みを入れる。
「ああ、いいぞ。ミッシーの話が本当であればぜひ欲しいと思うほどだ。正直そこまで話が進むとは思わんかったぞ、やるじゃないかよ。」
「ほ、本当ですか!じゃあ赤神さんを味方にするということでいいんですか?」
私は嬉しさのあまり少し興奮してしまった。赤神さんの恋を応援すると決めた以上。ここは動揺してもしょうがない。
「だがな、俺はぜひとも欲しいがケンジがそれを望んでいない。だから味方にしたいならミッシーがケンジを説得する必要があるがな。俺がその件に関してケンジを説得はしない。俺にとってはケンジが仲間に戻ってくるのであれば、それ以外はささいな差でしかないからな。」
「え?でもさっきシンドウさんぜひとも欲しいって言ってくれたじゃないですか!..いえケンジさんは望んでないというのは赤神さんを巻き込みたくないとかですか?」
「ケンジのことを考えれば1割程はそういうことも考えてそうだが、根本的なところは違うだろうな。」
私はケンジさんの声しか聴いたことがない、だから調べたのだがあまりにも情報が手に入らなかったのだ。ケンジさんは意図して自分のこと見せていないとしか思えないほどに、手に入った情報は戦果だけだ。
「じゃあなんなんですか?ケンジさんが赤神さんを避ける理由は。シンドウさんは自分で調べさせようとかって考えて情報を与えなかったんですよね?ケンジさんに勝ったことがあるとか重要情報すぎでしょ!..今回私は自分の力を全力で使ってもダメでした。だからお願いします!教えてください!」
「..やっぱり俺の観る目は間違っていなかったな。悪い独り言だ。分かったチャンスをやろう。その気概に免じてな。赤神さんの裏を探せ一週間の期間をやる。ここからは情報が手に入り次第情報が欲しいからな、2日に一度連絡を入れる。最終日もだ。早い吉報を期待する。」
「え?裏ですか?何のことで...切れちゃった。もう!何で教えてく...いやここは調べないといけませんよね。赤神さんとは連絡が取れるようにしてあるから問題は一週間以内に会うことができるか。」
私はもう一度会えないか、メールを赤神さんに送る。赤神さんがどうしても電話だと履歴が残る上に話す内容がどこでバレるか分からないとのことで、メールで頼むとのことだった。メールは嫌いだその場ですぐ確認が取れ..。メールが返ってきた。はや!
「この度はメール頂き感謝します。そのお友達からのメールは初めてなので何を書けばいいのか分からないため、不作法であったら誤りたい。そして直します。今後もよかったらメールして頂けると幸いです。
返信が遅れてしまっていないだろうか。遅れてしまっていたら申し訳ない。着信音は特別性のにして会議中だったが中断した。なので遅れてしまったのなら謝る。申し訳ない。メールの件に関してだが、3日後の午後13時にまた時計台でいいだろうか。もし都合が悪かったら言ってくれ。近郊で小競り合いが起こってる新兵の援護にいく予定だったがキャンセルする。心配だが構わないだろ。以上です。どうでしょうか?返信心より待っています。と」
詩歌は深呼吸をする。こういう時は心を落ち着かせるものだ。よし
「....長いわ!この人本当に友達いないんだな。会議中断しちゃいけないだろうに、そして新兵を見捨てちゃだめでしょ!もうツッコミどころしかないよ~。...とりあえず返信しないと赤神さんが心配だ。」
「お姉ちゃん。メールの返信早くて驚いたくらいだよ。ありがとう! 三日後で大丈夫だよ。会議の邪魔してしまってごめんね。お仕事頑張ってね。妹より。と送信!」
しまった。会議中なんだよね今、また会議中断させてしまうかも!メール来た。だから早いよ!
「本当に詩歌ちゃんはいい子ね。会議のことはいいのよ。さっき会議中にメールとは何事じゃって!お偉いさんに言われたけど。何か文句があるんですか?私にとっては外交問題にかかわる重要案件より大切なんですが。と言ったら。..そうかすまんかったの。赤神のことだから何か事情があるんだろう。どうぞ続きを。と言ってくれたわ。少し笑ってしまいそうになったわね。三日後ね承知しました。すぐにでもいいんよ、新兵の命より詩歌ちゃんの方が私は大事に思っているわ!何かあったらいつでも連絡して、私の権力を持って必ず守るから。 お姉ちゃんより。と」
詩歌は深呼吸をする。こういう時は心を落ち着かせるものだ。よし、さっきもしたような気がするな
「....長いわ!帝国機関のお爺ちゃんごめんなさい!悪くない悪いのは私です。会議中断させてしまってごめんなさい!外交問題に何かあったらどうしよう!愛が愛が重すぎるよ!なんでこんなんになるまで赤神さんほっといちゃったんだよ~。この人マジでやりかねないよ!」
「お姉ちゃん、ありがとう。私凄くうれしいよ。じゃあ三日目よろしくね。今日はもう遅いし寝るね。本当はお姉ちゃんと一緒に寝たいんだけどね。わがまま言っちゃだめだよね。返信は会議終わってからでいいからね。おやすみお姉ちゃん。と送信!」
さて三日後か、何をしようかな?まだ調べられていないことがあるはず!頑張りますよ~ファイト!オー!
赤神さんは優しいですね。詩歌は好感度の限界点を突破してしまいそうです!
お読みいただき感謝です。
スペラ@小説家になろう
でツイッターやってます。