嘘をつき続けた代償
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PV7106 、ユニーク2504沢山の応援ありがとうございます。(2018/07/28更新)
人は真実と嘘どちらが多いだろうか...。
俺は人生を振り返りよくこの議題を自分に問う
俺は真実の方が多いと回答を出し続けている
人間はそんなに欺瞞に満ちてはいない
世の中はそんなに欺瞞に溢れてはいない
もしそうだとしたらその人の環境が悪かったり、生きていく中で価値観が大きく変わるような出来事が起きたとかそんなもんだろ。だから俺が仮にこの議題に対し逆のことを語るのであれば、それは環境が世の中がそうしてしまったのだろう。
言いたいことはただ一つ
ようはこの議題は自分次第でどうにもなるし、それ以外の要因でどう転ぶか分からないということだ。
だから俺は今までこの議題は人生観に基づくと真実が多いと結論付けていた。
「
真実とはうそや飾りのない、本当のこと。まことのことだ。
うぅ。俺がお前なんかに殺されるなんてのは嘘だ。
こんな理不尽があってたまるか!
」
俺の名はシンドウ。28歳の営業マンである。
今俺は郊外にあるアパートの帰宅中に致命傷を負わされ倒れている。
ここまでなら例えば車に轢かれただの誰かに刺されただのあり、俺の理不尽を訴えることなぞない。だが目の前にいるこの化物はどう考えても現実的ではない。負わされたと語るのは一瞬の出来事であったため認識すらできなかった。
それでも死ぬ寸前に走馬灯のように駆け巡る記憶の中で最後に結論が出せたのは、今俺が置かれた状況は偶然ではないということだ。
これは俺が嘘に塗り固められた人生を送ってきた報いなのか…それとも
「もし俺に復讐をするチャンスがあるのであれば必ず報復してやる。俺の平和を奪ったのだから…」
そして意識は途絶え絶命した。
◇
起きたのは周りが薄暗く確認を行うがどこまでも先の見えない空間であった。
意識がまだはっきりしていないため現状把握はできていない。最後の記憶は俺を殺しやがった怪物に必ず殺しに行ってやると吠えたことだ。意識はおぼろげだが身体の四肢はしっかり機能しているためまずは立ち上がろうと手を付くと声が聞こえた。
「シンドウさん、お目覚めでしょうか?」
...!
背後からの突然の呼びかけに驚くというよりも、全く気配を感じなかったことに驚いた。人には気配を正確に察知する能力なぞ存在しない。だがそれは能力がないだけで手に入らないというわけではない。人は生物である限り呼吸はするし、種によっては視線を飛ばす。知的生命体であれば微々たるものだが脳から身体に電気信号を送っており身体から絶えず電波を放出し続ける。ゆえに長年の経験よりそれら一切を感知させずに俺の背後を取るなんて芸当あの化物と同じでない限り不可能なのである。
「...ぁあ、まだ頭がこんがらがってるかもしれんが目は覚めたよ」
とりあえず声のトーンから判断すると敵意は向けられていないことは分かった。
振り向いてその人物を確認したところ、女神コスプレでもしたJKか?とでも思いたくなった。
後光でも指してるのか少し眩しい。薄暗い中で後光とか鬱陶しいことこの上ない。
...だが改めて不快な思いを腹底に収めて改めて女神の顔を確認した。髪はセミロングのストレート。色はブラウンで光の反射次第で茶髪に見える。目鼻立ち整っており童顔ながらも落ち着きを思わせる佇まいである。女神が俺の前に降り立ったのかと思った。実際には向こうは座り心地がいいのか?と思わせるパッとみ石の椅子に腰かけ微笑みながらこちらを優しげに見つめてくる。
「そうですよね、死んだ後なのですから仕方ないかと思います。」
死んだ後と言うのだから、こちらの状況を把握していることに加え名前まで把握してやがるのか?本当に女神かなにかか?いやそんなことどうでもいい。俺のことを知っているなら話が早くて助かる。
「やはり私は死んだのですね。...2点ほど質問してもいいかな?」
とりあえず相手の機嫌を損なわぬよう営業スマイルで話かける。相手の感情機微を理解し話の流れやあらすじを上手に運ぶことこそ営業の神髄。相手のことを考えることを踏まえなければ話なぞ引き出せない。こちらを心配そうに伺っている様子からみて信用を勝ち取ることは難しくないと判断する。
「わりとあっさり受け入れるんですね...切り返しの早さに驚きです? コホン…質問ですね、いいですよ」
何を驚くと言うのだ?まぁ俺が死んだことすら把握できずここに来たと思われていたかもしれないから驚くところであったのかもしれん。機転が利かなかったことに少し申し訳なさがあったがこんな状況に陥ることなぞどう人生を歩んでも0%であると生前は考えていたので仕方ないだろう。
「1点目の質問ですが、私の死因と犯人は分かりますか?」
復讐のチャンスがあるかはまだ分からんが自分の最後がどうであったかどうかは気になるところだ。思い出せる範囲では胴体に風穴開けられ倒れた。血まみれの中で視界が薄れる中どうにか化物を視認したが吠えることくらいしかできていない。
「そうですね...。死因は近くの工事現場の鉄骨が運悪く落ちシンドウさんの胴体をぶち抜いてしまったようですね。犯人かどうかは分かりませんが工事現場の方は法の元裁きを受けたのでご安心を。」
笑顔でなんてこと吐きやがるこの女は!俺には嘘をついたかそうでないかが経験則で分かる。今回はそんなことしなくても判断はできるが、本当のことを話す気がないらしい。しかも裁きをということはあの化物は始末されたのかもしれん。余計なことを...。
「そうでしたか...でも犯人に悪意があったかは分かりませんが法の元、裁かれているなら少しは安心できます。答えてくださりありがとうございます。」
「いえいえ、こちらこそ本当は死ぬ前にシンドウさんを救い出せていたら、このような事態にならずに済んでいたところ力及ばず申し訳ないです」
救い出せていたらか...。正直状況として極論2パターンしか思考していない。
第1は化物とは敵対関係であり俺が殺されることは想定外であること。
第2は化物とは味方関係であり俺が現在こうして存在していることが想定外であることだ。
第1はこの女の落ち度で俺は死んだ。
第2は化物の落ち度で俺はまだ生存していることだ。俺が今こうして生きていると実感している以上死んでいるとは思えない。死んでいることにしているだけだと仮定している。
「二点目です。なぜ私の名前を知ってるのですか?それと私のことどこまで知られてるのでしょうか?」
正直これが1番の問題である。こいつの正体は分からんが俺の過去を知るモノがいてはならない。状況次第では対処せねばならないだろう。
「名前とシンドウさんのことですか...。シンドウさんは魂の存在は信じる方ですか?」
「魂の存在は信じる方だな、体は治り切ったとしても行き返らない人が存在する以上なにか魂のようなモノがあるのではないかというのが学術的結論だからな。」
「はいおおよそそんなイメージで大丈夫ですよ。その人が持つ魂には記憶を司っており、私達女神及び神界の者は神界条例に基づき操作が可能なのです。」
これはまたやっかいな力を持っているもんだ。
記憶を探る行為なぞプライバシーの侵害どころではないぞ。法律をどうのこうの言うつもりなんてないが対策の立て方すらない理不尽なぞあってたまるか。この世は真実で成り立つべきだ。在りうべからず嘘である。
「これはお恥ずかしいところお見せしてしまっているかもしれませんね。プライバシーの侵害を訴えたいところですよ。ハハ..ところで実際にどの辺を覗いたんでしょうか?」
俺は他愛ない話題をにへら顔で会話のキャッチボールを行う。
ここは重苦しい雰囲気はまずい。慎重に言葉を選ばなければならない。
「そうですね。確かにあまり気分のいいものではないですよね...。すみません。でも覗いたのはシンドウさんが死んでから過去一年分ほどです。私の場合は神界条例より特例でもない限り最高でも5年分、それ以上は階級によって異なりますね。社会人として真当に働いてる姿といえばいいのでしょうか?たとえ覗かれても恥ずかしがるようなことはなかったと思いますよ。」
「そうですか...それは良かったです」
女神は慌てて両手を身体の前で交差させるように振りフォローを入れる。
嘘ではないようであった。
本当に良かった。もう遠慮をする必要がなくなったからである。
さらに可愛く両手を握りフォローしてくれているところ悪いがもう用済みだ。
「シンドウさん質問は以上ですかね?ほかにも質問があれば答えますよ?」
「いえ、回答いただきありがとうございました。女神様も話さなければいけないこともあるでしょう。そちらを優先して構いませんよ。」
俺の行動方針は質問をする前からほとんど変わっていないから問題ない。
化物にどう報復する機会を奪われた可能性があるということだけがネックというだけである。
「わかりました。では現在の状況とこれからのことをお話ししますね」
やはりそういう話になるよな。ここで詰めを誤れば計画は頓挫してしまう。どういった対処をすべきか...。
「
現在の状況はシンドウさんが把握されているとおり死んだ状態となります。このままでは消滅を待つのみです。これからのこととしては地球とはべつの世界行くか、魂は消滅しませんが、すべてリセットし魂回収をすることとなります。事実上死ぬことと同義なのでオススメできませんね。
」
「そうですか...。えっ!べつの世界に行けるのか?」
これは想定していなかった。魂のリセットや生まれ変わり、最悪の状態としてこの女神の奴隷とならなければならんところまで考えていた。誰かに永続的に支配を受けるくらいだったら死を選ぶのがシンドウという男だ。しかもこの提案は俺の考えでは計画を大きく前進させることができるやもしれん。
「そう!いけちゃうんですよ~異世界ですよ!元の世界には神界条例より戻せませんが。異世界であれば問題なしです!」
なんだろ興奮してるのか、性格変わってないか?
目をキラキラ煌めかせ初めて素敵な絵画を見て感動する子供のように興奮を露わにする。まぁ鬱陶しい所だが美少女の笑顔を見れた役得を教授できたことでトントンとすることにしよう。
「その提案に乗りましょう。ちなみに異世界は複数あるのでしょうか?あった場合こちらで選ぶことは可能ですか?」
「申し訳ないのですが私が受け持っている世界は地球とご紹介するところの二つだけなので選ぶことはできませんね。」
くくっ笑いが込み上げてきそうなほどの喜びは何年ぶりであろうか。この女神は嘘をついてはいない、だからこそ信じられる。最高の結果だ。二つしかないということは俺を殺した化物がいる世界ということだろう。そしてあの化物が地球にこれたのなら俺もまた不可能ではないはず。化物を仕向けた裏の人物が必ずいるはずだ。報いは受けてもらう。
「いえいえ死ぬところを救っていただくだけでもありがたいのに、それ以上はもう望めばせ..」
「でもですね!もう一つシンドウさんにさし上げられるものがあるんですよ!なんだと思います~
じゃ~ん異能力ですよ異能力!」
だからテンション高いなこいつ、そして異能力だと胡散臭いな。
「今から空中ディスプレイに映しますね~ いろいろありますよ!」
おい!空中ディスプレイなんてものをそう簡単に生み出せる技術あるなら、それをもらうくらいでいい気が...
「なになに..
自然界を司る力(MP強化)、肉体の限界値を超え強くなる力(STR強化)、創造する力(INT強化)....」
なんだこれは?こんなものいらんぞ俺は。
どう考えても嫌な予感しかしない....。
・第一に異世界がどんな場所かは知らんがこんな破格な能力が謳歌するとは思えん。そんなことすれば世界が早々に滅ぶ。
・第二にこんなとんでも能力を持ってるやつを普通ほっとかれるわけがない。下手をすれば国家レベル殲滅されるまである。仮に善行をよしとし活動したとしよう。人は優れた人間に嫉妬、妬み、恨みを抱えるものだ。最終的には結末は滅びあるのみだ。
・第三にこれは個人的な感想だがこの頭が悪くなるような、子供じみた能力にちっとも惹かれんし、こんなんで勝ってうれしいのか?と思う。むしろ強敵相手に戦いを楽しむことができず損な気がするが
「テレポートする力(能力上昇なし)、動物の視界を共有する力(能力上昇なし)、嘘を暴く力と暴かれた力(能力上昇不明))」
なんだ?最後の能力は
「女神様、嘘を暴く力はなんとなくわかりますが、暴かれた力とはなんでしょうか?」
「あーそれね。最初は嘘を暴く力だけだったんだけど。あまりに不人気すぎて私の主が付け足したんだっけかな。ど忘れしてしまいましたね。ちょっと待ってね~調べるから」
おいおい何を考えている。嘘を暴く力というだけで相当有効な能力だぞこれ。現に俺はこの能力をすでに持っているに等しいが、どれだけ強力となりうるだろうか。そしていいかげんだな~
「あった!えとね..暴く力は相手が嘘をついているとわかれば自白させることや解呪させる..なんともパッとしない能力ですね...」
「その能力をいただこう!その能力でいい!」
こんな衝動に駆られるのも何年ぶりだ。この能力は尋問も強いては拷問さえ必要としなくなるじゃねーか!正直能力を馬鹿にしてたが、これだけは言えるこれは俺に最適すぎる。
「え!なんでこの能力なんですかシンドウさん?」
しまった。あまりの衝動に我を忘れてしまった。
女神さんは瞬きを数回繰り返し首を傾げながら問う。こいつの表情を察するにこれだけの中からなぜこんな能力をとただただ疑問に思っているだけのようだがよからぬことを考えている自分にとっては返事に困るところだ。
「理由ですか..」
どうするか....俺は久しぶりに言い訳に思考能力を全力に使っていたのだが。
「いや待ってくださいシンドウさん。暴かれた力の方は強そうですよ!なんと相手がこちらの能力を暴いたら、それが力になるそうです。そしておまけに暴く力、暴かれた力共にON/OFFをコントロールできるそうです」
暴かれた力は基本いらんがON/OFFのコントロールに暴く力も入るなら、もはや想定をはるかに超え強いぞこれ。しかし暴かれた力か...
「本当にこの能力でいいんですか?」
「はい構いません」
構わないとも、年甲斐もなくこの能力を試してみたくうずうずしてるまである。俺もまだガキだったってことだな反省したぜ。
「はい!能力を付与しましたよ。これで異能力者ですよシンドウさん!」
「...はぁ?..なんだと!?」
女神は人差し指を立て光らせただけである。俺はというと身体に異変は何も感じない。頭が少しぐらついただけだ。流石に自分の何かが変わるのだから何か副作用の物があるもんなんじゃないのか?
っていうかさ!だからよ!理屈を大きく逸脱することをさらっとやるな。
「いや〜皆さん驚かれるところなんですよね〜。なんというか身体を改造とかではなく。なんといいますかシンドウさんはこの能力を持っているという概念に書き換えたってイメージですね。」
「そうなんですか〜いや流石女神様本当に凄いですね本当に(棒)」
んなわけねぇだろ!概念ってなんだ。くそっ俺の常識が人生トップ10に入るレベルで崩壊していきやがる。今回はそう悪い意味でだ!
「女神様少し気になったことがあるのですが、こんなに早い段階で付与してしまうと、例えば能力を試そうと女神様に襲いかかる人がいるのではないですか?それに女神様はとても麗しいお方です。欲情してしまう方もいるんじゃないですか?」
「へぇ?シンドウさん何を言ってるんですか!女神にお世辞は不要ですから! …コホン。能力が私に危険ではないかということでしたね。大丈夫です私が付与した能力は私には効きませんから。」
この話題はグレーに近いレベルで危険だからな反逆心を持ってることなんて悟らせるわけにはいかない。そして私が付与した能力は効かないか…対策はしっかり考えてあるようで余裕の表情を浮かべている。そもそも自分の力以上のモノを渡すはずがないか。
「まさかシンドウさん私を倒せば地球に戻る手段があると考えてますか?無理ですからね。私を倒すことと、そもそも神界条例より死んだ人間を元の世界には戻すことはできません!決まりごとです。」
「いや〜女神様の目は欺けませんね。申し訳ない。」
おそらくこういう対応には慣れているのか、試したやつも当然いたのだろう。まぁそんなやつらと同じで元の世界に戻りたいと思わせられたならいい。
目的はそこじゃない
この嘘を暴く能力が使えるかどうかだからな。
結果は成功だ。気づいてないようだが先ほどの初心な反応はナンパ行為から反応を引き出したのだ。本人は無意識からの行動だと思っただろう。そして能力のON/OFFも成功だ。神界条例より死んだ人間を元の世界には戻せないは嘘だろう自白させるさせないは瞬時に切り替えられる。
「ちなみに私はすぐにでも異世界に行くことにはなると思うんですが、異世界がどういった文化なのかとこの場所と二つの世界はどういう立ち位置なのか最後に聞いてもいいですかね?」
当然自分がこれから行く世界だ、情報はあればあるだけいい。手間が省けるからな。
「文化ですか?そうですね〜基本は地球と変わりません法があり秩序があるので戦争末期な感じではないですよ。ただ…地球と違い人間が知的生命体としてトップに君臨しているわけではないですね。」
人間以外の種族がいるわけだな。まぁここは異世界というくらいだお伽話に出てくるような生物がいるだろうさ。なにより女神が目の前にいるくらいだからな。こいつが女神と100%信じてるわけではないがささいな差でしかない。それに楽しみは後から取っておくものだな。
「それは地球より発達しているのですか?それとも逆ですか?」
文明レベルを聞いたんだがな、勘違いさせてしまったようだ。
「うーん…悩ましいところですが、異世界の方が上になるのかな?地球で言うIT関係やインフラと言えばいいんですかね。そのレベルが少し低い以外は基本上です。
なるほどな地球はわりと他の世界よりも情報の力というべきか、そういった所が上らしい。
「なんといいますか、情報を集める端末のようなものはあるのですが娯楽関係が一切出来上がってないんですよね。検索機能しかないだけみたいなもので、構築する力はあまりないです。」
うん正直言おう。地球より良いのではないかな環境面において。下手げにいろいろなものを作成してしまうと現代のように悪い影響を受けるガキが増えるからな。
「そうですか。確かにそういった面を惜しくは思いますが贅沢は言えませんね。」
「えーと、もう一つはこの場所のことでしたかね?まぁイメージしやすく言うと魂の回収及び受け渡し場所ってところですかね。」
まぁおおよそそんなもんだろうがやはり引っかかるな。なぜなら魂を管理するならなぜ俺は魂だけの存在になっていないのか。この身体がある状態でも魂だけと言われればそうなのかと返さざるおえんが、妙である。これに限っては確信はない。ただの感であるが。
「そうなんですね。ということはこの場所は魂と女神様強いては神界の人だけが居る神域みたいなものなのですかね。」
「はい神域と捉えて間違いはないですよ。シンドウさんのような魂や私達神界の者しか足を踏み入れることを許されてはいませんね。」
嘘はついていない。だがシンドウさんのような魂というところに違和感を感じる。そして神界の者しかはというところは合っているのだろう。神々というのは基本的には無干渉というのが俺のイメージである。わざわざこのように1人の人間に女神が現れること自体が特例なのであろう。
「回答頂きありがとうございます。神界か〜失礼と思いますが俺から見れば女神様は神々しいほど綺麗です。しかし普通の人間と変わらない存在に見えます。何か神と人間に違いがあるのですか?」
俺は歯の浮くようなセリフを吐く。こんな見え透いたお世辞なぞ大抵軽くスルーされるものだが女神は逐一反応してくれる。よほど耐性がないのであろう。引きこもりの女神さんなのかね~
「もう!意地悪ですねシンドウさんは!はぁ〜神と人間の違いですか。正直分かりかねますね。どれほど経つでしょうか。何か使命を与えられたかのようにこの魂の管理を行っています。でもこれはやらねばならないこと、そして怠ると女神ではなくなります。」
話を最後まで聞くが結論としては、なんというか憐れだなと思わざるおえんよ。本人がいいならいいがそんなただただ付き従って己の使命を全うするなど俺に言わせれば愚の骨頂である。
「申し訳ないですね。変な質問をしてしまって。気分を損なわせるつもりはありませんでした。回答ありがとうございます。」
「いえいえ、私こそ普段こんなお話することはないのでつい口が滑ってしまいました。忘れてください。」
はぁ〜露骨にテンション下がってやがるな。さっきの異世界転生の下りのテンションはどこいったんだか。
まぁいい結論は変わったが問題ない。
お前はもう用済みなのだから。
「では女神様!異世界へ赴こうと思います。どうすればいいのでしょうか?」
「はい…転移ですね。ゲートを開きますね。」
また人差し指を光らせると、空間にいきなり人ひとり写りきるサイズの鏡のようなモノが現れる。入り込めばいいのだろう。
「ではシンドウさん。あらたな人生を謳歌して下さいね。」
女神は手を振りながら見送ろうとする。
まぁこの場から排除する予定だからお前もお別れだろうがな。
「なぁお前さぁ〜このままでいいのかよぉ。こんなとこでず〜と大事なクソ主に支配され続けてよぉ〜それ人生の無駄だからな」
俺は営業スマイルなど忘れて昔の顔、悪魔のような表情で振り返り様に女神を挑発する。
残念だがお前をこんなところで燻らせてはおけんのでな。
「シンドウさん?いきなり何をいってるですか!冗談はやめて下さい!!そして主への冒涜は撤回なさい」
初めは呆然としていたが、最後には最高のキレ顔が拝めたぜ。まぁ自分より主の暴言を許さない辺りは大分洗脳入ってやがるなぁ。やはりこれでは無理みたいだな。
「撤回だぁ?図星突かれて逆ギレかよ情けない。主も主だが、ペットもペットだな〜おつむが足りないんじゃないかぁ!」
「...ィペットだとぉ...コホン。シンドウさんはいい人だと思ったのにガッカリです。主への暴言もとい女神への冒涜を許すわけにはいきません。死んでもらいますね。」
女神は手をこちらに向け光を灯し攻撃を図ろうとしている。しかし、そうはいかないね。俺にはなさねばならんことがあるからな死んでなぞいられんさ!
「いーや、死ぬのはお前だ!この主に反逆した嘘つきな愛しい女神さんよぉ!」
俺は嘘をよく吐くが。つまらん嘘は吐かない!これは真実だよ。女神さまよぉ!
「だれが嘘つきですか!...ん」
女神は突然苦しみ出した。それが原因か、空間は乱れ崩壊へと導かれてていく。なぜかって?
「女神様..いや違うなお前の名は神藤結! 俺にあの化物を仕向けた犯人の1人だからな!いい加減思い出しやがれ!」
「!?...あなたは乱咲擾..うっ決して許さないわよ!この仕打ちは必ず返してやるんだから!」
怒りながらも最後には厄が取れたようににやりと笑みを浮かべる。
後から仕返しに何を言われるのやら?はたまたどうな仕打ちが待ってるのか怖くなるな~
だが長年待ち望んでいた時は今動き出した。
もう誰も失ってなるものか!俺を殺し切れなかったあいつらに必ず復讐を果たしてやる。
「さあ手を取れよ帰るぞ俺たちの異世界へ」
「わかったわよ!死ぬわけにはいかないものね。主...いいえ裏の人間さん!」
こうして俺たちの異世界での物語は再び始まった。
俺は最初に言っただろ真実の方が多いと、だがやはりだめだった戻ってきてしまった。
この欺瞞に満ちた嘘だらけ世界に。
そして今度はどうだろうな救えるのか?それとも滅ぼすのか?
読んでいただき感謝します
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