大阪県に暴風雪特別警報、発令
「臨時ニュースを申し上げます!臨時ニュースを申し上げます!本日午後3時、大阪県に暴風雪特別警報が発令されました!予想される最大瞬間風速は、市街地で50メートル、内陸部で70メートル、山沿いで90メートルです!みなさん!ぜったいに外出しないでください!シベリアのような猛吹雪になります!2メートル先が、まったく見えません!積雪も、市街地で3メートル!内陸部で5メートル!山沿いで8メートルから10メートルに達する見込みです!気温は、市街地でマイナス10度、内陸部でマイナス15度、山沿いでマイナス20度からマイナス30度になる恐れがあります!各方面、厳重に警戒してください!」
うおおおおおおおおおーーーーーーー!やった!やった!やったぜーーーーーー!
大阪についに、猛吹雪が来るんだ!これで大阪も、いっちょ前に雪国の仲間入りってか?
これは楽しみだ。
猛吹雪の中に出て、
「天は我を見放した!」
と八甲田山ごっこをするんだ。
「隊長!アムンゼンは先に行ってます!」
とスコットごっこをするんだ。
「あきらめよう。ここを大和雪原と命名する!」
と白瀬矗ごっこをするんだ。
テレビは、続けた。
「ところでなぜ、この大阪で猛吹雪になるんですか?気象予報士の豆粒さんに解説してもらいましょう」
「実はですねー。大阪湾に、低気圧が停滞するんですー。上空1500メートルにマイナス60度の寒気を持ってるんですー。すごいでしょー?」
「はあー」
よし、きょうは早く寝よう。明日の朝が楽しみだ。
朝、目が覚めた。
静かだ。
吹雪は?
トイレに立ち、窓を開けた。
空は、抜けるような青空。いい天気だ。
風は、そよそよ。木の枝が、微かに震えてる。
地面は、雪も何にも、なし。
…………
なんでだ?????????????
気象台に電話をかけた。
「おい!暴風雪なんて、ウソつきやがって!穏やかないい天気じゃねえか?責任者、出てこい!」
担当者が答えた。
「すみませんすみません。実は、今現在、低気圧が大阪湾に停滞しているんですが。それがそのー、大阪県は、低気圧の目の中に入っていまして。その、閉塞前線ができまして、その影響で風と風が相殺し合って無風になってしまったんです。低気圧は、急速に衰えてまして、あと1時間で消えます。どうもすみません」
おれは、パジャマのまま外に出た。
「うおおおお!天は、我を見放した!うおおおお!大阪はいつになったら、雪国になるんやろか?」
おれは、泣き叫んだ。
「死ぬまでに一度でいいから、雪の山にどさっと飛び込みたい!雪と戯れたい!雪を食いたい!」
それを聞いていた母ちゃんが
「おまえ、なんで雪食いてえんだ?」
と聞くんで、答えてやった。
「おばあちゃんが言っていた。雪を食うと、1年間、風邪ひかんようになるんや、と」




