5 カズマ覚醒!?
ナイトサーバントと名乗る男はこちらを柔らかい笑顔で見下ろしている。
いや、見下していると言った方が正しいのだろうか。
「残念だよ。エルフの最強戦士がこんなものだったとは」
「なんだと」
サリーは怒りが最高潮に達していた。
「お前か?このエルフ国破壊の首謀者は」
「あったりまえじゃん!」
軽いノリで言葉を返してきてサリーは激高した。
「お前たちのせいで私たちの仲間が傷ついた。お前たちのせいで!!」
「いるよね、そういうこと言うやつ。じゃあ、なんでこんなとこにいるの?なんで真っ先に最前線行かないのさ」
「それは……」
「返す言葉もないか。まあ、死が怖いのは誰もが同じだしね」
そう言い終わると同時にフェンリルの頭上から姿が消えた。
「どこだ!?」
俺は必死に辺りを見渡す。
「まあ、死が少し遅れただけだったね」
「サリー!! 後ろだ!!」
サリーはいつの間にか後ろを取られていた。
「このっ! くそが!」
「はは! かわいい抵抗だ」
サリーは振り向き剣を振り回す。
「でも、もう飽きた」
ナイトサーバントの雰囲気がいきなり冷たく張り詰めた感じになった。
向かってくるサリーに的を合わせるように手の平を向けた。
「爆ぜろ」
サリーの目の前が爆発して、サリーは木の枝を何本も折りながら100メートルほど吹っ飛んだ。
傷だらけだ。
口からは血も流れている。
「お前は……一体……」
「僕? 死ぬのそんなに遅らせたいの? まあ、死ぬには変わらないから知りたいことがあれば答えてあげるよ」
「お前らはなんだ?」
サリーは荒い息をしながら質問し始める。
「僕は人狼だよ。あ、でもね。少し特殊」
サリーの目の前に漆黒の巨大な翼が広がる。
「お……前は」
「そう!一時期噂になったよね。堕天使と人狼のハーフがドラゴン族の領土半分を一人で破壊したって」
サリーとエミリア、マリアは固まった。
「つかまったはずじゃ」
「ふふ、牢獄の監視にさ僕の知り合いいたんだよね。出してもらっちゃった。まあ、変わり身が牢屋に入ってるんだけどね」
俺はその会話を聞きながら必死に怒りを堪えていた。
拳を今まで生きてきた中で一番強く握っている。そう思う。
ーー俺に力を貸してくれ。
片手に持っている弓矢に問いかけるように心の中で言う。
もちろん返事はない。
ーーもう、何もできないのは嫌なんだ。
心に溜まっていた思いが溢れ出す。
ーー俺は自分を変えたい。
ーーもう、友達を失いたくない。
この世界に来る前に友達に離れていかれたことを思い出す。
それと同時にエミリア、サリー、マリアを友達のように思うようになっていたんだなと自分ではっきり気づいた。
ーー大切な人を、友達を。
少し間を置き深呼吸をする。
そして、自分でもぶれることは決してないと思う言葉を心を込めて心で呟いた。
ーー守りたい。
すると、いきなり持っていた弓が光を放ちだした。
「カズマ……さん?」
隣にいたマリアが驚いたような表情でこちらを見ている。
エミリア、サリー、ナイトサーバントも異変に気付く。
「あれは!?」
ナイトサーバントは心当たりがあるような感じで呟く。
「あいつだけは生かして連れていく」
今までの笑顔とは別種のやっと見つけたというような表情で見ていた。
「そうはさせんぞ」
サリーは立ち上がる。
相変わらず息は荒いままだ。
「エミリア……カズマは恐らくあれだ。ここは任せろ、そいつら連れて逃げろ」
「いや、俺も戦うよ」
「え?」
この力がどのような力なのかもまだわからない。
でも、光を放つ弓がそう言っている気がした。
「俺が守る」
カズマはそう言い弓を構えた。




