2 魔法
・・マ様!・ズマ様!カズマ様!
「わわっ!!」
カズマは自分の名前を呼ばれて起きた。
起きた。そこまではいい。
この状況はなんだ。
エミリアが俺の上にまたがっている。
こんな起こし方をされたのは初めてだ。
「やっと起きましたか」
エミリアは何回俺の名前を呼んだのだろう。
頬を膨らませ拗ねたようにしている。
皆知ってるか?美少女のプク顔は最高だぞ!
話がそれてしまった。
またがっているのも一周回って許容範囲とする。
問題は服装だ。
「エミリア?何その服装」
「え?変ですか?室内では基本いつもですけど・・・」
いつも通りか。
まあ、初めて会ったときも露出が多いなとは思ったよ。
でもさ、パンツ一枚ってどうなの?
まだよく知らない男の上でだよ?
「あのさ、服来てくれない?せめてブラ」
「基本エルフはノーブラです」
「じゃあ来てくれ」
「今持っていません」
カズマは自分の着ていたパーカーを脱いでエミリアに投げつけた。
「着ろ!!」
なぜ俺がこんなに服を着せるのに必死なのかって?
決まってるだろ。
俺の息子を制御しきれなくなるからだよ!!
「もーカズマ様はピュアなんですね」
「なんとでもいえ」
エミリアは渋々パーカーを着る。
俺のパーカーはエミリアには大きいらしく少しぶかぶかだ。
だが聞いてくれ同志達よ!
美少女に少し大きめのパーカーを着せるとどうなるか。
あえて言わないでおくが控えめに言って最高だ。
バシッ!!
カズマは両手で自分の頬を叩く。
俺は朝から何を考えているんだ。
深呼吸してエミリアに話しかけた。
「今日はこれから何すればいいの?」
「カズマ様。何日間寝ていたか知ってます?」
「知らない。あと、様いらない呼び捨てでいいや」
「三日間です」
「え・・・。」
マジかよ。
よく俺生きてるな。
「で、その三日でなんですが・・・人狼達に国の三分の二を占拠されてしまいました」
えええええええええええええ!!
「普段服を着ていないのはちょっとだけ嘘です。今家破壊されてしまって・・・」
「ごめん・・・ごめん!!」
「謝ることなんかないですよ。まだ、この建物、聖樹が残っていますので希望はあります。この樹
がこの国の命といっても過言ではないくらいです。聖樹は半径3キロの結界を張っているので人狼もすぐには入ってこられないでしょう」
「なるほど。とりあえず魔法を教えてくれ」
カズマは流石に命の危険を感じた。
「ではまず、何の魔法が使えるか試しましょうか」
そう言いながらエミリアは小さな袋から赤、青、黄色、黒、透明、白の石を取り出した。
「これは魔法石といい使える属性があると反応します。赤は炎、青は水、黄色は雷、黒は詠唱、透明は風、白は氷です。あ、もう一つありました」
エミリアは袋からもう一つ石を取り出した。
虹色の石だ。
「これは全属性ってことかな?」
「その通りです」
「ではどうぞ。一つずつ持つだけでよいので」
そう言われ一つずつ持っていく。
赤・・・反応なし。
青・・・・反応なし。
黄色・・・・・反応なし。
黒・・・・・・反応・・・なし。
透明・・・・・・・・反・・・応なし。
白も反応はない。
ここで一つの考えが浮かぶ。
残るは虹色。俺は選ばれここに来た。
いわゆる主人公の立場だ。
ここで反応するはずだ、と。
恐る恐る手を伸ばす。
そして、握る。
反・応・なっし!!
「お疲れっした!」
どうやら前途多難らしい。