9 旅立ち
救護室から出て外を見てみる。
「ん? ここは地下?」
辺りを見渡すと薄暗い空間が広がっている。
上も下も木の幹?枝?とにかく木で覆われている。
その木のわずかな隙間から生えている植物が光を放っているためなんとか行動できるといった感じだ。
「南支部が一番防衛力が高い理由がわかったでしょ」
「ああ、それにとても綺麗だ」
天井にも光を放つ植物が生えていてそれはまるで星空のようだった。
エミリアと少しの間上を見上げていた。
「それで、いつここを出発するんだ?」
「そうね。準備が出来次第かしら」
「エミリア。私は準備万端だ」
サリーが大きな荷物を持ってやってきた。
「いやいや。そんなに持ってても邪魔でしょ!」
俺は突っ込まずにはいられなかった。
「そうか?数百日の着替えを持ってきたんだが。もちろんトランプも持ってきたぞ」
「トランプいらない!着替えもそんなにいらん!」
「そんな。じゃあせめてトラン……」
「いいから早く戻してこい!」
しぶしぶ顔をプクッと膨らませて引き返していった。
まず、この世界でトランプという言葉に出会えたことに衝撃を受けている。
そして、サリーの印象が初期と比べてかなり変わっているのに戸惑っている。
わくわくすると誰しもこうなるものなのだろうか。
俺が突っ込みを入れる立場になっていることにも多少心配要素がある。
「大丈夫なのか……」
戦闘は頼りになるがこの短い間でこの国から出たことがないことを知らされ。
一般常識に疎いということが発覚してしまうというね。
4人そろって外の世界初めまして。
「終わった……」
「まあ、大丈夫よ。頑張りましょ!」
俺はつくづく女は細かいことを考えないから楽しそうだなと思う。
若干、羨ましい。
「カズマ。準備できたよー」
マリアが後ろから呼ぶ。
「マリアはこのお人形さんだけ持ってく!」
「いいぞ」
マリア、まともでよかったよ。
「あ、サリー戻ってきたわよ」
「すまん、待たせたな」
サリーは戦闘用の鎧と背中に剣を担いでいる。
「やればできるじゃん」
「なにをだ?」
「うん。なんでもない」
俺は弓を持って、エミリアは腰に剣を付けて準備万端だ。
「カズマ、矢はないの?」
エミリアが首をかしげる。
「それが矢がないんだ。ナイトサーバントと戦った時もなんか光が集まってきて矢の形になってそれを放ったんだ」
「なるほど、それは生命の力だな」
サリーが説明を始める。
「あらゆる生物はエネルギーを持っている。それは植物も同じだ。恐らくその力でカズマは攻撃したのだろう」
「なるほど」
「旅をしながらその力を扱えるように訓練しないとな」
「うん……」
その通り。
ナイトサーバントととの戦闘はほぼ無意識だった。
あれはピンチだったから助かったものの次の戦闘で技を自発的に発動できなければ終わりだ。
考えただけで冷や汗が背中のつたった。
「とりあえず、出発しましょうか」
「こっからどうやって出るの?」
「ラビーを使うわ」
ラビーはすでにそこにいた。
俺らはラビーに乗る。
4体いたので一人一体だ。
「さあ、ラビー。お願い!」
その掛け声と同時に走り出した。
ほぼ垂直に立っている木に足を掛け、一気に駆け上がる。
天井が近づいてきているのに出口が見当たらない。
「エミリア!ぶつかるんじゃ……」
「心配しないで!マリアお願い!」
「開け!!」
マリアは天井に向かって手を伸ばし叫ぶ。
木の枝が少し移動して夜空が見えた。
ラビーは一気に踏み切る。
「引きはがされるぅぅぅぅぅ!!」
外に飛び出した。
勢いがありすぎてだいぶ高いところまで飛んでいる。
「さあ、旅の始まりよ!!」
エミリアが夜空に向かって叫ぶ。
「楽しんでいこう!」
俺もなんか楽しくなってきた。




