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爺さんと怪物少女  作者: あさしおやしお971号
騎士と呪いと花
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苦手なものでも

ソルベの求める花は見つからないままマイペースに日々を過ごすヘルムート達。

そんないつもの日にアルが少し不満げな顔をしていた。

その理由は食事にあるようで、どこか不機嫌だ。

苦手なものが出されているという事のようだが。


「姫様、今日も生野菜残してましたね」


「そういえばアルさんは生野菜が苦手なんでしたか」


「悪い?あの時から生野菜だけは苦手なのよ」


「食えないというわけではないみたいだがな」


アルは過去に玉ねぎを間違って生で食べて以来生野菜が苦手になったそうな。


そのせいなのかこっちでも生野菜は基本的に残しているようで。


「アルさんは生野菜とねばねば以外は特に好き嫌いなく食べるんですけどね」


「なんだ?好き嫌いの話をしているのか?」


「あ、ソルベさん、ええ、姫様は過去のトラウマで生野菜が苦手なんです」


「生野菜なんて美味しいの?いまいち理解出来ないのよね」


「野菜の栄養素は調理法によって簡単に壊れたりもするからな、難しいもんだぞ?」


アルは別に食べられないというわけではない。

ただ生野菜を美味しいと思わないのは確かなようである。


確かに生野菜はほとんどが水分だったり、味が薄かったりする。

栄養素もピンからキリまでなのもあるとは思うが。


「そういえば私の国では苦手なものは気づかなくして食べさせるという方法がありますね」


「それって凄く細かくしたりとかするって事でいいんですよね?」


「別に苦手なものを無理に食わせなくてもいいだろう、もっと嫌いになるぞ」


「簡単に言うと野菜はお菓子に混ぜたりとかそういう事なんだがな」


「それで食べられるものなの?特に子供は凄く敏感なのに」


洵が言うには子供が嫌いなものの筆頭である人参やピーマンなど。

それをお菓子にしたり気づかないぐらい細かくしたりするそうな。


それで気づかずに食べるケースもあれば、感づかれるケースもあるという。

一度食べれば食べられるようになる事もあるので、諸刃の剣的な手段ではある。


「人参ゼリーとかキャロットケーキは意外と食べてくれるんですけどね」


「なるほど、確かにそれなら食べられそうです」


「でもそれは加工したものを好きになるのであって、そのものを好きになってないわよね?」


「結局は美味しいと思わせる手段という事に過ぎんな、結果として克服出来たりもする」


「だがどうしても克服出来ないものもあるだろう、僕も生のトマトだけは無理だぞ」


ソルベは生のトマトだけは克服しようとしたが、どうしても受け付けなかったらしい。

そういう事もあるので、やはり手段としては諸刃の剣なのかもしれない。


「大人になれば味覚が変化して食べられるようになるものもあるんですよね」


「それでも無理なものは無理っていう食べ物もある、ですね」


「私としては生野菜とねばねば以外は苦手な食べ物はないわよ、魚も食べられるし」


「アルの苦手なものは生野菜とねばねばなのか、オクラとか無理なんだな」


「好き嫌いに関してはよほど偏食でもないなら無理に食わせなくてもいいと思うがな」


ヘルムートの言う事にも一理ある。

よほど酷い偏食でもないのなら、多少の好き嫌いぐらいは目を瞑っていいと。


「アルさんは生野菜とねばねば以外なら一通り食べますし、無理強いはしませんよ」


「そうですね、王族としてとか関係なく好き嫌いはあっていいです」


「でも出されても食べないわよ?代わりにヘルムートが食べて」


「おい、全く、仕方ない奴だな、本当に」


「好き嫌いの問題は人の永遠の課題かもしれんな、こればかりは」


好き嫌いは誰にでもあるものだ。

好き嫌いがない人の方が基本的には珍しいと思っていい。


人にはどうしても無理な食べ物があるものなのだから。

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