受け入れるという事
ソルベの探す花は相変わらず見つからないが、マイペースなヘルムート達。
そんな今日も木花は外出しているようで、腹が鳴る昼頃。
仕方ないので今日もヘルムート達が食事を作る事に。
男飯にも意外と好感触なアル達も楽しみにしているようだ。
「ねぇ、お腹空いたんだけど」
「そういえば今日は木花は出ているのか」
「仕方ないですね、我々で何か作るとしますか」
「ガッツリしたものを所望する」
ソルベの注文もあるわけだが、とりあえず最近は暑いのでスタミナのつきそうなものを。
とりあえず冷蔵庫を適当に覗いてみる。
「何があった？」
「あったのは生麺の中華麺と焼肉のタレ、あとは野菜が少しか」
「それとフリーズドライの中華スープですね、これで出来るとは思います」
「まさか焼肉のタレで焼きそばを作るつもり？」
「あっ、お昼ですか？今日はヘルムートさん達が作るんですね」
ベリンダも戻ってきたので、とりあえず待っててもらう事に。
今回は焼肉のタレで炒めた焼きそばにする事にした。
ソース焼きそばや塩焼きそばとはいかないが、不味くなる事はないと思う。
焼肉のタレもめんつゆと並ぶ万能調味料なので、平気だとは思う。
とりあえず調理に取りかかる。
中華麺はフライパンに水を引いて茹でながら炒める。
水がなくなったら焼肉のタレをかけてさらに炒め、そこに刻んだ野菜をぶち込む。
あとは麺と野菜にしっかり火が通るまで炒めたら完成だ。
フリーズドライの中華スープも沸かしたお湯で戻す。
意外とあっという間に焼肉のタレで味付けしたスタミナ焼きそばが出来上がる。
「ほら、出来たぞ、スタミナ焼きそばだ」
「確かにいい匂いだし、不味くはなさそうね」
「あと中華スープもありますよ」
「最近は暑いですし、こういうのもいいですね」
「ではいただくとするか」
そんなわけで食事を始める。
その中で東の国の話が出る。
「ねえ、東の国って和の国って言われてるのになんで洋食とかあるの？」
「それは気になっていたな、まあ鎖国しているわけでもないんだろうが」
「東の国は他国の文化をなんでも受け入れて、それを自国に合うように魔改造してますから」
「お前達の好きなオムライスとかナポリタンは東の国で生まれた料理だぞ」
「そうなのか？つまり東の国で生まれた洋食という事か」
東の国には複雑な事情があると洵は言う。
だからこそあらゆるものが生まれているのだとも言う。
「でも東の国ってそんななんでもあるのに意外と地味な気もするわね」
「東の国が得意とするのは発明ではなく発展なんですよ」
「既存のものをよりよくする事にかけては東の国はそれこそ天才的な国だからな」
「そういえば確かに東の国で発明されたものはあまり聞かないな」
「確かに…世の中の便利なものを発明したのはほとんどは西の国ですね」
受け入れるとはそういう事だとヘルムートは言う。
今あるものをよりよくする事を得意とするのが東の国だ。
あらゆる文化を受け入れてそれを魔改造しまくっているのが東の国だと洵は言う。
他国のものを自分の国に合うように作り変えているのが東の国なのだ。
発明に関してはあるにはあるが弱いのが東の国だそうな。
その一方で改良や改善などに関しては東の国が大体をやってのけているとか。
「要するに東の国は既存のものをグレードアップするのが得意なのか」
「そんなところだな、機械類の小型化なんかは東の国がやっている事も多い」
「国によって得意分野がある、なんか面白い話ですね」
「料理でも技術でもなんでもやっちゃいますからね」
「文化を受け入れて魔改造するとか逞しすぎるわね、恐るべし」
そんな話をしつつ焼きそばとスープを完食する。
意外と美味しかったようで、綺麗さっぱりだ。
「面白い話が聞けてよかったな」
「少し誇張してはいるけどな、大体は間違ってないんだが」
「それでも面白かったです、また何か聞かせてくださいね」
「ええ、それではお皿を洗ってしまいますか」
「東の国って逞しすぎるわね、国民性なのかしら」
それからしばらくして木花がお土産にアイスを買って帰ってくる。
アルやソルベの東の国への関心は深まるばかりのようだ。
男飯もすっかり気に入った様子のお昼時だった。
