表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
爺さんと怪物少女  作者: あさしおやしお971号
騎士と呪いと花
93/140

難解なパズル

ソルベの探す花を探し始めてしばらく。

相変わらずそんなものは見つからないままである。

そんな中今日も変わらぬ日々を過ごしていた。

そして洵の知り合いから面白いものが届いたのだが。


「これは面白いものを」


「洵?今度は何が届いたのよ」


「なんだ?この木片は?」


「ほう、こいつはまた面白いものを送ってきたな」


今回送ってきたものはどうやらパズルのようだ。


洵やヘルムートは知っているようだが。


「それでこの木片はなんなのよ」


「これは木片ではなくれっきとした工芸品ですよ」


「これがか?どう見ても木片にしか見えん」


「何をしているのかしら」


「む?メアか、今日は帰ってきたんだな」


洵が言う工芸品。

それは東の国の旅館などによく置いてあるものらしい。


一応説明をする事にした。

アル達もそれを理解したようだが。


「つまりこれはパズルなのね」


「そうですよ、ここに完成形の描かれた紙があります」


「これを組み合わせてこの完成形にしろという事だな、面白い、やらせてみろ」


「こいつは見た目以上に難易度が高くてな、甘く見るなよ」


「組み合わせるだけなのに?」


とりあえずソルベが挑戦してみる事に。

その結果はというと。


「む?おかしいな、確かに絵の通りに組んだつもりなんだが…」


「だから言ったでしょう、これは見た目よりも難解なんですよ」


「そんな事あるの?今度は私にやらせてみなさい」


「これはまさに知恵だな、完成形が分かってるからこそ逆に出来ないんだ」


「逆転の発想という事ね、考えられているわ」


次はアルが挑戦してみる事になった。

その結果はどうなったか。


「あれ?変だわ、絵の通りに組んだはずなのに…なんで完成しないの?」


「これは逆転の発想なんですよ、完成形を最初に見せているからこそ出来ないんです」


「不良品じゃないのか?確かに絵の通りに組んだんだぞ?」


「なら私にやらせて」


「メアも挑戦してみるか、いいぞ、やってみろ」


次はメアが挑戦してみる事になった。

その結果がどうなったかというと。


「出来たわよ、これでいいのよね?」


「ほう、メアさんは出来てしまいますか、これはこれは」


「嘘でしょ、だって私もソルベもきちんと絵の通りに組んだはずなのに」


「これは視覚のトリックだな、完成形が最初からあるから出来ると思い込むんだ」


「そうか、分かっててもなぜか出来ないとはこの事か」


分かっててもなぜか出来ない。

このパズルはそんな思考のスパイラルに陥れてくる。


完成形は最初から示されているのだ。

つまり絵の通りに組むだけだろうと高を括る。


それなのに実際にやってみると簡単には出来ない不思議。

そんな人の心や思考を逆手に取っているのだろうと思う。


「むぅ、納得出来ないわよ」


「これが心理的なトリックなんですよ」


「完成形は最初から分かってる、つまり簡単だと思ってしまうんだろう」


「でも実際にやってみたらなぜか絵の通りにならない、そういう人の心理ね」


「そこまで考えて作ってるかは知らんがな、だが確実に人の心はそう判断する」


このパズルを考えた人は結構な人なのだろう。

簡単と思わせてなぜか出来ない不思議なパズルなのだから。


「もう一度やらせなさい!絶対に完成させてやるわ!」


「僕もだ、このまま引き下がれるか!」


「ふふ、簡単には壊れませんから好きなだけどうぞ」


「この二人が負けず嫌いなの忘れてたわね」


「やれやれ、飯はきちんと食べるんだぞ」


そうしてアルとソルベはそのパズルにハマってしまった。

完成形が最初からあるからこそハマってしまう思考。


パズルの意外な面白さでもある。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ