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爺さんと怪物少女  作者: あさしおやしお971号
騎士と呪いと花
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東の国の野菜

ソルベの探す花は未だに見つからないものの、マイペースな日々が続く。

そんな中今日も木花は用事で外に出ている様子。

メアも相変わらず役所の図書室に出かけているのか留守だ。

そして昼時、家に残った者達のお腹が鳴る。


「ヘルムート、お腹空いた」


「そういえば昼時か、木花は出ているしワシ達で何か作るか」


「ですね、キッチンを見てみますか」


「ヘルムート達も料理が出来るのか?」


そんなわけでキッチンに移動する。


冷蔵庫や戸棚を物色して使えそうなものを探す。


「あったのは先日のご飯の冷凍と、東の国から送られてきた菜漬がいくつかか」


「なんか作ってよ」


「そういえば今日は木花さんは留守なんでしたか」


「ええ、なので何か作るのに使えそうなものを探していました」


「それで何か作れそうなのか?」


見つけたのはスープの素と冷凍ご飯と菜漬が数点。

ここはおにぎりでも握る事にした。


とりあえず冷凍ご飯をレンジで解凍する。

菜漬は洵が細かく刻んでおく。


「何を作るんですか?」


「野沢菜とか高菜なんかがありました、おにぎりにしようと思います」


「おにぎりねぇ、でも漬物をおにぎりにするの?」


「何を言うか、菜漬のおにぎりは美味しいんだぞ」


「なら期待しておく、さっさとしてくれ」


解凍したご飯に刻んだ野沢菜や高菜を混ぜ合わせる。

それをヘルムートが丁寧に握っていく。


一方洵はお湯を沸かし戸棚にあった中華スープの素からスープを作る。

中華スープは塩気のあるものによく合うのだ。


そうしているうちにおにぎりを握り終える。

洵のスープも出来たようで、今日も男飯である。


「出来たぞ、赤い皿が野沢菜で青い皿が高菜のおにぎりだ」


「高菜と野沢菜の違いがよく分からん」


「一応東の国では三大漬け菜とも言われているものなんですけどね」


「でも今回は二種類なのか」


「とにかく食べましょうよ」


そんなこんなでおにぎりと中華スープでお昼ご飯である。

それを食べた感想はというと。


「こいつは美味しいな、漬物の塩気があるから塩を使わなくてもおにぎりに塩気がある」


「混ぜ込みのおにぎりは東の国でもよくあるからな、この味はクセになるんだ」


「にしてもヘルムートって歳の割に塩気のあるものガンガン食べるわよね」


「健康食品で健康になれたら苦労しないというのがヘルムートさんの持論ですから」


「それはなんというのか、至極正論なのがなんとも」


その美味しさは伝わったのか、ソルベもどんどん食べていく。

アルとベリンダも美味しそうにそのおにぎりを食べている。


漬物は好みの分かれる味だが、菜漬は気に入ったようだ。

ヘルムートも漬物で特に好きなものは高菜などの菜漬だと言うぐらいである。


「ふぅ、この中華スープも美味しいな、まさかこんな美味しい漬物があったとは」


「菜漬は漬物が苦手な奴でもそれだけは食えると言われるようなものだからな」


「一応野菜でいいのよね?」


「ええ、そうですよ、野菜の仲間です」


「塩気でピリッとするんですけど、止まらなくなる味でした」


ベリンダもすっかり魅了されてしまったようだ。

元々ヘルムートが漬物屋を始めたのもそんな布教したいという理由である。


洵もこっちに越してからは東の国の食を布教していたりする。

それもあってかこの街では東の国の食がそこそこ浸透していたりする。


「なんにしても美味しかったわ、機会があったらまた作ってよね」


「機会があればな、野沢菜や高菜は流石にこの街だと手に入りにくいのもある」


「ふむ、混ぜ込みおにぎり、こういうシンプルなものも勉強だな」


「ソルベさんがすっかり料理好きに」


「では食器を片付けてしまいますか」


そんなお昼ご飯は好評に終わった。

菜漬の混ぜ込みおにぎりは実際ヘルムートの好物である。


漬物屋だからこそ美味しさも理解しているのだから。

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