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計画責任者来訪

都市計画の話が来てから数日。

ヘルムートの下に責任者が決まり今日にもそちらに行くとの連絡が入る。

どんな人が来るのか、期待はしていないがとりあえず待っていた。

そうして正午過ぎ、その責任者が姿を見せる。


「ここかしら、誰かいるー!」


「なんだ、騒々しい、ん?なんだ、お嬢さん、おつかいかな?」


「あんたがヘルムートね、連絡はもらってるでしょ?」


「…まさかあんたが計画の責任者か?冗談はよせ、それより何が欲しいんだ」


「嘘じゃないわよ!証拠にこいつを見なさいッ!」


鞄から取り出したのは確かに都市計画の責任者を示すもの。

そこにはフランソワ王国第四王女アルトリシアと書かれていた。


「王女様が直々に責任者って、あいつ何を考えて…」


「私は自分から立候補したのよ!どうせ王位継承権は低いしね」


「つまりどうせ王位なんか継げないから民のために仕事をしたい、とでも?」


「そういう事よ!」


「はぁ、確かにまともな人間とは言ったが、こいつはアクが強い奴だな」


まさかの第四王女直々の来訪である。


とはいえ本人はやる気満々だし、追い返すわけにもいかない。

民の事を思っているのは確かなようでもある。


どうせ変更を直訴しても無駄なのだろうと察したのか、それを受け入れる。


「それで?計画の内容とかきちんと把握してるんだろうな?」


「当たり前でしょ!これでも勉強は出来るのよ!」


「まあいい、それで計画の最中はうちに住むつもりなのか?」


「そうよ、悪い」


「やれやれ、布団あったか?」


なんにしても街の役場に出向いて話をする事にした。

そのまま役場に向かい今回の担当者にも話をする。


姫様は担当者に計画の詳細を伝える。

それに必要な追加の人員などは必要とあれば国から好きなだけ呼べるらしい。


それと拡張に伴い都市の一部の壁を取り壊す事も決まっている。


もちろん今使っている田畑などをそのままにしつつの拡張だ。

担当者に分からない事があればなんでも訊くようにと姫様は胸を張る。


そうして担当者との話もきちんとつけて計画は始まる事となる。


担当者はすぐに派遣された作業員などに指示を出し、街の拡張が始まった。


昼間は生活の邪魔にならないようにしつつも工事が進む事となる。


「お前、意外と口達者なんだな」


「当然よ、私はあのヘルムートに憧れて交渉術とか学んだのよ」


「…ワシか?」


「にしてもあの伝説の外交官も落ちぶれたもんねぇ」


「お前は国の内情を知っててそれを言ってるならとんだ皮肉屋だな」


国の内情、アルトリシアはそれを知っているのだろうか。

なんにしてもまさかこんな若い少女が自分を憧れと言うのは意外だった。


「それより喉乾いたんだけど、何か飲ませなさいよ」


「やれやれ、なら家に行くぞ、キンキンに冷えた麦茶がある」


「ケチか」


「やかましい、金は使ってなんぼだが使いすぎると破産するからな」


「はいはい、それと私の事は姫様じゃなくてアルと呼びなさい」


「分かった、なら家に帰るぞ、アル」


そうして家に帰る。

家に帰ったら冷蔵庫に入ったキンキンに冷えた麦茶をアルに飲ませる。


初めて飲む味なのか少し複雑な顔をしていた。


「この麦茶って苦くはないけど…」


「暑い時はこいつに限る、まあ水分補給ならスポーツドリンクの方がいいがな」


「おや、可愛いお嬢さんですね、もしかしてあなたが例の責任者ですか?」


「そうよ、アルって呼びなさい」


「かしこまりました、私は洵と申します」


「他の家族にも挨拶したいんだけど、待ってれば帰ってくるわよね」


そうしているうちに木花が買い物から帰ってくる。

どこで拾ったのか、メアも一緒だった。


アルは二人にも挨拶をして正式に家族となる。


そうしてひょんな事から新しい家族が一人増える事になってしまったのだった。

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