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西の国の騎士

王妃と話をつけた翌日。

ヘルムート達は家に帰るべく王都を発とうとしていた。

だが帰ろうとしていた時兵士から王妃がもう一度来て欲しいとの事を言われる。

話はついたはずだが、なんの用かと思い帰る前に王妃の下に向かう。


「母上、言われた通り来たわよ」


「ああ、待っていましたよ」


「今さら引き止めるとも思いませんが、何かありましたかな?」


「実はですね、ある人の事を頼みたいのですよ」


ある人の事を頼みたいという王妃のお願いらしい。


その人というのは誰なのか。


「その人というのはですね、あ、来たみたいです」


「フェルナンド王妃、僕になにか?」


「紹介しますね、西の国の知り合いの娘のソルベです」


「ソルベだ、それでなんなんだ」


「騎士かしら、それでこの人を頼みたいって事でいいの?」


どうやらこのソルベという女騎士を頼みたいという事らしい。

一応理由も聞いておくわけだが。


「実はですね、このソルベ殿は男になるための花を探しているそうなのです」


「は?意味が分からないんだけど」


「僕はとある呪いで女にされたんだ、それを解くための花を探しにきた」


「ずいぶんと突拍子もない話ですな、とはいえそれで国を動かすわけにもいかんか」


「というわけでして…国は動かせないので、ヘルムート殿に任せたく思いまして」


また無茶を押し付けられたような気がする。

というかヘルムートは国の外交官時代から結構無茶を押し付けられていた。


仕事柄なのかとも思うが断ったらそれはそれで怖いと思った。

仕方なく引き受ける事にしたようで。


「分かりました、なら彼女の事は任されようと思います」


「あぁ、それは助かります!ソルベ、あなたはこの人達に協力を仰ぎなさい」


「こんな老人と子供が役に立つものなのか」


「ムッ、仮にも王女なんだから甘く見ないでよね」


「では任せますね、やはりヘルムートは頼りになりますね」


なんか王妃が凄く嬉しそうなのには触れないでおく。

厄介払いをされたのか、押し付けられたのか。


とりあえずソルベを連れて城を出る。

そこで改めて話を聞く。


「それでその呪いってなんなんだ?そもそも女にされたって意味が分からんぞ」


「僕も詳しくは分からない、でも僕の姉上がそう言っていた」


「すっごく胡散臭い話ね、まあ面白そうだから付き合うけども」


「王都にはそれなりの呪術師の経営する店もあるが」


「僕としては焦らずともゆっくり探したいと思っているが」


ソルベはなんだかんだでマイペースなようだ。

その呪いを解く花というのも聞いた事すらない。


帰って木花辺りに訊いてみるのがいいのか。

流石に洵が知っているとも思えない。


ベリンダやメアも知っているとも思えないし、どうするべきか。

とりあえずは王都で情報を集めてから帰る事にする。


「それでどうする?城の書物庫でも調べてみるか?」


「それとも呪術師の人に話を聞く?」


「むぅ、僕はどっちでもいいぞ」


「…駄目だな、こいつは」


「もういいから家に帰りましょうよ、どうせすぐに見つかるものでもないでしょ?」


焦っても仕方ないという事になりソルベを連れて家に帰る事にした。

それにしても女にされた呪いやら男に戻るやら突拍子もない。


ヘルムート達はそのまま帰路につく、だがそれに笑みを浮かべる者がいるのを今は知らない。

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