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アルの親

今日も今日とていつものように暮らすヘルムート達。

アルもすっかりこの家に居着いてしまっていて解放感を満喫している。

そんな中一通の手紙が届く。

その差し出し主はというと…。


「アル、お前宛に手紙が来とるぞ」


「私宛に?見せてくれる」


「アルに手紙なんて誰からかしら」


「姫様、何かやらかしたんですか?」


その手紙の差し出し主はどうやら王妃からのようだ。


アルの親も親なりに心配しているのだろう。


「母上ったら、今さらなんのつもりなのかしらね」


「王妃からか?帰ってこいとでも書いてあったか?」


「おや、手紙ですか?アルさん」


「アルのお母さんからみたいよ」


「王妃様が手紙をよこすなんて珍しいですね」


とはいえアルも不機嫌そうな顔をしている。

確かにアルは第四子であるので王位の継承権は低い。


上に王子が三人でアルは王女としては第一王女ではある。

だが第四子という事もあり国を継ぐ事はまずないのだが。


「それでなんて書いてあったんだ」


「たまには顔を見せられないかって、私も別に親が嫌いってわけじゃないのよ」


「そういえばしばらく帰ってないんでしたっけ」


「気持ちは分かるけど、たまには帰ってあげたらいいのよ」


「でも姫様も無理矢理連れ戻されないかって警戒してるんでしょうか」


別に無理矢理連れ戻すような事はしないと思いたい。

とはいえアルもそれを警戒してるのは明らかだ。


そもそもこの街の開発事業の際の責任者としてやってきたのが発端である。

その時からどうせ国には居場所はないと言っていた。


「だが親も心配しているんだろう?それともワシから説明するか?」


「ヘルムートさんは確かに国の元外交官ですけど、簡単に会えるものでしょうか」


「アルに頼めば会えるんじゃないかしら」


「うーん、父上ならともかく母上は結構お固いのよ?」


「確かに王妃様は国王陛下に比べて厳しいのは私も知っていますけど」


なんにしてもそんなアルの胸中はヘルムートも察していた。

アル自身も本人から伝えているとはいえこういう事もあるのだ。


やはり直接言いにいった方がいいのだろうか。

ヘルムートも少し考えて改めて言う。


「仕方ないな、アルの事を説明するしかなかろう、一緒に行ってやる、行くぞ」


「は?今から行くの?本気?」


「こういう時のヘルムートさんは頑固ですからね、諦めた方がいいですよ」


「そうね、あと熱くなるから気をつけなさい」


「私も一緒に…」


ヘルムートはベリンダにはここで待っているように伝える。

何かあった時のための保険として残していくのだという。


ベリンダもそれを受け入れ留守番をする事となった。

念のため追跡機能のついた端末を渡しておく。


そしてアルも仕方なく説明しにいく事となった。

街の近くの航空便のターミナルへ移動しそのまま王都へと向かう。


「ヘルムート、あんたも馬鹿な人よね」


「心配の種は取り除くに限るだろ」


「でも私は嫌いじゃないわ、上手くいくとも思えないけどね」


「年寄りをなめるな、これでも国王陛下と大して歳の差はないぞ」


「頼りにしてるわよ、ヘルムート」


そうして飛空艇は王都に向かって進んでいく。

ヘルムートの説得は上手くいくものなのか。


アルもヘルムートを頼りにしつつ心では心拍数が上がっていたのだった。

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