野菜を使う
今日もいつものように変わらぬ日々を送るヘルムート達。
そんな中木花がたまにはという事でお菓子を作ってきた。
それは普通のものではなく、少し変わり種のお菓子。
その味はどうなのかというと。
「焼けましたよ」
「いい匂いだな、パウンドケーキか？」
「確かにいい匂いね、早く食べましょ」
「姫様は食い意地が張ってますね」
そんなわけでそのパウンドケーキを切り分ける。
ちなみにそのケーキはなんのケーキなのかというと。
「おや、いい匂いがするかと思えばパウンドケーキですか」
「洵さんも食べますか？」
「洵も食べましょ、そこに座りなさい」
「仮にも姫なんだな、こいつは」
「まあ、少し上からな態度になるのは仕方ないですよね」
とりあえず洵も一緒に食べる事に。
そのケーキがなんのケーキなのかという事に改めて触れる事に
「美味しいわね、甘くて、でもなんなのかしら、不思議な味だわ」
「どこかオレンジっぽい色ですね、ですが匂いはオレンジなどではないですし」
「あの、これなんのケーキなんですか？」
「確かにになるな、何を使った？」
「その正体はですね、人参なんですよ」
木花が作ったこのケーキは人参のケーキなのだという。
だが人参らしい味はそこまで感じられない。
アルも少々疑っている。
だがベリンダは着色されている色から確かにそれが人参だと理解していた。
「確かに人参なんですけど、お菓子に人参なんて珍しいですね」
「一応プロの料理人も作ったりはするとは聞くな、とはいえ野菜の甘味は意外と聞かん」
「そもそも野菜の甘味はどちらかといえば家庭料理ですからね」
「野菜の甘味で味が足りてしまうので砂糖なども少なくて済むんですよね」
「へぇ、面白いわね」
そんな人参のケーキをアルは美味しそうに完食してしまう。
ベリンダもそれは美味しそうに食べていた。
そして人参のケーキを完食したあと木花が次を持ってくるという。
キッチンから持ってきたのは赤い色のゼリーだった。
「次はこれですね、どうぞ」
「この色はトマトね！間違いないわ！」
「トマトのゼリーか、また美味そうなものを作るな」
「この赤い色が食欲をそそりますね」
「では食べましょう」
そんなわけで次はトマトのゼリーを食す事に。
トマトの味は残しつつも、きちんと甘さもついていてとても美味しい。
とはいえ野菜を甘味に使うというのは知ってはいたが、実際に食べたのははじめて。
アルとベリンダはその味を新鮮な顔で食べていた。
「美味しかったです、また勉強になりました」
「次はほうれん草のケーキとかかぼちゃのプリンとか作りますか」
「あら、いいわね、かぼちゃのプリンとかは定番だし」
「野菜も甘味にしちまう辺り考える奴は大したもんだな」
「ですね、野菜嫌いな人に食べさせるにはいいかもしれません」
野菜嫌いに食べさせる。
洵もサラッといい事を言うものだ。
野菜嫌いに人参のケーキを何も教えずに食べさせたりという事だ。
気づかずに食べる事は結構あるらしいとも洵は言う
「うちには野菜嫌いはいないから平気ね！」
「アルは生野菜が駄目だろ、まあ食えないわけじゃないからいいのか？」
「どうなのでしょうね、そこは」
「難しい線引ですね、野菜は食べられますが生は駄目というのも」
「食べられるならいいのでは？」
そんなこんなで人参のケーキとトマトのゼリーを美味しくいただいた。
ベリンダがあとからそのレシピを聞いていたらしい。
次も機会があれば作ってくれるとの事である。
