メアの食事
いつものように何も変わりなく日々を過ごすヘルムート達。
そんな中アル達は少し疑問に思っている事があった。
それはメアの事でもあるのだが。
オレンジというか柑橘しか食べていないメアの事である。
「ねえ、メアってオレンジとかみかん以外に何か食べないの?」
「食べないわ、それが好きだから」
「ワシも食わせようともしたんだがな、本人が食おうとしないんだ」
「健康的には大丈夫なんでしょうか?」
アルとベリンダも今さらながらそれは気にしていた。
普段からオレンジやみかんなどしか食べないメアの食生活の事について。
「とはいえ今のところ風邪を引く様子もないし、健康的に問題もないしな」
「おや、何を話しているのですか」
「あら、洵、メアの事について少しね」
「私は別に平気よ」
「そう言われましても…」
それでも気になるものは気になるので。
洵もそれは確かに気になっていた。
オレンジが好きでみかんなども一応は食べる。
あとはオレンジパイなどは一応食べるが、普通の食事には手を付けない。
それだけで健康的に問題はないのかと。
もしかしてタマのおかげで健康体でいられるのかとも。
「メアは体調的には今のところ健康体そのものなんだが」
「そんな不健康な事もないもの」
「でも元孤児なのよね?その時の関係かしら」
「どうなのでしょうね、私にはそこはなんとも」
「受け付けないとかそういう事なんでしょうか」
ベリンダも過去に何度か食べさせようとした事はある。
だが本人が食べようとしないし、無理矢理食べさせるわけにもいかない。
そういう事もあってなのか結局食べさせる事については断念している。
それでも健康体なのは何か秘密でもあるのか。
アルとベリンダは気になって仕方ないようだ。
とはいえ無理矢理何かしてしまうのは流石に悪いので何もしていないのだが。
「うーん、メアってどうなってるのかしら」
「ワシらには分からん何かでもあるのかもしれんな」
「心配してくれるのは嬉しいけど、私は平気だから心配しないでいいわよ」
「とは言われても普段からオレンジやみかんしか食べていないのを見ていますからね」
「流石に心配にもなりますよね、凄い少食とかそういうのでしょうか」
少食なのでオレンジで満足してしまうという説。
大食いにも見えないので食は細いのだろうとはベリンダは思っている。
寧ろアルがよく食べるので、それとどうしても比較してしまうのだが。
アルとそこまで歳の差もないはずだが、食べる量が全然違う事も不思議に思える。
メア本人は平気だと言っているし、実際平気だ。
これ以上は深入りしない方がいいのかとも考えるが。
「本人が平気だと言うなら平気なんだろう、ワシはそういう事にしてる」
「ヘルムートは意外と放任主義なのかしら」
「ヘルムートさんは言うところは言いますよ、ただ力で抑圧しないだけです」
「ヘルムートも父親というよりお爺ちゃんだし、分からなくはないわね」
「年齢的に娘じゃなくて孫ですからね、とりあえずこの話はお開きにしましょうか」
ヘルムートの子育ても何かと苦労はありそうではあった。
そりゃ独身の爺さんに子育ては手探りでもある。
とはいえメアもアルもベリンダも手のかかる子ほど可愛いものではあるだろう。