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年末の街

クリスマスも終わり年末になった街。

ヘルムート達はいつものように何事もなく暮らしていた。

冒険者達は護衛の仕事で忙しく出入りをしている。

とはいえヘルムート達は特になにもないのだが。


「ふぅ、すっかり年末ムードだな」


「お正月はこのお店も休みですね、ゆっくりしますか」


「お正月の料理は私や洵さんに任せてもらえれば」


「そういえばお蕎麦とかおせちでしたっけ?とか」


年末年始はそういった東の国流のお正月を過ごす。


洵が蕎麦を打ってくれるし、木花がおせちを作ってくれるのだ。


「なんにしても蕎麦粉とかは確保していますよね?」


「問題ありませんよ、きちんと確保しています」


「何話してるのよ」


「あ、姫様、年末年始の事ですよ」


「お前もどうせ国には帰らんのだろう、ならここでゆっくりしろ」


そんなお正月の予定は特になくゆっくりする予定だ。

西の国なので神社があるというわけでもないので。


そのため料理だけでも東の国のものを堪能する事にしている。

アルとベリンダもそれを楽しみにしているようで。


「あとはお餅ですかね、お雑煮とかお汁粉とかありますが」


「とりあえず雑煮で食ってそれからお汁粉でいいだろう」


「お雑煮ってどんな料理なの?」


「簡単な野菜などとお餅を醤油ベースのスープで煮た料理ですね」


「なんかシンプルなんですね」


お正月の料理は元々休む事を目的としたものも多い。

おせちが保存食なのも休みの間に腐らないためだからだ。


お雑煮がそこまで大きな手間がかからないのもそんなところだろう。

お正月は休むものという事からそういう感じになっていると。


「でもお雑煮はシンプルですが美味しいですよ」


「汁粉は小豆と餅を煮た甘い汁物だからな」


「へぇ、お汁粉は美味しそうね」


「お汁粉は多少しょっぱいですが、それが甘さと合わさって美味しいのですよ」


「甘いのにしょっぱいんですか?」


東の国の甘味は砂糖をとにかくたくさん使う事が特徴だ。

それと甘さの中に塩気のある味の甘味も意外とある。


お汁粉もそんな甘くもどこかしょっぱい料理だ。

そんな不思議な味にアルとベリンダも興味はあるようだ。


「お蕎麦は麺は冷たくしてつゆは温かくすればよろしいですか?」


「構わんぞ、ワシはそれでいい」


「冷たい麺と温かいつゆってそれ食べてるうちにつゆが冷たくなるわよね」


「なのでつゆは多めに作るんですよ、それで冷たくなったら新しくするんです」


「それも東の国の食べ方なんですね、興味深いです」


冷たい麺と温かいつゆの蕎麦。

それは東の国の独特の食べ方でもある。


茹でた蕎麦を水で締めて温かいつゆに浸して食べる。

ざる蕎麦などと似ているが食べ方がそもそも違う。


そういう食べ方があるのも東の国の文化なのだろう。

郷土の味とでもいうべき食べ方なのだろうか。


「予定は大体決まりでいいな、あとは大晦日の大掃除もな、お前らもやるんだぞ」


「分かってるわよ、一年の汚れは払わないとね」


「途中から来たとはいえ掃除は必要ですからね」


「大晦日は忙しくなりますね、体は大切に」


「私もきちんと掃除しないと、年末年始は忙しくなりそうですね」


そうして年末年始の予定も大体は決まった。

街は冒険者達の出入りも活発になり、意外と賑わう。


今年も残り少し、ヘルムート達もそんな年の瀬を過ごすのである。

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