間もなく年末
冬も真っ盛りのいつもの日。
ヘルムート達は何事もなくいつものように暮らしていた。
そんな中ヘルムート達も年末に向けて準備を始める。
ここは西の国だが、東の国流でやっているのがヘルムート流である。
「もう今年も残り少なくなったな」
「そうですね、年末年始はゴロゴロするのでしょう」
「とはいえ東の国流でやるのも楽しいですよね」
「何よ、この家って東の国流の新年なの?」
アルも東の国の文化には興味は示している。
とりあえず用意するものを整理する事に。
「とりあえずはお蕎麦ですかね、それは洵さんに打ってもらえばいいかと」
「ええ、そちらはお任せを、おせち料理は木花さんに任せますよ」
「あれ?何か相談事ですか?」
「あら、ベリンダ、年末年始の事を話してたのよ」
「東の国流でやるからな、ベリンダもそっちは新鮮だろう」
確かにベリンダもアルもそれは新鮮だろうとは思う。
料理なども東の国の正月に合わせて作るのだ。
年越しそばやおせち料理、あとは洵の関係者から送られてきた餅など。
とはいえ正月も三ヶ日なのでそんな長くはないのだが。
「お餅は以前送られてきた切り餅があるので、それでお汁粉お雑煮焼き餅ですかね」
「オモチ?なにかしらそれ」
「分かりやすく言うとお米を使った食べ物です、きな粉やあんこなどで食べます」
「ただ餅はきちんと噛み切って食べないと喉に詰まって死ぬから気をつけろ」
「喉に詰まって死ぬって、物騒ですね」
とはいえ餅の危険性は東の国の正月の恒例でもある。
洵曰く餅を喉に詰まらせて死ぬ老人が続出するらしい。
そんな事からサイレントアサシンなどというネタ的な言葉まで生まれている。
不謹慎ではあるが、餅は音なき暗殺者の異名があるらしい。
「実際お正月にお餅を喉に詰まらせ病院送りになる老人は多いですよ」
「そのままポックリというケースも珍しくない暗殺食品です」
「おっかないわね!」
「あれは噛み切って食べればそんな事にはまずならんのだがな、不思議なものだ」
「老人は歯の力とかが弱くなってるからでは…」
ベリンダの指摘もその通りではあるのだが。
なんにしてもお正月は年越しそばやおせち料理、餅など美味しいものは多い。
アルとベリンダもそんな東の国流の正月が楽しみな様子。
それともう一つ気になっている事があるようで。
「それよりクリスマスは?プレゼントよこせ」
「アルさんは強欲ですね」
「ははっ、でもアルさんらしいとは思いますよ」
「姫様は毎回のように欲しくもないものもらってましたからね…」
「そこは王族らしいな、悪い意味で微笑ましい」
そんなクリスマスも一応はやるようだ。
とはいえ大きなツリーを用意出来るわけでもないので、ミニチュアだが。
「一応やりますよ、七面鳥ぐらいは用意してあげますから」
「あとはケーキでしょうか、ローストビーフなんかも欲しいですね」
「プレゼント期待していいの?」
「そういえばアルは何歳なんだ?」
「姫様は15ですよ、あと私は14です」
思ったよりも若い事とその若さでその人格が形成されている事に少し驚く。
とはいえ意外と年相応な部分もあるようだ。
「なんにしてもクリスマスはやるさ、正月は東の国流でやるぞ」
「やった♪今年こそはまともなプレゼントもらうわよ」
「何をもらってたんですかね、アルさんは」
「王族ですし、意外なものかそれとも王族としてのものか」
「私も期待しちゃいますね」
そんなわけで年末年始のクリスマスやらお正月やらの相談は続く。
東の国流なので大掃除も当然やる事は今は言わない。
とはいえそんな年末年始はゆっくり出来そうである。