表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/140

先を読む

冬も本番になったいつもの日。

ヘルムート達は特に何事もなくいつも通りの日々を送っていた。

そんな中アルは洵に勝てるものとしてボードゲームを覚えていた。

今日も二人はそんなボードゲームで勝負をしているようで。


「私の勝ちね」


「はぁ、アルさんはお強いですね」


「アルもすっかり味をしめたな」


「姫様は洵さんに勝てないって散々言ってたから嬉しいんですよ」


とはいえ洵も将棋や囲碁だけでなくチェスもそれなりに強いのだ。


それのさらに上を行くのがアルなのかもしれない。


「ねえ、洵って私の手を読んでるでしょ」


「おや、バレていましたか?」


「洵は先が読めるのかしら」


「あ、メアさん、帰ったんですね」


「そもそも先を読むというのはボードゲームには必須スキルなんだが」


将棋やチェスは先を読む能力の高さが大切だ。

それこそ相手の手を読み的確にそれを潰せる事が強さに繋がる。


「言っておきますが、私は一応300手ぐらいなら先読み出来ますよ」


「300手!?洵ってそんな先まで読んでやってたの!?」


「つまりそれに勝ってる姫様はもっと強いんですね!流石は姫様です!」


「300手先だとどの程度の能力が必要なのかしら」


「アルは野生の勘でゲームをしてるのか?」


とはいえアルはそんな洵を負かしている。

それは紛れもない強さなのだが、どこか腑に落ちない。


洵が弱いわけでは決してないし、アルが強すぎるわけでもない。

アルは直感で相手の先を読めるのだろうか。


「だがな、東の国で将棋はスポーツだ、凄い奴になると1000手先が読めるとも言う」


「はぁ!?1000手先って人間の頭の限界越えてないそれ!」


「本当ですよ、ただそれをやるには時間が必要ですが」


「東の国のプロの将棋の人は頭どうなってるんですか…」


「でもアルも先を読んでるわよね、頭じゃなくて直感でしょ」


メアのその指摘はある意味的を射ている。

アルも無意識のうちに相手の先を読み相手の道を潰していっている。


それは紛れもない先読みなのだが、本人に自覚はなさそうだ。

やはりアルは本能的な能力に長けているのかもしれない。


「私がアルさんに負けるというのはアルさんが私の先を読んでいる証拠なのですがね」


「だとしたら姫様は理性ではなく本能的にそれを?」


「だと思うわよ、危険回避能力が高いんだと思うわ」


「うーん、でも確かに危険を察知しやすいとは思うのよね」


「アルは危険回避能力が元々高いとしか思えんな、それも本能的にだ」


アルの本能的な危険回避能力。

それはこのゲームでも見て取れた。


洵が考えて手を打つのに対しアルは手を打つのが早い。

それは難しく考えずに手を打っているという事だ。


そして相手の先を本能的に察知しそこに駒を打つ。

それに洵が見事にやられているものと思われる。


「なんにしてもアルは本能的な能力に長けていそうね」


「人を野生児みたいに言うな」


「ですがアルさんの行動パターンから見てもそれは思いますよ」


「やっぱり姫様は素晴らしいです!」


「やれやれ、とはいえ面白いデータが取れそうな話だな」


そんなアルと洵の違いを感じているヘルムートも目はあるようだ。

やはり人を見る目はあるという事なのだろう。


なお再戦した結果やはりアルが勝っているようだが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ