意外な強さ
特に何事もなく平和ないつもの日々。
ヘルムート達はそんな日々をいつものように過ごす。
そんな中暇潰しにボードゲームをやってた時の話。
アルの思わぬ強さを見る事になる。
「チェックメイトよ」
「む、ワシの負けか」
「流石は姫様です!」
「アルさんはお強いですね」
アルに勝負を持ちかけられてチェスをしていたわけだが、アルは意外と強い。
それは王族だからそういう事も嗜むという事なのか。
「ふふん、見たかしら」
「アルは仮にも王族という事だな、ワシもそれなりに強い自信はあったんだが」
「アルはこういうのに強いのね」
「それは姫様ですから」
「では今度は私とやってみますか?将棋なんかどうです?」
洵もその強さには少し興味があるのだろう。
自分の得意な将棋での勝負を申し込んできた。
「将棋って東の国のゲームよね、ルールを説明してくれたらやるわよ」
「分かりました、ではルールをお教えするので手合わせ願います」
「将棋ってどんなゲームなんですか?」
「チェスと似たようなものだ、チェスが強い奴は将棋も強いはずだぞ」
「そういうものなのね」
そうしてルール説明も終わり対局が始まる。
洵も将棋はそれなりに強いのでまずは様子見である。
だがアルはルールの飲み込みも早いのか、洵を押し始める。
洵もそれを見てその手に力が入り始める。
「いただき、洵も様子見なんかしないでかかってきなさいよ」
「はぁ、やはり強いとは思っていましたよ、では私も本気でいきますか」
「見てる限りだと駒の数が増えたチェスみたいですね」
「その認識は大体間違ってないな、洵が押されている辺りアルの強さが分かる」
「チェスが強いと将棋も強い、本当なのね」
そもそもの話チェスと将棋はルールが似ているのだ。
それならアルが強いのも必然になる。
「どんどん行くわよ」
「侮れませんね、やはりという事ですか」
「言っただろう?チェスが強いんだから将棋も強いんだ」
「本当にはじめてやったとは思えませんね、ルールが似ているからでしょうか」
「アルが洵をどんどん押しているわね」
そのまま対局は続き結果としてアルの圧勝になってしまった。
洵もそんなアルを見て王族の片鱗を見たようであった。
「でも面白かったわよ、また勝負しなさいよね」
「はぁ、流石にこの結果で再戦はきついものがありますよ」
「姫様は流石ですね、惚れ惚れしちゃいます」
「ベリンダは本当にアルが好きなんだな」
「なんか見てて面白いわね」
そんなアルのボードゲームの強さは王族としての嗜みなのだろう。
元々王族としての地位は低い方なので自然と強くなったとでも言うか。
だからこそそんなところにアルの知性が見受けられる。
こう見えてずっと頭がいいという事なのだろう。
「他には何かないのかしら」
「では囲碁で勝負しますか」
「洵も引き下がれんのだろうな、程々にしておけよ」
「姫様!勝ってくださいね!」
「本当に見ていて飽きないわね、ヘルムートも強いはずなのに」
そんな昼下がりの暇潰しのゲームから見えたアルの一面。
それは王族としての知性なのだとヘルムートは改めて思った。
なおその後囲碁でも洵が負けたのは言うまでもない。




