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アルの正義感

怪盗の話も聞かなくなった今日この頃。

ヘルムートはいつものように漬物を売っていた。

そんな中アルの事も少しは気にかけていた。

あの性格だからトラブルを起こさないかと少し心配なのだ。


「なあ、お前正義感は強い方だろ」


「なによ突然、まあ確かに曲がった事は嫌いだけど」


「アルさんは正義感は強いのですよね」


「姫様はそのせいで何かとトラブルも多いんですよ」


ベリンダもそんなアルには少々苦労しているらしい。


物怖じしない性格なのか曲がった事が嫌いらしい。


「なんというか、昔のワシを思い出すな、正義感が強かった若い日をな」


「あのヘルムートが正義感?本当なの?」


「ヘルムートは責任感が強いのよ、だから私を引き取ったの」


「メアさんってそういえば孤児だったんですよね」


「ヘルムートさんは真面目なんですよ、アルさんと同じようにね」


洵もヘルムートの性格は知っている。

だからこそその魅力に惹かれたのだと本人は言う。


とはいえ今は少し卑屈な性格のようだ。

だからこそアルに自分を重ねているのかもしれない。


「ワシも昔は曲がった事が嫌いでな、国の仕事もそんな感じだった」


「国を変えようとしたって言ってたものね」


「でも結局それは出来なかった、ですよね」


「ええ、国の腐敗は想像以上だったという事です」


「だけどそれをしようとしただけ立派だと思うわよ」


国の腐敗、それは表向きとは違う裏の一面。

ヘルムートの話では国王などの王族は意外と国の事を考えていたという。


問題はその下にある議会が特に酷かったらしい。

騎士団も仕事こそしているがトラブルをちょくちょく起こしていたとか。


「確かに兄上達は国をよくしたいって常々言っていたわね」


「アルさんは第四王女ですからね、あまり構ってもらえなかった事もあるのでしょう」


「でも上の兄君達は外遊とかも積極的にこなしてますから」


「ああ、少なくとも王族や貴族達が問題ではないんだ」


「つまり腐敗っていうのは議会の事でいいの?」


メアの指摘通り問題があるのは議会らしい。

ヘルムートもそんな議会が国の闇を象徴していると言う。


騎士団はトラブルこそ起こすものの仕事には実直な組織だ。

議会の連中が何かと無茶な事をよく言ってくる事が何かと大変なのだそうだ。


「だからアルを見てると昔を思い出すんだ、若い時はワシも青かったものだよ」


「ヘルムートさんの言葉を要約すると国の腐敗は議会で、他は意外とそうでもない…」


「そういう事ですね、この国は議会が何かと厄介なのですよ」


「そういえば確かに何かと違和感を覚える事をよく決定してたわね」


「それがヘルムートが変えようとしたものなのね」


ヘルムートは元外交官だ。

一人では無理だと最初から分かっていたとは本人も認めている。


だからこそ外交官の地位を利用して外国からも上手く国に向けて言葉を言わせていた。

国の信頼に関われば流石に効き目はあると考えたからだ。


「この国の議会は外国からも信頼されとらん、王族は別だがな」


「そこは兄上達に期待するしかないのかしら」


「そうね、ヘルムートがしようとした事はアルにも重なるもの」


「なのでその正義感は大切にしないといけませんよ」


「ヘルムートさんも国の内部を見たからこそ言える事、ですか」


ヘルムートが見たものとアルがしようとしている事。

それは議会との戦いという事でもある。


アルの兄達はそんな国をよくしてくれるのだろうか。

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