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こたつとは

騒動も聞かなくなりしばらく。

ヘルムート達はいつものように何事もなく暮らしていた。

そんな中以前洵に頼んでいたものがやっと届く。

それは東の国では悪魔の兵器ともネタにされるあれである。


「お、こたつが届いたな」


「はい、これで冬も乗り切れるかと思いますよ」


「これがこたつ?見た感じテーブルにしか見えないけど」


「あ、でもテーブルの下にヒーターみたいなのがついてますよ」


とりあえず準備を始める。


近くのコンセントにそれを繋ぎ上から薄い布団を被せて完成である。


「最近は冷えますからね、ただ使うのは夜だけにしてくださいよ」


「そういえば以前これが悪魔の兵器とか言ってたけどどういう意味よ」


「確かに気になるわね、これが人間を堕落させるの?」


「なんだ、メア、帰っていたのか」


「でもこれで人間が堕落するってよく分からないんですが」


アルやベリンダの疑問。

それに対しても一応答えてくれる。


「つまりは出たくなくなるという事ですよ、暖まるものですからね」


「つまりこれに入って温まると出たくなくなるから堕落させる?」


「そういう事だ、こいつを経験した人間の多くはそうなる」


「そんな馬鹿な話があるの?あくまでも暖房器具じゃないの」


「不思議な話ね」


とはいえそれで堕ちた人間を何人も洵は知っている。

東の国でこたつが悪魔の兵器とすら言われる所以である。


それは現地人だけでなく東の国にやってきた外国人すらも堕落させるという。

それにアルとベリンダも信じられなさそうな顔をする。


「経験してみれば分かるさ、最近は冷え始めたし本当に堕ちるぞ」


「私はそんな事にはならないわよ」


「私だってそんな簡単には堕ちないわ」


「ふふ、こたつの力には逆らえませんよ、誰もがこれの前には無力です」


「洵さんが凄く悪そうな顔してますね」


そんなこたつは夜になってから使う事に。

東の国の暖房器具にアルとベリンダも興味津々である。


人間を堕落させる悪魔の兵器、そんなネタにされるほどなのか。

アル達はそれに半信半疑である。


「でもテーブルと一体化してる暖房器具なんて考えたものね」


「足から温めるからな、それが全身に伝わるからとても暖まる」


「ヒーターよりも効くのかしら」


「ヒーターは部屋全体を暖めるものです、こたつは人体を温めるものですからね」


「つまりこのテーブルの下に足を突っ込んで温まるんですか」


こたつはその温度の伝わり方が悪魔の兵器と呼ばれる理由でもある。

ヒーターなら部屋全体なのでそこまでの力はない。


だがこたつは人体を直接温めるからこそ人を堕落させる。

洵の説明によるとヒーターより狭い範囲だからこそらしい。


「要するに人の体に対する熱の伝わり方の問題なの?」


「そういう事です、ただこれに入ったまま寝ると風邪を引きますよ」


「熱の伝わり方の関係ね」


「そうだ、実際東の国でこいつに入ったまま寝てしまい風邪を引く奴は多い」


「なんか悪魔の兵器って呼ばれる理由が分かった気がしますね」


そんな悪魔の兵器とネタにされるこたつ。

その日の夜に早速稼働しアル達を堕落させたのは言うまでもない。


こたつの力の前に人は無力なのであるとまたしても証明されてしまったのである。

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