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爺さんと怪物少女  作者: あさしおやしお971号
怪物との出会い
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新たな家族

孤児院を飛び出した少女を探していたヘルムート。

駆けつけた廃墟で見たものは人を喰らう怪物とその少女。

とりあえず保護だけはしようと彼女に呼びかける。

彼女はそれを意外とすんなり受け入れる。


「ほら、帰ろう、こっちに来るんだ」


「分かったわ」


思ったよりもあっさりで拍子抜けのヘルムート。

とりあえず彼女に名前を訊いてみる。


「お前、名前はなんていうんだ?」


「名前?メア、この子はタマ」


彼女のスカートからその手が伸びる。

勝手に名付けたようだが、タマというのはなんとも。


雨は上がったようなのでそのまま孤児院へと帰る。

喰われたシスターの事はなんて説明しようか。


「あぁ、無事だったんですね」


「ああ、それと折り入って頼みがあるんだが」


「頼み?なんでしょうか?」


「それより探しにいった他のシスターが見当たらないのですが…」


それについてもきちんと説明する。


シスター達は信じられないという顔でそれを見る。

だがヘルムートは確かに見たのだ、彼女の服から伸びる人を喰らう怪物を。


「あぁ…そんな…どうして…」


シスターの一人が泣き崩れる。

だが泣いたところで死者が蘇るわけでもない。


とりあえず中へ連れていってもらい話を続ける。


「それでな、この子をうちで引き取らせて欲しいんだ」


「本気ですか!?人を喰らう怪物を受け入れた人を引き取るなど危険では…」


「どうもワシにはなぜか懐いとる、なら引き取った方が孤児院にもいいだろう」


シスターは複雑そうな顔をする。

だがヘルムートは孤児院の恩人だ。


彼の意思を尊重しヘルムートにメアを任せる事にした。


「分かりました…では頼んでもよろしいでしょうか」


「もちろんだ、教育もしっかりしてやるさ」


「ならお任せします、ヘルムートさんの家で元気に暮らすのよ」


メアは言葉を発する事なく首だけ縦に振る。

怪物は姿を見せないようで誰でも喰らうというわけでもないようだ。


「それと持ってきたお菓子はみんなで食べてくれ、ではワシは帰ります」


「はい、彼女の事をどうか…」


「それと孤児院への訪問は今後も継続します、子供達には元気でいて欲しいからな」


「分かりました、その方が子供達も喜ぶでしょう」


「では失礼しました、ほら、行くぞ」


そうしてメアの手を取り家へと帰る。


家に帰ると洵と木花が待っていた。


「お帰りなさいませ、雨が降ったようですが無事のようですね」


「そちらの少女は?」


「彼女はメア、今日からうちの新しい家族になる」


メアは言葉を発する事なく二人に頭を下げる。


どうやら人を見る目はあるという事なのか。


「木花、彼女を風呂に入れてやれ、洵は部屋を確保しろ」


「承知しました、では参りましょう、メアさん」


「…うん」


「では私も適当な部屋を片付けてきますね」


そうしてメアを受け入れる準備をする事に。


その頃風呂場では木花も悪戦苦闘しているようで。


「ほら、脱いでください」


メアの服の中にその怪物は住む。

脱いでも平気なものなのかとはメアも思う。


その怪物は言葉を発する事なくメアに伝える。


それを理解したのかメアもなんとか服を脱いでくれた。

脱いだ服の中にその怪物が確認出来る。


木花も服を脱ぎ風呂場でメアを綺麗にしてやる事になった。


一方の洵も空き部屋の片付けを始めていた。


「ここなら使えそうですね」


「だな、まあほとんど物置だったから掃除も必要か」


そうして部屋の片付けをテキパキと進める。


なんとか部屋の片付けは終わりここがメアの部屋になる。


その日の夜メアに必要なものを買い揃える事を考えた。


とりあえず明日にでも王都へ向かい買い物をする事にした。


留守を洵に任せ明日は木花とメアと共に王都へと赴く事になる。


新たな家族を迎え入れた漬物屋はその怪物を制御出来るのだろうか。

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