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和菓子との出会い

怪盗騒動は落ち着いたようないつもの日々。

ヘルムートも騒動に巻き込まれるのはこりごりだと溜息をつく。

そんな特に何もないような日常を幸せと思う事もあった。

そしてこの日洵の知り合いからいいものが送られてきた。


「洵、この箱はなんだ」


「これですか?羊羹ですよ、あと栗もなかです」


「和菓子ですか、たまに送られてくるもののそんなに手に入りませんからね」


「和菓子ってなんですか?」


ベリンダはそういえば和菓子は初体験のようだ。


そこにアルも飛び入りしてくる。


「和菓子は日持ちしないからな、さっさと食ってしまうべきだろう」


「和菓子って何よ?美味しいの?」


「美味しいですよ、出来れば羊羹は冷やした方が美味しいのですが」


「そうなんですか?なら今はヨウカンは冷やしておいて栗もなかを…」


「では羊羹は冷やしておきますね、栗もなかは先にいただきますか」


そんなわけで羊羹は冷蔵庫へ一旦入れておく。

先に栗もなかを箱から取り出し各自食べる。


「ふむ、やはり洵の関係者だけあっていいものをよこすな」


「思ったより美味しいわね、これクリーム…じゃないわよね」


「これは栗餡ですよ、栗を甘く煮詰めて餡にしたものです」


「栗餡って事は餡は他にもあるんですか?」


「一般的には小豆という豆を甘く煮詰めて作るんですよ」


ベリンダはその説明にも興味津々である。

やはりお菓子屋を開きたいという夢があるからなのか。


もっと教えて欲しいと首を伸ばす。

その目はとてもキラキラしていた。


「ではそれはあとで個人的に指導するとしますね」


「はい、お願いします」


「…悔しいけど美味しいわ、東の国ってお菓子も美味しいのね」


「お前は本当に負けず嫌いだな」


「ははっ、可愛いと思いますよ」


アルも悔しそうにしながらも栗もなかを食べていた。

そして丁度いいかと羊羹を冷蔵庫から出してくる。


「羊羹もいい具合に冷えましたよ」


「そうか、思ったよりも早いな」


「それで羊羹ってどんなものなの?」


「これも豆を煮詰めて作るものですよ、芋羊羹というものもありますね」


「これは普通の羊羹なんですか?」


今回のは普通の水羊羹である。

季節的にはあれだが、それでも美味しいものだ。


「これは水羊羹ですね、とりあえず切り分けますから」


「茶色だわ、和菓子って茶色ばかりなの?」


「一応小豆という豆自体茶色いですからね、それから作るものが多いので」


「そうなんですね、でも甘い豆っていうのも新鮮です」


「夏に冷やしたこいつを食うと凄く美味いもんだ、今は夏ではないがな」


そうしているうちに羊羹が切り分けられる。

その味にアルとベリンダもご満悦の様子だった。


「美味しいです…和菓子ってこんな美味しいんですね」


「ただ砂糖の使用量がハンパないんだがな、上白糖を一袋とか当たり前に使うんだ」


「はぁ!?砂糖一袋って頭おかしいんじゃないの!」


「それは数を作る場合ですけどね、ただそれでも砂糖の使用量は洋菓子よりも多いかと」


「和菓子の砂糖の使用量は確かに凄いとは思いますよ」


アルとベリンダはそれに絶句していた。

美味しいのは認めるが砂糖の使用量が洋菓子よりも多いという事実。


とはいえそれは昔の話ではある。

近年は砂糖の使用量は減っているときちんと説明はする。


「そ、そうなんですか…でも砂糖の使用量が凄いんですね、和菓子って」


「たまに食うから美味いんだ、毎日食ってたら成人病一直線だぞ」


「恐ろしいわね…美味しさと引き換えに健康を捨ててるのか…」


「和菓子は見た目を楽しむものですよ、今度芸術的なものを用意します」


「食べるのがもったいないような芸術的なものもありますしね」


そんな美味しい和菓子に出会ってしまったアルとベリンダ。

だが規格外の砂糖の使用量には脱帽である。


それでもまた食べたいと言うので、洵に頼んでおく事になった。

すっかり東の国の食に染まりつつある二人なのであった。


この家で生活していると珍しい食べ物に出会えてウキウキなのである。

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