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西と東の剣

都市開発による街の開発が終わってから数日。

街には冒険者も増え活気に溢れていた。

アルは相変わらずこちらに住み着いている。

そんな中思わぬ火花が散る事となる。


「戻りましたよ」


「ああ、ご苦労だったな」


「洵って子供達に剣を教えてるのよね」


「はい、そうですよ」


洵は不定期で子供達相手に剣術道場をやっている。

子供達もそんな洵に懐いているようである。


「東の国の剣って強いの?」


「そうですね、一概には言えませんが、切れ味は鋭いですよ」


「ふーん、そういえば鉄も切れるって聞いたわね」


「それもあながち嘘ではないですけどね、実際に鎧の上から斬り捨てるとかあります」


「…どんな技術で作ってんのよ、その剣」


アルも東の剣には興味はあるようだ。

そもそも本人が高い水準での剣術を嗜んでいる。


それなら強い剣士とは戦ってみたくなるもの。

とはいえそれを見定める事からしてみる事にした。


「なら試しに剣術見せてよ」


「構いませんよ、では少し外に行きますか」


「アルの奴も負けず嫌いな一面があるからな」


「あれ?何してるんですか」


「ベリンダか、ならお前も来い」


そうして家の外へ移動する。

そこで洵が台の上に適当に缶の飲み物を配置する。


「あれ缶の飲み物よね、何するの?」


「なんかもったいないような…」


「まあ見ていろ、洵の剣はよく切れるぞ」


「では始めるとしますか、近すぎると風で切れますよ」


「へっ?」


そして洵が素早くその剣を振るう。

だが缶は切れていないように見える。


次の瞬間、並べた缶が次々に水平に切れ中の飲み物がこぼれる。

それを見たアルとベリンダは驚きを隠せなかった。


「す、凄い…見事に水平に切れてます」


「刀というのは切れ味に特化した刃物ですからね」


「…切れ目が凄く綺麗だわ」


「これが東の国の剣というものだ、刀はそれこそ世界一切れる刃物とすら言われる」


「せ、世界一切れる刃物!?」


ベリンダもその切れ味には驚くしかなかった。

それもそのはず、あまりに綺麗な切れ目に寸分の狂いもなかったからだ。


「わ、私だって負けないわよ!缶を置きなさい!」


「あまり無駄にするなよ」


「姫様に完全にチャッカマンしてますね」


「ではどうぞ」


「やってやるわ!」


とは言ったものの切れ味で洵に惨敗したアル。

剣術としての勝負は互角だが、切れ味では勝てる気がしなかった。


「なんであんな綺麗に切れるのよ!納得いかないんだけど!」


「だからそれは刃物の違いですからね」


「刃物の違いって大きいんですね」


「そもそも東の国の刃物の切れ味を甘く見すぎだ」


「ぐぬぬぬ…」


そんな中ベリンダが東の国の刃物について質問する。

それに対して洵が簡単に答えてくれる。


「東の国の刃物はそれこそ切れた事に気づかない程度には切れると言われていますよ」


「へっ?気づかないぐらいに切れる?」


「実際東の国の包丁で料理してて指を切った事に気づかなかったという話があるな」


「はぁ!?それおかしいでしょ!」


「本当にある話ですよ、それこそ指を切り落としても気づかないぐらい切れるそうです」


その言葉にアルとベリンダは絶句していた。


切った事に気づかないぐらい切れるというあまりにも恐ろしい話だからだ。


「東の国の刃物ってそんな切れるんですか…恐ろしいですね」


「鉄をバターのように切れるとすら言われますからね、もちろん大げさですが」


「大げさに聞こえないんたけど、怖いわよ」


「分かったか?西と東の剣の違いはそんなとこたぞ」


「どうやったらそんな切れる刃物が作れるのかしら、興味深いわ」


とはいえその切れ味には確かに二人とも驚いていた。

切れる刃物というのはそれだけ切れるものなのかと。


それによりアルの洵への対抗心にさらなる火をつける事となってしまったのだった。

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