表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
爺さんと怪物少女  作者: あさしおやしお971号
魔界の暗殺者
135/140

新年度の始まり

今日は新年度だがヘルムート達は特に変わりない様子。

とはいえ国の方でもいろいろと始まっているニュースは入ってくる。

アルやソルベも王族としての自覚は一応あるようで。

とはいえ継承権の低い王族にはそこまで縁もなかった様子。


「今日から新年度か、うちも今年も何かとあるといいがな」


「新年度ねぇ、王族は何かと忙しいけど」


「アルは新年度に何かしたりしていたのかしら」


「新年度だと王族は忙しそうですからね」


アルも一応王族ではある。


とはいえ継承権が低いとやはり優先されるものはあったようで。


「おい、桜餅が出来たぞ、ってなんだ、神妙な顔をして」


「そういえばソルベも王族だったわね」


「そうですね、ソルベさんは国での行事に参加したりはしたんですか?」


「一応王族だからそういうのも気になって」


「どうなんだ?そこは」


ソルベも本人が言うには過去に何度か出た事はあるらしい。

とはいえ継承権が低い事もあり、基本的にそういう役目は上の者達の役目だとか。


「一応新しい騎士達に祝辞を送ったりはした事はあるな、数回だが」


「やっぱりあるんですね、ソルベさん自身も騎士ですし」


「お姫様なのにらしくないわよね、ソルベって」


「それをお前が言うのか?」


「アルも人の事言えないと思うわよ」


メアの言う事も間違いではない。

確かにアルは姫らしくないところはある。


それはソルベの事は言えないとヘルムートも思っていた。

とはいえ椅子に座ってふんぞり返っている奴よりはマシだとも思っているが。


「それにしても騎士に祝辞ですか、そこはソルベさんらしいですね」


「あれは父上に無理矢理やらされたんだ、他にも適任者はいただろうに」


「ソルベってお姫様っていうより騎士だもの、騎士への祝辞なら適任じゃない」


「それはワシも思うな、芯は通っているし曲がった事が嫌いなところもな」


「だから適任だとソルベのお父さんも思ったんじゃないかしら」


とはいえ騎士としての振る舞いは身についている。

そもそも姫としての振る舞いよりも身についているぐらいだ。


そういうところがアルとのシンパシーなのだろう。

継承権が低いからこそある程度の自由があるのだとヘルムートは思っていた。


「でも騎士への祝辞なら立派な言葉を言えそうですよね」


「言葉はいいんだ、ただあの時緊張して目の前で転んだ騎士に胸を鷲掴みにされてな」


「それラッキースケベというより大事故じゃない、その新人騎士打首よね」


「周囲が凄い騒然としそうだな、そんな事が起こったら」


「普通に打首案件だし、よくて島流しよね、それ」


ソルベのそんな思い出。

ちなみにその騎士はソルベの計らいで処刑は免れたが、辺境に配属になったらしい。


王族への行為としての罪はこれでも可能な限り軽くしたという。

あの時の空気が凍りついた場面は今でも鮮明に覚えているらしい。


「ソルベって実は凄い人なのかしら、打首を回避させただけでも凄いのよね」


「普通そんな事があればそれこそ処刑だろうからな、辺境に配属は奇跡だぞ」


「王族への侮辱罪でしょうからね、普通の侮辱罪よりもずっと罪状が重いはずですし」


「僕としても相手が緊張してたのは伝わってたからな、だからそれで手打ちにした」


「器は大きいのかしら、でも法に則ったのならそれが最大限の減刑よね」


ソルベの国の法についてはよく分からない。

とはいえそれが最大限の減刑なのはソルベが言っている。


普通ならその場で処刑されている話らしい。

それだけあの空気が凍りついた場面は鮮明に覚えているとか。


「なんにしても新年度はそれが今でも覚えていてな」


「私も新年度だし何か出来ないかしらね」


「アルさんも一応王族ですからね」


「出来る事があるならやればいいさ」


「そうね、この街の役所への祝辞とか」


そんな新年度の思い出を語っていたアルとソルベ。

ソルベの思い出があまりにも鮮烈だったのには流石に驚いた様子だった。


緊張しすぎた新人騎士の末路でもある。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ