たい焼きを焼く
特に変わらないいつもの日々を送るヘルムート達。
そんな今日も変わらない日常を生きている。
そして東の国から何かが送られてきた様子。
それに対してアルやソルベは興味を示す。
「洵、そいつはなんだ」
「おや、東の国から送られてきたものです、たい焼き機みたいですよ」
「タイヤキ?何よそれ」
「見た感じお菓子か何かでしょうか」
たい焼き機、また面白いものを送ってきたものだ。
家庭用なのでそこまで大きくはないものの食べるには問題ない数が焼けそうだ。
「む?洵、そいつはなんだ?何かの調理器具か?」
「ソルベか、せっかくだし焼いてみないか?材料ぐらいあるだろ」
「焼くってここで?」
「そうですね、小麦粉はあると思いますしあとはあんこですか」
「それならソルベさんが買っておいたものがあると思いますよ」
とりあえずキッチンから生地に使うものを持ってくる。
あとはソルベが使うのに買っておいたつぶあんも拝借する事に。
「さて、こんなものですかね」
「そいつはなんなんだ?料理なら僕にもやらせろ」
「まずは洵にお手本を見せてもらいましょ」
「それがいいな、こういうのは洵に任せる方がいい」
「まずはお願いしますね」
そんなわけで洵が手際よくたい焼きを焼き始める。
ソルベもそれをよく見ていた。
丁寧に作り始めしばらくして最初のそれが焼き上がる。
こんがりと焼けた甘い匂いのたい焼きだ。
「出来ましたよ、とりあえずどうぞ」
「ええ、いただくわね」
「いただきます」
「それにしてもたい焼き機を送ってくるとは交友関係が広いな」
「これがたい焼きなのか?魚の形のワッフルみたいな感じだな」
アルとベリンダは美味しそうにそれを頬張る。
東の国の食べ物は二人はすっかりお気に入りの様子。
なおアルは頭から、ベリンダは尻尾から食べていた。
たい焼きをどこから食べるかはちょくちょく論争になる話題だ。
そのまま次のものを焼き始める。
そして焼き上がったものをヘルムートもいただく事に。
「うむ、やはりたい焼きはこうでないとな」
「美味いな、東の国の食べ物というのは相変わらず面白い」
「でも東の国って食べ物に煩いんでしょ?」
「以前そんな事を言ってましたよね」
「そうですね、少なくとも食へのこだわりは強いと思いますよ」
ソルベも美味しそうにそれを食べている。
洵もこういうのを手際よく作れる程度には料理は出来る。
とはいえプロというわけではないので、あくまでもこのレベル程度だ。
本格的な料理が作れるような腕は持ち合わせていない。
「たい焼きの中身はなんでもいいのか?」
「なんでも構いませんよ、実際カスタードやチョコのたい焼きもありますから」
「東の国ってそういうの得意よね、外国のものを自国流に変えちゃうの」
「だからこそ発展したのが東の国の文化だからな、食も芸術も技術もな」
「でも洵さんのおかげでこういう東の国の食べ物に触れられるのは嬉しいですよ」
ベリンダもお菓子作りが得意なので、東の国の食材は嬉しいらしい。
アップルパイなんかでも東の国のりんごを使うととても美味しく仕上がるとか。
「僕にも作らせてくれ」
「構いませんよ、そこまで難しくもないですし」
「ソルベはすっかり料理人よね」
「向上心と好奇心の塊だからな」
「なんでも覚えようとするのは凄いですし、それを覚えちゃうのも凄いですよね」
そんな話をしつつたい焼きを楽しむ一同。
ソルベもそんな東の国の食文化などを学ぼうと洵によく話を聞いている。
東の国は生み出す事よりも発展させる事を得意とする、洵はそう言っているのだから。