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街の完成

都市計画が始まってからしばらくが経過した。

街はほぼ完成し冒険者も多くが集まった。

新たに生まれ変わった街は賑わい始める。

そして第二の怪奇事件もすぐそこに迫っていた。


「街もいい具合に発展したな」


「そうね、ほぼ完成したし残りは細かい作業だけよ」


「ですね、この短期間での発展、職人の腕が分かりますよ」


「ふふん、私の手腕が分かったかしら」


そうしているうちに広場でも賑わいが出始める。

冒険者達が仕事などを請け負っているのだろう。


「ヘルムート」


「む?メアか」


「どうしたのよ」


「騒がしい」


「メアさんは騒がしいのは苦手でしたか?」


メアも騒がしいのは苦手というわけではない。

とはいえ人が突然増えた事に驚いているのだろうか。


「とりあえずもう少し見てくるわ」


「気をつけるんだぞ」


「あの子不思議な子よねぇ」


「ああいう子だからな」


「なんかねぇ」


そんな中街の中で少し揉め事が起こっていた。


その揉め事はというと。


「私の護衛が受けられないというのか!」


「そうは言っていねぇよ、契約の範囲を確認しろって言ってんだ」


「隣の国に行くまで守ってくれるという契約ではないのか?」


「よく見ろ、契約の範囲ってあるだろ」


「むむむ、ならばもっと優秀な奴に頼む!」


どうやら契約書を見ない事によるトラブルのようだ。

そうして貴族は他の冒険者を探し始める。


それからしばらくして。


「ぐぬぬ、契約の範囲は確かに納得だが…」


「どうしたの?」


「なんだ小娘、私は今気分が悪いのだ」


「カリカリすると毒よ」


「ぐぬぬ…喧しい!」


ここは街の外れ、声を出しても人の気配はしない。


「この名門貴族の子息があんな風情に…」


「大変なのね」


「分かるのか?小娘」


「誰だって辛いものね、でも勉強は大切よ」


「うぐっ」


その貴族の子息はどうにもカリカリしている。

世間知らずという事なのだろうか。


「だがお前と話して少しは気が紛れた、感謝する」


だが次の瞬間それは伸びる。


「えっ?」


それからその貴族の子息がどうなったかは誰も知らない。

その現場を見た者はいなかったのだから。


「タマ、いけない子、でも仕方ないわね」


そのままメアは街に戻っていく。


「なあ、そこの爺さん」


「ワシか?」


「こんな感じの格好した貴族の若い奴知らないか?」


「いや、知らん、ワシはここで漬物の仕込みをしていたからな」


「そっか、すまなかったな」


探しているのは例の貴族の子息だろう。

彼も恐らくきちんと話して護衛を受けようとしていたのだろうか。


だがその貴族の子息はどこにもいなかったと彼はその後言う。

街の外に出たのか、他の冒険者を雇ったのか。


だが酒場で話を聞いても彼が来たという話は聞けなかった。

彼はその貴族の子息がどこへ消えたのか気になっていた、そして以前の神隠しを思い出す。


「まさか、な」


一方でヘルムートは家で売り物にする漬物の仕込みを続けていた。

アルもそれを興味深そうに見ている。


「漬物ってそうやって作るのね」


「そうだぞ、まあ漬物は種類もあるからこれだけでもないがな」


「でもここに来てから食べたご飯も興味深かったわよ」


「和食は新鮮でしたか?」


「ええ、とても」


そんな中ヘルムートが一つ尋ねる。


「そういえばお前は仕事が終わったら国に帰るのか?」


「は?帰るわけないでしょ」


「つまり今後も我が家に住み着くと?」


「そうよ、どうせ国に帰ってもやる事ないしね」


「やれやれ、なら好きにしろ、姫様を養うのも悪くない」


そんなわけでアルは今後もヘルムート達と暮らす事になった。

国に帰ってもやる事がないというのは王位継承権の問題も関係しているのか。


「ヘルムート」


「メアか、もう少ししたら昼飯だ、家の中に入ってろ」


「ええ」


「あの子本当に猫みたいな子よね」


「言ってやるな」


こうして都市開発はあと少しで完成する。

だがそれと同時にしばらくしてから再び神隠しの噂が燃え始める。


名門貴族の子息の失踪、人々は再び神隠しを耳にする。

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