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爺さんと怪物少女  作者: あさしおやしお971号
魔界の暗殺者
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大晦日のいい匂い

大晦日になり、年越しを待つヘルムート達。

そんな大晦日なので大掃除もするわけだが。

キッチンでは木花が大晦日の料理の準備もしていた。

洵と木花の作る年越しそばの匂いが漂う。


「いい匂いがするわね」


「木花と洵が年越しそばの準備をしてるんだろ、掃除はあらかた片付いたしな」


「そばというのは東の国の麺料理だよな」


「去年も食べましたよね?確か」


アルとベリンダは去年もそれを食べている。


その味は覚えているようで。


「あら、いい匂いね、これはなんの匂いなの?」


「リヒアか、こいつはそばの匂いだ、つゆに使う出汁でも取っているんだろう」


「お蕎麦は美味しいわよ、ここでは冷たい麺を温かいおつゆで食べるの」


「そんな事をしたらつゆがすぐに冷めてしまうのではないか?」


「だからめんつゆは多めに作るらしいですよ」


ソルベもそば打ちには興味を示している。

今日は大掃除のためそっちを優先しているが、掃除を終えたら作り方を聞く気らしい。


あの料理が壊滅だったソルベも今ではすっかり上達してしまった。

それは本人の学習能力の高さと、向上心によるものなのだろう。


東の国の料理も洵や木花に積極的に聞いて覚えている。

プロになるつもりはないと本人は断言するが、お姫様なのにこのバイタリティは大したものだ。


「とりあえず今夜は蕎麦だな、年越しは本来越してから食べるものなんだが」


「そうなの?なら明日なんじゃない?」


「別に気にしなくてもいいんじゃない?風習とはいえ完璧にやらなくても」


「去年も大晦日の夜に食べてましたし、私は特に気にしないですよ」


「それならそれでいいんだが、それにしてもこれはカツオの匂いか?」


めんつゆは基本的に鰹と昆布を使う。

うどんは東の国の西と東で異なるつゆだが、そばはそうでもないらしい。


その理由についてもソルベは興味を示す。

そばつゆとうどんつゆの違いについて。


「なあ、うどんのつゆは東と西で違うっていうのは東の国の理由とかあるのか?」


「あ、それ私も気になります、透明なのと茶色いやつがありますよね?」


「その事か、それは東の国の水の違いらしいぞ、東と西で水の硬度が違うらしい」


「水の硬度?つまり水質そのものが東と西で違うって事なの?」


「確か水って硬水と軟水ってあるわよね?それでしょ」


それについてはきちんと説明してあげる優しさ。

水の違いが料理の文化にも違いを生む事には興味を示しているようだ。


「つまり東は昆布出汁が出しにくいから鰹出汁がメインなのか」


「それで西は昆布出汁が出しやすいのでそっちがメインなんですね」


「ああ、そのうどんのつゆの違いは水質が生んだ文化なんだ」


「水質一つで同じ料理でも別物が生まれるなんて面白い話ね」


「ただそばつゆはなぜかそうはならなかったのも不思議な話よね」


東の国の文化についてはアルもソルベも興味は大きいようだ。

いつか本場にも行ってみたいと洵に相談しているらしい。


「なんにしても今夜は蕎麦だな、ゾールにもうちで食わないかと声をかけてある」


「あら、いいわね、私の他にも魔族がいるって聞いてるから会ってみたかったの」


「今夜は楽しくなりそうね、年越しまで起きるわよ」


「姫様はそういうの好きですからね」


「それより掃除を片付けるぞ、早くそば打ちを教わりたいんだ」


そんな話をしつつ残りの掃除も片付け、ソルベはそば打ちを教わったらしい。

夜はゾールも加えての蕎麦と大人は日本酒で夜を明かしたという。


ちなみに年明けの時間にアルは眠ってしまったらしく、年明けに悔しそうにしていたそうな。

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