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爺さんと怪物少女  作者: あさしおやしお971号
魔界の暗殺者
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自由の意味

リヒアも馴染んできたいつもの日々。

アルも一応姫として勉強はしている模様。

そんな勉強もヘルムートはいい相手になっている様子。

アルはそんな今日もヘルムートに質問をする。


「ねえ、自由ってなんなの」


「相変わらずワシにそういう事を訊くのか」


「アルは勉強熱心でいいな、僕は文字が苦手でな」


「それで自由についてですか」


アルが今回聞きたいのは自由について。


それについてのヘルムートの答えとは。


「あら、アルは相変わらずの勉強なのね」


「おや、リヒアさん、そのようです、いい事ですよ」


「それで自由だったな、自由とは責任を伴うものだ、責任のないものは勝手という」


「自由は責任を伴うもの?」


「なんとなく分かりはするな、責任を取るのも自由に求められる事だろう?」


ヘルムートが言うには自由とはその行動に責任を持つものという。

自由と勝手は違い、責任を負わないものが勝手だと考えているらしい。


つまり戸棚の食べ物を勝手に食べる事と冷蔵庫の食べ物を好きに調理する事の違い。

そこにあるから食べるのが勝手、誰かに振る舞いたいと考えて作るのが自由らしい。


「ヘルムートさんらしい回答ですね」


「まあもっと分かりやすく言うなら声もかけずに扉を開けるのが勝手だろうな」


「それで家の中を好きに見て回るのが自由かしら」


「ふむ、なかなか面白い回答だな」


「うーん、もう少しなんか例えはないの?」


それに対する答えを考える。

そこで出たのはこんな例えだ。


「許可を取らずに家の中を見るのが勝手、いいよと言われて家の中を見るのが自由だな」


「おや、そっちの方が分かりやすいですね」


「つまり泥棒が勝手で家宅捜索が自由って事かしら」


「あら、上手いじゃない」


「アルにしては的確な答えだな」


アルのそんな例えにヘルムートもいい顔をする。

やはりそういうところは王族の教養なのだろう。


それに対しヘルムートも褒めてやる。

アルもまんざらでもないようだ。


「ですが自由というのは結局は許可の有無なのかもしれませんね」


「いや、家の中のものを壊して責任を負うかどうか、そんなところではないか?」


「勝手と自由って意外と説明しづらいな、結局はそれに対する責任なのか?」


「それでいいと思うわよ、責任を負うかどうか、そこが根本だもの」


「うーん…難しいわね、でも結局は責任って事でいいの?」


ヘルムートが言うには自由とは責任がついて回るものという。

自由とは何をしてもいいという事ではないと。


何をしてもいいのは自由ではなく身勝手、そんなところだとヘルムートは言う。

そこについてくるのが責任だとも。


「要するにそれに対しての責任、それを取れるかどうかが自由と勝手の違いかと」


「つまりは知らないっていうのが勝手で、ごめんなさいっていうのが自由なの?」


「それは確かに当たっているかもしれないな」


「アルの言う事は大体そんなところだな、知らないとごめんなさいの違いだろう」


「もっと言うなら怒られるのが勝手、自分が辞職するのが自由かしらね」


リヒアの例えもなかなか上手いものだ。

その例えも分かりやすいと言える。


「部下が責任を取るのが勝手、上司が責任を取るのが自由というとこだな」


「それだわ、それが一番分かりやすいわね」


「それなら分かるわ、ありがとね」


「アルはヘルムートでも答えにくい事を訊くからな」


「そこは王族なんでしょうね」


自由の例えはいろいろ出たものの、分かりやすくもにくくもあった。

とはいえアルも勉強にはなった様子。


ヘルムートもそんなアルには大人として接してやると決めている。

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