環境の違い
ソルベの素性を知ったものの特に変わりない日常。
王子からの連絡を待ちつつ今日もいつもの日々を送る。
そんな中アルとソルベの違いについても考えていた。
その違いというのは。
「なあ、お前達本当に違うよな、なんというか才能というのか?」
「なんだ、突然」
「私が馬鹿みたいに言うな」
「でも分かる気がします」
ヘルムートの言う違い。
それは同じ姫のはずなのにソルベはなんでも出来てアルは不器用というか。
「邪魔するよ、少し話が…何してんのさ」
「なんだ、ゾールか」
「何か用かしら」
「ドライな反応ですね」
「まあいい、それで用件はなんだ」
ゾールの用件は少し売り込みをしたいとの事。
それで誰か知り合いを紹介してくれとの事らしい。
「知り合いなぁ、誰かいるか?」
「なら今度うちの兄上にでも持ちかけてみるわよ、それでいい?」
「すまないね、姫様」
「それにしてもゾールって何を扱っているんだ?以前の祭りの時は食べ物を売ってたよな」
「そうですね、少し珍しいものだったような」
ゾール曰く自分が扱うのは主に食べ物らしい。
独自の仕入れルートを持っているらしく外国の食べ物も簡単に仕入れられるとか。
それなので珍しい食べ物も結構仕入れられるらしい。
そんなお礼もあって面白いものをくれた。
「なんだこれ?チョコレートか?」
「東の国で仕入れたチョコ菓子だよ、美味しいよ」
「とりあえずもらっておくけど」
「それ駄菓子の部類だろ、確かに美味いんだがな」
「へぇ、なら食べてみますか」
それはそうと話を戻す。
ソルベとアルの違いについてだ。
ソルベは天才肌なのか、アルは不器用なのか。
なんでもこなしてしまうソルベとどうにも苦手の多いアルの違いについて。
「確かにソルベさんは凄い器用ですよね、なんでも覚えちゃいますし」
「どうせ私は何も出来ないわよ」
「まあアルの場合芸術面では才能はあると思うがな」
「ほう、そういう意味でも才能ってのはあるね」
「僕は料理とかは言われれば覚えるが、絵とか工作みたいなのは苦手なんだ」
確かにソルベは料理はあっという間に覚えてしまった。
その一方でパズルなどは苦手なのをヘルムートは見ていた。
アルはその逆で絵や工作は得意で料理などは苦手だ。
得意不得意は環境の違いが関係しているのか。
「アルは頭を使うのは得意なんだろうな、一方でソルベは体を使うのが得意なんだろう」
「姫様は昔からペーパーテストの成績は優秀でしたからね」
「やっぱり環境ってのは大切だね、ソルベは実践するものが得意って事さ」
「料理とか今じゃプロ並みよ?どんな頭してんのよ」
「確かに側近の騎士にも剣の才能があると言われたな、実技系に向いているのか」
ソルベは実技を競うようなものに対してはかなりの才能を見せる。
一方のアルは成績で評価されるようなものにはかなり強い。
頭脳タイプのアルと肉体タイプのソルベという事なのか。
同じ姫でもこうして違いは明確になるものである。
「アルは料理とか教えても出来んからな、実技は苦手と分かる」
「姫様は食べる専門ですよね」
「悪かったわね」
「人には得手不得手はあるもんさ、別に死にはしないしいいと思うけどね」
「だな、ゾールの言う事も間違ってはいない」
人には誰しも得手不得手はある。
王族は習い事や武芸など多くを嗜む。
そんな中でもやはり苦手なものはあるのだろう。
アルとソルベを見ているとそれを分かりやすく感じ取れる。
「ゾールはやはり人を見ているのか」
「そりゃ商人だからね、人を見る目はあるつもりだよ」
「そこは年季の違いか」
「ヘルムートでもそんな事言うのね」
「それよりもらったチョコ食べましょうよ」
人を見る目はあるというゾール。
商人たる者人を見抜けないとやっていけないのか。
もらったチョコは美味しくいただきました。




