満月の夜
ゾールの暗号を解読してから一週間が過ぎた。
言われた通りにその満月の夜に礼拝堂へとやってきた。
そこにソルベの探す花が本当にあるのか。
ゾールがその答えを教えてくれる。
「言われた通り集まったぞ」
「本当にこの礼拝堂にあるんでしょうね」
「それにしても地下に入れるものなのか?」
「そいつは行けば分かるさ、ほら、ついてきな」
そう言うとゾールは礼拝堂に入っていく。
ヘルムート達もそれについていく。
「夜だけに暗いですね」
「それよりどこまで行くのよ」
「ここだよ、この扉の先さ」
「こんな部屋があったのか、物資の保管庫だとばかり」
「ここに僕の求めていたものが…早く開けてくれ」
ゾールがその部屋の鍵を開ける。
そして部屋の扉が開かれた。
ソルベは息を飲みその部屋へと入る。
部屋の中は満月の光が差し込み、そこには花が咲いていた。
どうやらこれがソルベの探していた花らしい。
ようやくその花に辿り着いたわけだが。
「こいつがその花だよ、こいつを薬にすれば解呪の薬になる」
「やっと男に戻れるのか…長かったな」
「やりましたね、ソルベさん」
「ねえ、ヘルムートはどう思う?」
「たぶんお前と同じ考えだぞ、アル」
歓喜を見せるソルベを見つつ、アルとヘルムートはどうにもそれが引っかかっていた。
ソルベは恐らく呪いなど最初からかかっていないし、男でもなく最初から女だと。
ならソルベにそれを言ったのは誰なのか、少なくともソルベはそこそこ高貴な人間。
そんな人間をたぶらかしたともなれば、その人間はそれなりの罪に問われる。
そもそもの発端はなんなのか、それをソルベに訊いてみる事に。
一応知っておくぐらいはいいだろうと。
「ソルベ、少しいいか、お前が男だと言ったのは誰だ?親族か?外部の人間か?」
「なんだ、確か僕の国に来ていた旅の占い師だな、そいつが僕は男だと」
「…これ確定でしょ、ただ旅の占い師ともなるとどうやって探すか」
「姫様は何を言っているんですか?せっかく目的を達成したのに」
「言いたい事は理解出来るよ、そっちも実は手配済みでね」
ゾールが実はすでに手を回しているという。
その周到な手口はヘルムートやアルも驚くしかなかった。
不思議そうなソルベを横目に本題に切り込む。
ゾールはその占い師についても存じているようで。
「そいつに関しては後日ソルベ抜きで話す、適当な日にあたしの家に来てくれ」
「分かった、お前の話も聞かせてもらうぞ」
「ソルベに変な事を吹き込んだ占い師…そういえば母上も占いが好きだったわね」
「よく分かりませんけど…」
「それよりこの花を薬にする方法を教えてくれ」
今はそれは秘密にしておく事にした。
ゾールからその花を薬にする方法も聞いた。
詳しくは後日としながらもその花の薬が本当に効くのかも気になる。
だが呪いにかかっていないのに性別が反転するものなのかも気になるところだ。
あと今回は特別に許可をもらっているとの事。
つまりここに入るのはゾールの手回しがなければ、今後は難しいと。
「それよりさっさと出るよ、その花の薬の作り方は教えたからね」
「ああ、感謝する」
「では帰って薬作りですね」
「ゾールもかなり出来るみたいね」
「先手を打たれている感じはするがな、ただ頼りにはなる」
そうして花を持って家に帰る事に。
薬の作り方は教わったので、その通りに作るだけだ。
そしてソルベの話の核心にも切り込む事になりそうである。




