暗号解読
ゾールから渡された暗号の解読に挑戦していたソルベ。
その暗号をほぼ意地だけで解読したようで、それを渡しに行く事に。
ソルベの探す花はどこにあるのか、それを教えてもらえるのか。
とりあえずそれを確かめに行く。
「ゾール!いるか!」
「なんだい、こんな朝っぱらから」
「ソルベが暗号を解読したから持ってきたのよ」
「それにしてもいかにも寝起きという格好だな、商人なのに」
とりあえずゾールに解読した暗号を渡す。
その上で確認を取る事に。
「どうだ?解読してやったぞ」
「ほー、まさか旧字で書いた暗号を本当に解読しちまうとは、大した奴だねぇ」
「それより花の在り処を本当に知っているんだろうな?」
「こんな面倒なもの渡しておいて知りませんでしたじゃ許さないわよ」
「姫様は相変わらず強気に出ますね」
それはそうとゾールが花について少し説明してくれる。
その花はどこに咲いているのか、なども。
「花はどこに咲いている?こっちは情報が少なくて困っているんだぞ」
「まあそう焦らないでくれ、そうだね、満月の夜に礼拝堂に来てくれ」
「満月の夜に礼拝堂?どういう意味だ?」
「まさかその花って一夜花なの?」
「一夜花って夜にしか咲かなくて、それも条件が合わないと咲かないっていう…」
ゾールが言う満月の夜に礼拝堂という条件。
それはアルが言うように夜にしか咲かない、それも一夜花なのは確かと思われる。
それが礼拝堂というのはどういう事なのか。
ヘルムートが考えるのは、礼拝堂の中でその花を管理しているという事。
つまりその花は最初から近くにあったという事だ。
そもそも礼拝堂には地下室があり、そこは物資などの保管庫になっている。
そこ以外にも部屋があるという事だろう。
礼拝堂の地下は関係者しか入れない事も知っているので、まさに灯台下暗しである。
「だが仮に礼拝堂の地下なら一夜花でも咲くものなのか?地下室は密室なんじゃないか?」
「それは当日に教えてやるよ、満月の夜を待ってな」
「次の満月の夜っていつでしたっけ?」
「えっと、今から一週間後だったはずよ」
「ここまで言っておいて嘘でしたと言ったらその首はねてやるからな」
ソルベも物騒ではあるが、それだけ目的に近づいたという事だ。
とはいえ男に戻りたいというその目的自体どうにも引っかかる。
ヘルムートはその目的が本当なのかとも今でも疑っている。
そもそも性別を反転させる呪術など本当に存在するのかと。
ソルベが何者かに嘘を吹き込まれたのではないかとも。
もし嘘を吹き込まれていたのなら、それを吹き込んだのは誰なのか。
ソルベが純粋なのは今までの生活で理解している。
世間知らずな一面もあった以上嘘を信じ込ませるのは意外と簡単だと思っていた。
なんにしてもその花を手に入れて確かめればいい。
話はそれからである。
「そんじゃ満月の夜に礼拝堂の前で待ってるから、きちんと来るんだよ」
「嘘は言っていない目だ、だがどうにも引っかかる、真実を確かめるのはそれからか」
「ヘルムート?何をブツブツ言っている?」
「せっかく目的を達成出来そうなのに」
「どこか疑ってるんですかね?」
なんにしても目的には大きく近づいた。
ソルベは男に戻れるのか、それとも嘘を信じているだけなのかる
ヘルムートの考えている事はゾールの言葉の真偽ではなく、ソルベの言葉の真偽である。




