謎の暗号
ソルベの探す花について思わぬ事になったヘルムート達。
とりあえずは渡された暗号を解読する事に。
そこに書かれているのはなんなのか。
ソルベの求めるものには本当に辿り着けるのか。
「むぅ、分からん、なんなんだ」
「そんな焦らんでも逃げたりはしないだろう」
「そうよ、チャンスなのは分かるけど」
「お茶でも淹れてあげますから少し休みませんか」
そんなこんなで暗号の解読は難航している。
とはいえ三割はすでに解読済みなのがソルベの優秀さなのか。
「どうぞ、緑茶とおまんじゅうです」
「すまん、どうにも焦りが出てな」
「木花に感謝ね!」
「洵は今日は剣術の稽古か」
「みたいですよ、さっきやってました」
ベリンダも洵が今日は子供達との剣術の稽古なのは見ていたらしい。
それにしてもなぜ解読が進まないのか。
それはヘルムート曰く古い文字で書かれているかららしい。
つまり旧式の文字を使って書かれているという事である。
ソルベも旧字は理解は出来るものの、完全ではない。
それにより難航しているという事だ。
「それにしてもあのゾールとかいう商人を本当に信じるのか」
「少なくとも悪い奴には見えんかったな、嘘は言っていない目だった」
「ヘルムートさんがそういうのなら信じていいと思いますよ」
「木花も従順よねぇ」
「一応メイドロボですから…」
それはそうと暗号の解読に戻る。
ソルベも相変わらず頭を抱えるその難読。
旧字は今は使われていないもので、廃止されたのは100年程度前だ。
今の字になったのがそれぐらいなので、当然ソルベには分からない。
勉強もしたものの、完璧に理解しているわけではない。
それが解読を難しくさせている。
「駄目だ、さっぱり分からん」
「ソルベって秀才のイメージがあったのに、なんか意外だわ」
「秀才なのは確かですが、なんでも分かるとは違うと思いますよ」
「木花の言う通りだな、それは秀才ではなく万能っていうんだ」
「うーん、でも三割も解けたならそれでも凄いような」
とにかくその暗号を解読してみせると意気込む。
ソルベは負けず嫌いな性格なので、引くという事は絶対にしない性格だ。
頑固な一面もあるため、意外と固い性格でもある。
融通は利くが、負けを認めたがらない事が頭を固くしているのだ。
「焦らなくても逃げはしないさ、ゆっくりやっていけ」
「そうよ、向こうから来たんだから逃がしちゃ駄目よ」
「分かっている、だがまさか旧字とは想定外だ、むぅ」
「ソルベさんも難儀な性格をしていますね」
「負けず嫌いですからね、敗北を認めたがらないんですよ」
それでも少しずつではあるが解読は進んでいる様子。
ヘルムート達も少しは手伝いつつそれを見守る。
「木花、お茶のお代わりをくれ」
「はい、少々お待ちを」
「旧字はワシも分かるには分かるんだが、完全ではないからな」
「ヘルムートの歳でも廃止された時には生まれてないのよねぇ」
「確か100年ぐらい前でしたっけ」
それでもソルベの意地なのか、解読は進む。
分からないものを意地で解読していくソルベの恐ろしさを感じたりもした。
「こいつ、本当に頭がいいんだな、解読しながら学習してやがる」
「お茶ですよ」
「すまない、次は…」
「ソルベってもしかして私より頭がいい?」
「恐らく確実に…」
そんなアルより確実に頭のいいソルベの解読も少しずつ進む。
アルがどこか悔しそうにしているのを横目にソルベの本気が出ている気がした。
ソルベの潜在能力の高さは本物のようでもある。