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姫様の事情

都市計画がスタートして一週間。

街の拡張は順調に進み建物の基礎なども組み上がりつつある。

そんな中責任者のアルは責任者としてその手腕を振るう。

ヘルムートもそんなアルを見て思ったよりも感心しているようだった。


「ふぅ、街の工事は順調ね」


「お前何気にいい手腕をしているな、若いのに大したもんだ」


「当然よ、誰が責任者だと思っているの」


「大した自信ですね、裏打ちするものでもあるのですか?」


「王族たる者勉学はきちんとしているからよ!」


アルも王族である以上勉学や武術は高度なレベルで嗜んでいる。

実際に現場においても担当者に的確に指示を飛ばしていたからだ。


「それで、休憩時間とはいえこんなところでくつろいでていいのか?」


「家でくつろいで悪いかしら」


「それは尤もなのですが」


「お姫様、変な人ね」


「メアだっけ?あんたもう少し仲良くしましょうよ」


メアは姫様とは険悪ではないが仲良しでもない。

とはいえまたいつ誰か人を喰らうのか分かったものでもない。


「それにしてもこの家って変わった食事を食べるのねぇ」


「和食の事か?こっちの方が腹持ちがいいからな」


「ええ、それに痩せますよ」


「マジ?和食って痩せるの?」


「洵さん、嘘はいけませんね、痩せる和食は限定的ですよ?」


「おや、少なくともダイエットに必要な栄養素は豊富だと証明されていますよ?」


なんにしても洵はそうやって東の国の食事を布教していたりする。

それでダイエットに成功した人も実際にいるらしい。


とはいえきちんとした食事が前提ではある。

アルもそういうのには興味津々である。


「そういえばアル、お前王位継承権は低いとか言ってたな」


「そうよ、基本的に男児が優先だし私は第四王女だからね」


「王位継承権それだけでかなり低くなる、と」


「ええ、だから国に残ってても勉強しかする事もないしね」


「だから都市計画の責任者に立候補したのね」


アルの国における立場は低い。

継承権も男児優先であり、なおかつアルは第四子で王女という事もある。


「それに放っておいても政略結婚で他国に嫁ぐしね、ならこういう仕事がしたいの」


「政略結婚な、貴族や王族といったものは血を絶やさないために必要なものだ」


「望まぬ相手に嫁ぐ、西の国の文化は複雑ですね」


「洵の国にだって皇族というものがあるだろうに」


「ふーん、東の国の事は詳しくないけど、何かとあるのねぇ」


そういった国の文化は様々である。

だからこそアルもそういったものに興味を示す。


東の国の文化とはどんなものなのか。

それはアルにとっては未知なる世界でもある。


「それにしてもこのタツタアゲって美味しいわね」


「脂っこいものはどうかとも思いましたが、口に合ったのなら何よりです」


「でもお気に入りは竜田揚げではないのですよね?」


「ええ、特に気に入ったのはトウフハンバーグよ、こんな美味しいもの初めてだわ」


「豆腐とはいえハンバーグが気に入る辺り年相応だな」


アルはどうやら豆腐が気に入ったようだ。

他にも厚揚げや豆腐サラダなども美味しそうに食べている。


「東の国にも美味しい食べ物はたくさんあるのね」


「はい、ちなみに東の国発祥の洋食もありますよ」


「そういうのも食べてみたいわね」


「なら機会があれば私が振る舞いますよ」


「マジ?木花は有能ね」


そうしているうちに昼の休憩時間は過ぎていく。


そのまま現場に戻りアルとヘルムートは仕事に精を出す。

次の人喰い事件、もとい神隠しが起きるのはもう少し先のお話である。

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