砲兵を招く銀の鍵(1)
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムなし。
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
衝突が終わった刹那を見計らい、飛蝗頭が大天使と造物主をやや離れた位置に移動させる。
以前、平安通のボスと戦った通りだ。空中で衝突が始まる。夜色の怪人がローキックを浴びせると、右脛が熟れ過ぎた果実のように弾けた。
道隆が右足を突き出した姿勢で止まる。アルキゴスの念力に絡め取られた彼の身体が、人形のように吊り上げられる。
縛めを逃れようともがく道隆の胸中で、心臓が脈打つ。四肢を緊張させると同時に、不可視の鎖がちぎれた。
道隆の脳裏に、一つのイメージが描かれる。
青いラインが一筋入った銀色の銃身と黒いグリップを持つリボルバー。
夜色の怪人はそれに頓着することなく宙を翔け、アルキゴスの前に立つ。
腰を捻り、大天使の鳩尾を貫かんと繰り出した左拳から、破滅的に眩しい輝きが放たれた。
第3の能力。変身した道隆の身体が造り替わってゆく。
夜色の怪人は、その姿を変えた。
装甲で覆われた両腕は、リボルバーに似た機構の銃身に変形。指は退化し、引き金部分にわずかに残るのみ。
腰から生えた一対の翼は、まるで鴉のよう。胴体と両腿、背中に装甲が追加され、肥大化した肩の先端ではオレンジ色の球体が輝いている。
武者兜を被ったような頭部からは、山の字を思わせる3本角が伸びている。
左腕の光線を浴びたアルキゴスの半身が吹き飛ぶ。
光は夜空を裂き、ビルを十数棟貫いてから消えた。
道隆は間髪入れずに接近、右の銃身でアルキゴスを殴る。
「デーモンよ。敵ながら見事、よくぞこれほどの武力を…」
呟いたアルキゴスの首回りを覆う鎧が砕け、振り下ろした銃身は彼の右肺にまで達した。
強かに打たれた大天使は地面に衝突。小さなクレーターを作る。
(今、褒められたのか?)
道隆は身を引くと同時に、杭の射出を落ちたアルキゴスにくれてやる。
着弾まで0.3秒もかからない。周囲数十メートルを爆風が襲う。
衝撃が地面を揺らす。天使の反応に気を回しながら距離を広げる道隆だったが、天使の気配が膨れ上がるのを察知すると、ただちに身構えた。
それと同時に、名古屋市の間近で気配が発生する。
道隆の頭上では、一万を超す騎士が一宮市跡の空を覆っていた。
彼らは道隆が張った結界と、5本の柱が形成する障壁に阻まれ、炎の巨神に焼き尽くされた荒野に降り立つ。
飛蝗頭から報告を聞いた道隆は、ただちに自分が把握している限りでも腕利きの魔物3体を放つ。
1体目は小型ジェット機並みの巨竜。
緑色の外皮で覆われた大型爬虫類の姿をした魔物は、群がってきた天使を羽ばたきで強かに打ち、燃える吐息で焼き払う。
騎士の剣は鱗の壁に阻まれ、炎は体表を滑るのみ。鉤爪が鎧を抉り、掴まれた天使は血と肉を、赤々と照らされた空にまき散らす。
2体目は鯨、飛蝗、獅子の合成獣。
飛行するたび、身体の側面から伸びた肢が炎の轍を描く。
合成獣の戦車は走り出して2秒で時速550㎞に到達。魔物は接触する騎士の鎧を砕き、跳ね飛ばす。
正面衝突した中級天使の甲冑を砕け、手足が宙に舞った。
最後の1体は、大型タンカーのような体格の妖獣。
血のように赤い刃を鬣のように生やし、骸骨の頭を持つ四足獣が、天使の群れを斬り刻んでいく。
天使達が呼び出した青白い火箭は、妖獣が近づくと霧のように消えてしまう。
妖獣が近づいた途端、天使はその場に磔にされ、甲冑を覆う神力が剥がれる。鬣の一本の一太刀で、騎士が10名単位で斬り裂かれていく。
三者三様だが、中級天使の大軍をものともしない点だけは共通していた。
14000対3。四千倍以上の戦力差を凌駕する殲滅戦が、夜の旧一宮市で繰り広げられる。
ありがとうございました。