環希、迷宮ボス戦-最下層-
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムなし。
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
「なにここ…」
環希は右腕をさすりながら、立ち上がる。
足場が突如崩れた瞬間、彼女は落ちた!と判断した。
環希が運ばれたのは、先刻までいた空間とはまるで見た目が違う。
通路の幅は6車線程の広さ。床は硬い土。所々苔で覆われ、小枝や小石が無数に散らばっている。
岩山のように聳える壁が左右に立っているが、天井はない。太陽の位置は見えないが、頭上には空が広がっていた。
(まだダンジョンのはずだけど…。別の空間に飛ばされた?)
環希は帰還を試みる。
いつものように意識を集中するが……名古屋に移動できない。
何度試しても帰還できず、環希の中で段々と焦りが大きくなる。
壁の登攀を試みるが、壁は異能者の指ですら貫けないほど硬い。
――視線。
ナイフで刺されたような感覚。
全身を串刺しにされたように感じた環希は、思わず首を左右に回す。
目に見る範囲に怪物の姿は無い。小さな空の下を歩いていると、羽音が聞こえてきた。
まもなく3体の怪物が現れる。獅子の頭を持つワシ――アンズーだ。
3匹は威圧するような咆哮をあげて、地上を歩く少女に飛び掛かる。
環希は際どいラインまで3匹を引き寄せてから、地面を蹴って突進を回避。
無心で駆ける彼女の背後で、雄叫びの合唱が生まれる。環希は手札を一枚切る事にした。
環希が走り去った後で、地面が隆起し、土塊が大男に変化する。土塊は硬質化し、鎧のように変化していく。
環希の持つ異能、人形の作成だ。
探索班のメンバーに侮られないよう、出来るだけ隠しておきたかったが、今はその場合ではない。
即席のゴーレム達は魔鳥に向かって行くが、働きは芳しくない。土塊は変身した源ほど強くは無い人形たちは、魔鳥を中々叩き落す事が出来ない。
しかし、一方的に攻撃されるばかりではない。腕を切り離し、砲弾のように飛び回る獅子頭に撃つ。
環希は躊躇なく、二つ目の異能も開帳した。
少女の姿が消え、身体の向こうが透けて見える。魔鳥は困惑しつつ、環希が立っていた場所に体当たりを仕掛ける。
しかし、鉤爪は何物も捕らえることは無かった。飛び回るアンズーを警戒しつつ、ガラスより透明な何かがダンジョンの奥に進む。
透明化した環希はこっそりとアンズーから距離を離す。忍び足で進む彼女の耳に、小さな足音や羽音が飛び込んでくる。
(気配の感知を――うぅ!?)
環希を激しい頭痛が襲う。
冷たい刃でピストンされているような感覚、知覚を妨害する者がいるとでもいうのか?
このような事態は、異能者になってから初めてだ。
感知を諦めた環希は、痛む頭に冷や汗を浮かべながら進んでまもなく、分岐を見つける。
彼女は部屋を見つけ次第、一つずつ探索していく事にした。状況を打破しうる道具が見つかるかもしれない。
先程の落とし穴に警戒しつつ、足を踏み入れると、地面に物干し竿のようなものが転がっているのが目に入った。
近づいていくと、先端に鈍い光が生まれる。環希は、放置物を槍と判断した。しかし取りに行くのは躊躇われる。
ありがとうございました。