第4層、地下4階(1)
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムなし。
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
探索班は街に帰還した後、日を改めて探索を再開した。
無論、鑑定も済ませてある。火に包まれたトカゲの腕輪は、武装に炎を付加する。
濃緑の楔は、念を籠める事で俊敏さを大幅に高める能力を備える。
相談の末、楔は奈々葉に、腕輪は周哉に渡された。
トカゲの腕輪の威力は、中々のものだった。
ジャマダハルに、投げナイフに、好きなタイミングで炎を纏わせることが出来る。
攻撃力も上昇するのか、斬りつけた相手に炎が燃え移り―――あるいは発火したのか―、闘った怪物は炭になるまで焼かれた。
楔もまた強力だった。
念を籠めるだけで、敏捷さを数倍に高める力を秘めている。
メンバーは戦闘能力を持つ紗莉に渡したのだが、紗莉自身が奈々葉に渡してしまったのだ。
「だって、あの岐城さん、その…戦い向きの力無いし、身を守れると思うし…あ、鹿島さんは?」
「私はいい。次は譲ってね」
「わかった。それじゃあ、私が」
探索班は4階に到着。
アイテムの回収は浩紀が請け負うが、皆一応、大きめの鞄を持ってきている。
階段を降りて通路に入った時、源が声を上げた。
「何か聞こえない?」
「いや?」
「私は聞こえる。…何か近づいてきてるみたい」
環希が小さく付け加えると、全員の警戒レベルが跳ね上がった。
逃げた方が良いんじゃないか、と周哉が指摘した直後、前後の壁が崩れて、赤い蟻の集団が現れる。
気配感知に移る暇さえなかった。
探索チームの腰ほどの位置に頭がある、哺乳類並みに巨大な虫。
環希を除き、女性陣は悲鳴をあげた。後方に現れた一団は変身した源が引き受け、鎖鉄球と剛腕で外骨格を2つ、3つまとめて潰していく。
周哉と、紗莉が呼び出した雷神を先頭に蟻――ファイアアントの壁を突破し、開けた部屋を目指す。
光る蛇と異能者の視力、感知網を頼みに、通路を道なりに曲がる。
出現した分岐を右にそれると、宝箱の部屋が現れた。中央に据え付けられた石棺のようなオブジェを開くと、白いローブが出てきた。
背中にあたる部分に、蛇の巻き付いた杯が刺繍されている。環希が着てみるが、特に変わった印象は無い。
価値のある品と期待して、彼らは奥に進む。
通路を出て、次の部屋に入った探索班は入り口で立ち止まった。
その部屋は大きかった。高校の体育館が楽に入りそうなホールに、鞘に収まった日本刀やスクーターが無造作に置かれている。
俊樹は無警戒に駆け寄り、黒塗りの鞘を持ち上げると、恐る恐る抜刀した。
「日本刀とか、ガチでダンジョンっぽくなってきたな…」
刀身を眺める彼を無視し、源はスクーターに歩み寄る。
あちこち触ってみるが、いきなり崩れ出すようなことは無い。
傍らにはキーとヘルメットまで置かれている。ガソリンは空だ。
「原付?動くの?」
「無理。ガソリンが入ってない」
俊樹のボトルシップに、スクーターは収められた。
日本刀は景之に渡されたが、彼が武器を持つことを嫌がったので、弟の俊樹の手に落ち着く。
宝探しのナイフ程度しか武器が無く、また外で購入すれば50万はしそうな品が無料で手に入った事に、俊樹は口元が緩むのを抑えきれない。
散らばっていたアイテムを回収し終え、部屋を去ろうとした探索班を吹雪が襲う。
ありがとうございました。