白い翼の急襲作戦(2)
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムなし。
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
ミュータントの食料は、もっぱら区域内に生えている食用果実に頼っている。
さらに敷地内で発見されたダンジョンでは、加工済みの食品を得る事が出来た。
彼らの肉体は異能者に迫るほど頑健さを持つので、ライフラインが絶たれていても、活動を維持できる。
しかし、と千晃は思う。
(それは人間と言えるのだろうか?)
千晃は人間だ、と考えている。
しかし殆どの市民は、彼の意見を受け入れないだろう。
封鎖の内ですらこうなのだ、外にミュータント達の居場所はない。また、神宮一帯の住民もそれを理解している。
(仲良くできればいいのに)
その時、田代が慌てた様子で千晃の下に駆けこんできた。
樽型の胴体に、円形に並ぶ10本の腕を持つミュータント。
「雨宮さん、宮澤と前田が――!」
「どうしたんですか?」
田代を落ち着かせ、報告を尋ねる。
三本松町前の住宅街、およそ20数mが全焼していた。
黒焦げた肉塊が2つ発見され、調べてみると宮澤と前田らしい。
田代は震える声で、千晃に詰め寄る。
「雨宮さん、どういう事ですか!?何か気付かなかったんですか!?」
「いえ……案内してください」
千晃の腹に、冷たいものが流れていく。
田代は言外に、異能者の探知能力に引っ掛かったはずではないか、と千晃を責めている。
天使なる正体不明の襲撃者がうろついている状況で、ずいぶんと気を抜けているじゃないか?
千晃は警戒していた。覚醒している間は常に感知を働かせているし、巡回も毎日行っている。しかし彼の感知範囲は狭い。
田代に案内された千晃は、異変の現場に到着。
鉄筋のマンションや放置自動車が溶けたように潰れており、炭化した道路は黒く、ひび割れている。
かなりの時間が経っているらしく、熱気は既に引いていた。千晃が駆けつけた時点で人だかりが出来ており、内側では4名のミュータントが手掛かりが何かないか、焦土を掘り返している。
千晃がやってくると、人の囲いがさっと引き、視線が集まる。
「雨宮さん……」
千晃は責められているように感じた。
実際は途方に暮れ、どう処理すればいいのか、尋ねようとしただけだ。
千晃が現場の惨状を見て、自分を責めたに過ぎない。現場を調べているミュータントに混じって、千晃も瓦礫を漁る。
(海野先輩がいれば…)
千晃は、夏に名古屋を出ていった異能者の事を考えた。
海野秀人。物を探す能力があり、こういった状況なら非常に頼りになる人物だ。
連絡はしばしば取っているが、名古屋に帰ってこないだろう。彼は恐いものが苦手だった。
結局、その場で手掛かりは見つけられなかった。涼葉も自分も、体得したのは戦闘的な能力であり、探索や情報収集には向かない。
「これからどうしますか?」
「巡回の頻度を増やして、不審な人物を探すくらいしか思いつきません。天使が犯人なら、僕が行けば動けば反応があるでしょう」
外部の異能者に協力を仰ぐのが一番だと思うが採用した場合、ミュータントからの印象が悪化してしまう。
千晃はその夜から、涼葉と交代で夜の巡回を開始。集落の住人達も、総出で協力にあたる。
ダンジョンへの探索も、ミュータント達が並行して進めていた。千晃は黄金の天使に変身したまま、熱田の城壁の中を探索する。
千晃の感知範囲に、天使の気配が侵入する。黄金の天使は弾かれたように向きを変え、気配を辿って空を駆ける。
ありがとうございました。