消えた男を追跡せよ(2)
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムなし。
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
一時間ほど聞き込みした頃、千種駅近くで気になる情報が出てきた。
奇妙な一団が、北からやってきたそうだ。早苗達は彼らが目撃された通りで、黒い騎士に情報の再生を命じる。
布袋でくるんだ何かを、両肩に背負って運ぶ男女が浮かび上がる。
険のある雰囲気を放っており、真っ当な連中ではなさそうだ。
程度は異なるが、無傷のものはいない。衣装が赤黒く汚れ、交差するズボンはあちこち破れている。
「どこ行く?」
「熱田はどうだ?」
「あそこはヤバいぞ、異能者はほとんどいないけどな、ミュータント連中が中々強い。数多いし」
早苗は周囲に警戒しつつも、彼らの話に興味を惹かれた。
通り過ぎる彼らの映像は、足踏みするようにその場で動き続ける。
再生される情報に小さな呻き声が混じっている事から、布袋の中身は人間らしいと早苗は推測した。
「ボスがやられるなんて…」
「自警団がやられたから行けると思ったんだけどな」
早苗は考えを巡らせる。
北からやってきた男女、ボスがやられた…。
「暁の野郎、なんだってこんな時に覚醒したんだ?」
「あぁ、そーいやユリカが、妙な男がアイツらについてたって」
「どんな?」
「◆SωsあΞkdいh」
音声がノイズに変化した。
夏姫と顔を見合わせた早苗は、道隆に近づいていると直感で判断する。
情報が殆ど正確に再生できた。彼の支配力も、完全ではないのかもしれない。
出発しようとした時、異能者の気配が飛ぶように近づいてきた。
弓を構えた白い騎士の前に現れたのは、ヒトデ頭の魔犬に騎乗した浩紀。
彼は2人に、道隆の捜索を申し出た。
「私達もそのつもり。」
「だったら俺にも知らせてよ」
「後で知らせるつもりだった」
3人は北に進路をとった。
道隆は異能者だ。戦闘の痕跡と気配を辿って行けば、そのうち辿り着けるだろう。
清明山住宅に近づいた時、視線を感じた。夏姫は異能者の気配が複数補足した。
教えられた早苗は白い騎士に、弓を構えさせる。
「早苗――」
「大丈夫、こっちから攻撃する気はないから。後攻でも凌げるといいんだけど」
3人は迂回する形で、ナゴヤドーム方面に向かう。
中日球団の本拠地であるナゴヤドームは7月の異変以降、営業停止している。
ドーム内がどうなっているのか、彼女達は知らなかったが、中から魔の気配が漂ってくる。
「どっちに行こう?」
「どっちでもいい……西に進むわ。何も無かったら引き返す、それでいい?」
まずはとにかく歩き回る。
空に飛び上がり、街の様子に目を凝らして進む彼女の前に、戦闘の痕跡が現れた。
異能者の死体に四足の獣が群がり、餓えた腹に死肉を詰め込んでいる。
いくら食べても、彼らが満たされることは無い。生物というより、形ある自然現象に近い彼らは食事を必要としない。
「早苗、向こうで何か動いてる」
「どこ?」
「あっち」
夏姫が指差した方に、早苗は視線を向ける。
意識が両目に集中し、大きく強化された視力に、ビルの間を動く数十体の巨人の姿が映った。
彼らは家屋を崩し、道路に壁を築いている。恐らく人が済んでいない家なのだろう。
早苗は道隆の異能を思い出す。その片方は、使い魔を操る力だったはずだ。
ありがとうございました。