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消えた男を追跡せよ(1)

趣味で書き始めました。

「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。

読む前に、以下の注意に目を通してください。


【注意事項】


・ハーレムなし。

・デスゲームなし。

・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。

・キモイ主人公。

・読みづらい。

・残酷な描写や暴力表現あり。

・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。


 浩紀はある晩、金山にいた。

二つのコミュの小競り合いに、戦力として雇われたのだ。

両勢力には浩紀は縁が無い。外部から招かれた助っ人として参戦した。

川向こうの山王に拠点を築いた連中を攻撃するべく、浩紀は異能を展開する。


 石化弾を放つ大砲の召喚。

しかし、その形状は道隆に見せたものとは大きく異なっている。

2m近い高さの、鋼鉄の塊。2輪で閉じた砲架を浮かべるそれは、独りでに動く牽引式榴弾砲だ。

あまりの巨大さゆえ、室内では完全な形で召喚できない。狭い空間で使う場合、出力を弱めて、サイズ・性能を劣化させるしかないのが現状だ。

そうしなければ、砲撃の余波で浩紀自身にまで被害が及びかねない。


 山王は在りし日から、その姿を大きく変えていた。

夏に出現した巨躯の魔物――イタクァと名付けられたモンスターがここで倒れた結果、休む事無く乾いた冷気が吹き荒れている。

とはいえ、局地並みに寒い徳川町ほどひどくは無いが。この冷気を利用し、拠点とした異能者がいたのだ。

道隆ほどではないが、空間操作に長ける人物がいるのだろうと浩紀は考える。


「うぉ――!!ぶちかませ――!!」

「そんなとこ突っ立てねーで、離れてろよ!巻き込まれるだろ!」


 改造した悪ガキを侍らせた浩紀の横で、砲架が地面に脚を降ろす。

浩紀が意識するだけで鋼鉄が唸り、砲弾が装填される。封を解かれた大砲が、轟音と共に石化の魔弾を放った。

耳を塞ぎたくなるような音をまき散らして、砲弾は路地を突き進み、突き当りの家屋で炸裂。

その瞬間、石化の呪いが周囲に拡散する。爆風と熱を逃れた者も、あっという間に物言わぬ石塊と化す。


 コンクリートなど無機物は効果が薄いが、生物には効果覿面。

枯れた樹木が灰色に染まり、異能者すら瞬時に絶命する。吹き荒ぶ雪の壁が姿を消した。

この後、危なげなく浩紀が加勢したチームは勝利。報酬の20000円を受け取る。1時間あたりの手取りなら十分だろう。


 天使の襲撃を掻い潜って帰った翌朝、浩紀は名電東の交差点近くが焦土と化した話を聞いた。

アルキゴスが放った気配は若水の住宅地にまで届いており、近隣コミュニティの住人が調査に赴いたのだ。

不吉な予感を抱いた浩紀は、バイクほどある一対の翼を備える犬だったものに跨る。

組織と癒着した鉄の骨に、綿の皮膜を張った結果、体格が増した上に飛行能力まで獲得した奇妙な生物。


 全身を淡い紫の毛で覆い、3つに割れた頭はヒトデに似ている。記憶を頼りに、浩紀は道隆の家を目指す。

飛ぶように走るヒトデ頭は、立ち塞がるゾンビや小悪魔を、翠色の刃を放って蹴散らしていく。


「なんだこれ」


 彼の家に着く前に、異変が視界に入った。

紀里野宅の周囲は、爆撃を受けた跡のようになっている。道路は罅割れ、立ち並ぶ家屋は骨組みを除いて焼失していた。

遠巻きに見守る野次馬は、ゴミ漁り目的だろうか。浩紀は彼らから距離をとり、紀里野宅の址を見つめる。


 スマホを取り出し、早苗にメッセージを飛ばす。

彼女は異空間に引っ込んでいるはずだが、向こうにちゃんと飛んでいるだろうか?

すぐに返事が来た。まもなく焦土の一角に異能者の気配が3つ出現する。

早苗達と合流した浩紀は、爆心地に足を踏み入れた。


「うわ、スゴ…」

「紀里野さん死んだってことは無いよね?」

「死んでないでしょ。結界が崩れてないもの」


 早苗は自信たっぷりに言った。


「天使の気配がしたんだって?」

「うん、俺が来た時にはもう終わってたんだけど…」


 早苗は道隆の家があったあたりを見つめる。

天使の襲撃を切り抜けたと仮定すると、別の住居を探すだろう。

倒したのか、退けただけかは不明だが、ここにはもう住めない。

他の集落に身を寄せたか、あるいは適当な空き家に棲みつくか、居所を確認しなければ。


 早苗は秘密基地に帰還すると、修児に調査を頼む。

調査員を名古屋市中に降ろし、リアルタイムで映像を送ってもらう。

しかし、何も映らない。砂嵐だったり、無人の廃墟だったり、手掛かりになりそうなものがない。

監視室のモニター前に座る修二の側で、早苗は独り言ちた。


「映らない…」

「件の彼のせいだろうね。結界で愛知県を支配下に置いてるって?」

「えぇ。黒い騎士も、紀里野さんを狙うと使い物にならなくなるの」


「私は外に出るから、人を派遣してくれない?」

「いいよ。何かわかったら知らせる。おーい!」


 修児が声を掛けると、監視員が無線を持ってきた。

それと同時に、秘密基地の戦闘員が名古屋に降下していく。


 早苗は夏姫を連れて、秘密基地から名古屋市に戻った。

早苗が黒い馬に乗り、夏姫が白い騎士に同乗する。夏姫がテレポートした方が早いだろうが、言い出したのは早苗だ。

付き合ってもらう手前、夏姫にそこまで負担させたくない。


ありがとうございました。

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