大曾根異変(6)
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムなし。
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
「じゃあ、儂行くから。なんかあったら、声掛けて」
「あ、ハイ。これからよろしくお願いします」
「あァ…うん」
道隆は曖昧に返事をして、寝床を探し始めた。
見渡すだけで10階建て以上のマンションが8棟はある。
空き部屋には欠かないだろう。道隆は期待と不安にくすぐられながら、そのうちの一つに歩を進めた。
新築とは言わないが、もともと空いていた部屋がいい。生活感の残る中古の家はごめんだ。
道隆がマンションの空き部屋を探している頃、暁たちは囚われた集落の住人を説いて回っていた。
彼らのうち半分は、暁たちを歓迎しなかった。
取り囲んでいた一般人――特に搾取対象でないある程度の年齢以上の男は、悪し様に少年達を罵る。
彼らは異能者に養われる事に慣れてしまったのだ。
「なんで、あいつ等を追い出したんだ!守ってくれてたのに!」
「これからどうしよう…」
比較的聡明な者は、この時点で囲みを抜けようとした。
「バリケードでも作った方が、良いんじゃない?」
「そんなもん、役に立つか!異能者でないと相手にならない」
道隆は暁たちの事情は露知らず、見つけた部屋を確保する。
同じ階は勿論、見張りに魔物を置いて、上下階まで見て回ったが誰もいない。
人間が出払っているかもしれないが、異能者は間違いなくいなかった。
(状態は悪くない)
部屋は2LDK。
玄関を上がって、左手に洗面所と浴室。その隣がトイレ。
右手には物置として使われていたらしい洋間。更に進むと、台所と一体化したリビングだ。
居間として使っている部分には、写真立ての置かれたラックやテレビ、座布団とローテーブルが置かれている。
(げ…写真だ。ヤダヤダ)
30代の男女、恐らく夫婦だろう。
微妙に生活感が残っているのが、道隆の癇に障る。
中古品は好きじゃない。潔癖症を名乗るつもりは無いが、できるだけ手垢はついていない方がいい。
(ビンテージとか、人妻とかは別だと思うけど)
そこまでいくと、もはや別の属性。
中古であることが、価値となっているので、彼の中では問題にならない。
勿論、脂ぎっていたり、香水のキツイ中年は問答無用でお引き取り願うが。
道隆は仕方なく、夫婦が使っていた部屋を出た。
一つ目が駄目なら、二つ目に入り、そこも駄目なら三つ目だ。
ようやく満足のいく、住人が長らく入っていない殺風景な部屋を見つけた、
道隆は物体収納の魔物を呼び、空の棚にソファ、カーテンや毛布を取り出そうとする。
コレクションを置くのは、自宅の結界が完成してからでいいだろう。
いや――その前に軽く掃除をしよう。同階層の部屋から雑巾や掃除機、ちりとりなど必要な器具を持ち出し、部屋を清めていく。
十数分経ち、道隆は出たゴミをまとめた袋を捨てに行く。
袋は駐車場の隅に投棄した。
咎められることは無いはずだが、後ろめたい気持ちになる。
平静を装いつつ帰る道すがら、不穏な男達とすれ違う。
囁きを聞き取った限りでは、ならず者を追い出した異能者達を吊るし上げることが目的らしい。
ありがとうございました。