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大曾根異変(5)

趣味で書き始めました。

「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。

読む前に、以下の注意に目を通してください。


【注意事項】


・ハーレムなし。

・デスゲームなし。

・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。

・キモイ主人公。

・読みづらい。

・残酷な描写や暴力表現あり。

・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。


 ボスは反撃する様子を見せなかった。

それから数十秒後、倒れた熊もどきが白い燐光の中に消える。

怪物と入れ替わりに、毛深い落ち武者がその場に現れる。認めた瞬間、暁は反射的に間合いを離す。

何か、見たことの無い能力を披露するつもりかも知れないからだ。

それからまた20秒ほど経過してから、四足獣はゆっくりと歩み寄る。


 爪で突くが、ボスは動かない。

顔からは血の気が消えており、暁には死んでいるように見えた。

ユリカは彼らの関心が外れた頃合を見計らって、その場から逃げ出していた。

いつの間にか近づいてきた青い怪人が、放っていた魔物を内的世界に格納すると同時に、気安い調子で口を開く。


「死んでるみたいだな」

「おぅ…」


 夏の異変以来、死体には慣れている。

しかし、自分で作るのは初めてだ。大したことじゃない、と理性が言い、取り返しのつかない事をした、と本能が告げる。

ケンカぐらいなら問題にしない。反吐が出るような鬼畜だが、自分は一個の人格を抹殺した。

暁は自分がひどく汚れてしまったように感じた。


「余計なことすんなよ…」

「あー、ごめん」


 大きな頭が、小さな声で凄んだ。

暁はぶつからないように向きを変え、亮典たちの下に歩いていく。

道隆はおざなりな返事をした後で一瞬、眉を顰めた。コイツに謝る謂れは無い。

だが口にしたものを引っ込める事は出来ない。


「場所移したほうがいいよ。駅の方っしょ?」

「え?…あー」


 暁は気を取り直したように言った。

10mほど歩いた後、道隆は何の気なしに振り返る。

元気のない足取りで牧野親子と合流する、巨獣の背中が見えた。

歩き出した道隆の隣を風が通り過ぎ、羊頭が前に立つ。


「あの、紀里野さん…」

「どうした?」

「僕達と一緒にコミュニティに来てもらえませんか?」


 残党がいるはず、と亮典は言った。

暁は黙ったまま、牧野親子を背中に乗せて顔を逸らしている。


「え?まー、行くけど…」

「ありがとうございます!それじゃ先、行ってますから――」


 巨獣は向きを変えると、警戒に走り出した。

取り残された形になった道隆は、巣の状態のまま駆け出す。

変身せずとも、5分とかからない距離だ。


 平安2丁目に近づくと、環状線に聳える堤のようなバリケードと戦闘音が聞こえた。

暁達とならず者の異能者チームが戦っているのだ。

ボスは異能者同士の気配感知を根拠に、暁達が脱走した際に逃げ出した囚人達の確保を言いつけておいたのだ。

居残っていた者達の一部は、ただならぬ展開を察し始める。


 暁達を探す道隆の前に、5名の男が飛び出してくる。

一様に驚愕と不安を顔に張り付けており、闘志は感じられない。

さして殺傷力の高い部類でないボスに従っていただけあり、人間態の道隆でも十分対処できた。


「おい、ボスは…!?」

「やっぱ死んだんだよ、逃げよう!」


 道隆はメリケンサックを嵌めた拳を、躊躇なく繰り出す。

一人死に、二人死に、彼らは散り散りに逃げ出す。聞き覚えのある声がしたが、念の為5名は全て倒した。

辻に走り込んだ道隆は、巨獣が一人の異能者を追い詰めている場面を目撃する。


 二人は駐車場の前に立っている。

茶髪のぽっちゃりが、毒気を帯びた矢を連射するが、巨獣には通じない。

羊頭が背を向けた茶髪のぽっちゃりに熱波を放つ。火に巻かれたデブにトドメを刺そうとするが、亮典が制するとあっさり追撃を止めた。

牧野親子は殺し合いを好んでおらず、特に顔馴染みの暁には、出来るだけ血生臭い事に首を突っ込んでほしくないのだ。


「紀里野さん――その手…」

「あぁ、さっき5人に襲われて」

「…殺したのかよ」


 牧野親子が、何か言いたげな顔をしている。

道隆はやや険のある声を、3人に投げた。襲われはしなかっただろうが、彼らは自分の生活圏を乱しうる者だ。

自警団が半壊した今、敵は自分で排除するしかない。


「おぉ、何?」

「血も涙も無いな、アンタ」

「そうだな。けど向こうが優しくしてくれるとは限らないじゃん」


 道隆が言い返す。

牧野親子は眉を顰めたが、暁は納得した様子だ。道隆は街並みに視線を向ける。

異能者はコミュニティから姿を消したようだ。気配感知によって、杏子以外の3名はそれを理解する。


ありがとうございました。

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